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「企業における不動産テックの取り組み動向調査」3社に1社は不動産テック(PropTech)に取り組む実態が判明

〜不動産業よりも他業種のほうが積極的〜

 株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川島祐治、以下 当社) は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本良江)が提供する「NTTコムリサーチ」登録モニターを対象に、「企業における不動産テックの取り組み動向調査」(以下、本調査) を実施しました。




 昨今、破壊的イノベーションやディスラプターの名のもとで、様々な業界・企業がデジタルビジネスやデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます。FinTech(金融)をはじめとするテック系ビジネスの動向に目を向けると、金融の隣接領域とも言える不動産領域において不動産テック(PropTechもしくはReal Estate Techとも呼ばれる)の注目度が急激に増しています。
 例えば米国では、1,000億ドル(約11兆円)の超巨大ファンドSoftbank Vision Fundは、コワーキングスペースの開発・運営のWeWork(ウィワーク)に44億ドル(約4,800億円)、テクノロジーを活用したスマートな不動産仲介会社Compass(コンパス)に4億5千万ドルと4億ドルの計8.5億ドル(約950億円)、iBuyer(アイバイヤー)と呼ばれる買取再販プラットフォームを展開するOpendoor(オープンドア)に4億ドル(約450億円)と立て続けに巨額投資を行い、大きな話題となっています。
 日本国内においても、不動産テック専業のプロパティデータバンクやGA technologies(ジーエー テクノロジーズ)が東証マザーズへ上場、一般社団法人不動産テック協会やADRE不動産情報コンソーシアムが発足するなど大きな盛り上がりを見せています。

 こうした不動産テックの盛り上がりにおいて、「不動産テックに関する取り組みをしているか?」、「不動産テックで取り入れている先進テクノロジーは何なのか?」、「取り組んでいる不動産テックの成果はどうなのか?」、「どのような人的リソースを活用しているのか?」、「今後、有望だと考える不動産テックのサービスとは?」などの観点で各社の取り組み実態について調査しました。

 調査結果としては、不動産テックの認知度自体はまだまだ低いものの、不動産テックを知っている人の所属企業のうち3社に1社は不動産テックに取り組んでいることが把握できました。また、業種別に見ると、意外にも不動産テックと一番関係の深いはずの不動産業よりも他業種の企業のほうが積極的に取り組んでいることが明らかとなりました。

 実際に取り組まれている不動産テックで主に導入されているテクノロジーは、「AI(機械学習、ディープラーニング含む)」、「Web化・オンライン化」、「ビッグデータ (DMP:Data Management Platform含む)」、「IoT」であり、現在及び今後の不動産テックのサービスの中心は“データの収集・分析・共有”に関するものでした。

 一方、不動産テックの成果については、成果が得られたとする回答が約半数であるものの、十分な成果は得られていないとする回答は4割近くにのぼりました。

 当社では今後も、アンケート等の分析結果や過去のコンサルティングの知見・ノウハウを活かし、各社の不動産テックの取り組みを支援して参ります。

【本調査のサマリー】
不動産テックの取り組み実態サマリーイメージ

[画像: https://prtimes.jp/i/41144/2/resize/d41144-2-644911-0.png ]


 本調査により、企業における不動産テックへの取り組み実態を明らかにすることができた。不動産テック(PropTechもしくはReTech)の認知度自体はまだまだ低いものの、不動産テックを知っている人の所属企業のうち3社に1社以上が不動産テックに取り組んでいることが把握できた(正確には35.8%)。

 不動産テックに取り組む企業を業種別に見ると、不動産業は29.8%と平均以下であるのに対して、建設業50.0%、金融業50.0%、商社・卸売・小売業43.5%、製造業38.8%と、意外にも不動産テックと一番関係の深いはずの不動産業よりも他業種の企業のほうが積極的に取り組んでいることが明らかとなった。
 加えて、不動産テックのようなテクノロジードリブンの新しい取り組みは、ベンチャー企業や身軽な中小企業のほうが積極的に取り組むイメージもあると思われるが、実際は規模が大きい企業ほど不動産テックに数多く取り組んでいた。

 実際に取り組まれている不動産テックについて、主に導入されているテクノロジーは「AI(機械学習、ディープラーニング含む) (52.5%)」、「Web化・オンライン化 (49.5%)」、「ビッグデータ (DMP:Data Management Platform含む) (48.5%)」、「IoT (31.3%)」であった。また、一般に知られているサービス及び今後有望だと思われるサービスの第1位が「不動産価格データ収集・分析:不動産の成約価格、物件情報などのデータを収集・分析・共有することで資産価値評価や売買予測等を行うサービス群」という結果から鑑みても、現在及び今後の不動産テックのサービスの中心は“データの収集・分析・共有”に関するものであると言えよう。

 不動産テックの成果については、「期待通りの成果」「期待以上の成果」が51.5%である一方、「一定の成果は得られているが、期待していた程ではない (30.3%)」「期待していた成果は得られていない (7.1%)」であり、4割近くが成果を得られていない。成功や失敗の原因としては様々なことが想定されるため、本調査の目的からは外している。但し、“不動産”דテック”という言葉が表すとおり、異業種間における提携・協業・交流は間違いなく重要なファクターであると言える。

 本調査では、不動産テックの成果と、不動産テック実現に向けたアライアンスや買収などのアクションの相関についても調査を行った。結果としては、有望企業への出資や買収と成果に相関を確認できた。具体的には、いわゆる“成果が得られている” とする割合は、「有望企業へ出資または買収し、出資先の有望企業と積極的に協業・交流した」が89.5%であった。特に、「有望企業へ出資または買収し、出資先の有望企業と積極的に協業・交流した」という企業は、「期待以上の成果が得られている」が57.9%と、他が4%程度であることと比べて突出していた。このように、不動産テックで成果をあげるためには、オープンイノベーションや協業・交流の実施、提携だけではなく、有望企業への出資や買収など一歩踏み込んだ取り組みが重要であると言える。更には出資や買収だけではなく、その出資先企業との積極的な関係構築が期待以上の成果を上げるためには重要であることが明らかとなった。

【主な調査結果】
1. X-Techの取り組み実態
●認知度の高いX-Techは、「金融:FinTech (40.6%)」。

●2016年度の同時期におけるX-Techの認知度調査の結果と今回2018年度の結果の比較として、その差分が最も大きいのは、「金融:FinTech (2016年度17.9%、2018年度40.6%より、差分22.7%)」。

●X-Techに関する取り組み有無で最も多いのは、「取り組みをしたことは無い (50.8%)」。

2. 不動産テックへの取り組み実態
※以下は、前述のX-Techの認知度調査で不動産テックを知っている回答者に対して行った質問に対する結果

●不動産テックの動向への危機感の有無で最も多いのは、「不動産テックはコア事業とは関係ないため、危機感は感じない (43.3%)」。「不動産テックはコア事業とは関係ないため・・・」を除いた不動産テックがコア事業と関係のある回答者だけに絞って集計すると、「危機感を感じる (61.1%)」、「危機感を感じない (38.9%)」。

●不動産テックに関する取り組み有無で最も多いのは、「取り組みをしたことは無い (45.1%)」。一方、「過去に取り組みをしていた (2.2%)」、「現在、取り組んでいる (15.9%)」、「まだ取り組んでいないが、今後そういう取り組みをすることが決まっている (17.7%)」を足し合わせると35.8%と、約3人に1人の所属企業では不動産テックの取り組みを実施している。

●不動産業者に絞った場合、不動産テックに関する取り組み有無で最も多いのは、「取り組みをしたことは無い (51.4%)」。「過去に取り組みをしていた (1.4%)」、「現在、取り組んでいる (13.5%)」、「まだ取り組んでいないが、今後そういう取り組みをすることが決まっている (14.9%)」を足し合わせると29.8%。同割合は、製造業は同38.8%、運輸業は同35.3%、商社・卸売業・小売業は同43.5%、金融業は同50%、建設業も同50%で、不動産業は他業種と比較しても低い状況。

●不動産テックの取り組みは、企業規模が大きくなるほど取り組みを実施している。具体的には、「過去に取り組みをしていた」、「現在、取り組んでいる」、「まだ取り組んでいないが、今後そういう取り組みをすることが決まっている」の合計は、[従業員300人以下×資本金3億円以下]の企業は23.3%、[従業員300人以下×資本金3億円以上]の企業は31.3%、[従業員300人以上×資本金3億円以下]の企業は48.8%、[従業員300人以上×資本金3億円以上]の企業は49.4%。

●不動産テックに取り組む企業の状況として最も多いのは、「企画・立案の検討中 (26.3%)」。

3. 不動産テックの取り組み内容
※以下は、前述の所属している会社における不動産テックに関する取り組み有無の質問で、過去・現在・未来に取り組みを行うと回答した者に対して行った質問の結果

●不動産テックに取り組む目的で最も多いのは、「収益拡大のための新規事業(直近よりも将来の中核事業育成) (40.4%)」及び「既存事業の売上強化(特に顧客の増加や維持) (40.4%)」。

●不動産テックに取り組まない理由で最も多いのは、「不動産がコア事業でないため (55.2%)」。次が「会社として危機感を感じていないため (16.8%)」。

●取り組む不動産テックにおける本質的な価値で最も多いのは、「従来と比べ明らかに、時間的に“速い・短い” (43.4%)」及び「従来と比べ明らかに、“効率が良い”、“手間が減る” (43.4%)」。

●取り組む不動産テックにおける導入テクノロジーで最も多いのは、「AI(機械学習、ディープラーニング含む) (52.5%)」、以下が「Web化・オンライン化 (49.5%)」、「ビッグデータ (DMP:Data Management Platform含む) (48.5%)」、「IoT (31.3%)」。

●取り組む不動産テックの成果は、「期待通りの成果」「期待以上の成果」が51.5%と、約半数 “成果が得られている”と位置付けている。

●取り組む不動産テックにおける社外の人的リソースの活用で最も多いのは、「ITベンダーのようなITの専門家の活用 ※システムやWebサービスの開発を行う前の段階 (51.5%)」。以下が「データアナリスト・データサイエンティストのようなデータの専門家の活用 (39.4%)」、「コンサルタントのようなビジネスの専門家の活用 (33.3%)」。

●取り組む不動産テック実現に向けた提携・出資・買収で最も多いのは、「出資や買収、提携などは最終的にしなかった (出資・買収・提携を検討・模索しなかった) (59.9%)」。一方、有望企業との提携・出資・買収のアクションを起こした企業は26.3%。

●取り組む不動産テックで「有望企業へ出資または買収し、出資先の有望企業と積極的に協業・交流した」とする企業のうち「期待以上の成果が得られている」が57.9%。「期待通りの成果が得られている」と合わせた“成果が得られている”とする割合は89.5%。

4. 不動産テックのサービス別の認知度・今後の有望度
※以下は、前述のX-Techの認知度調査で不動産テックを知っている回答者に対して行った質問に対する結果

●知られている不動産テックのサービスで最も多いのは、「不動産価格データ収集・分析:不動産の成約価格、物件情報などのデータを収集・分析・共有することで資産価値評価や売買予測等を行うサービス群 (51.6%)」。

●今後有望だと考える不動産テックのサービスで最も多いのは、「不動産価格データ収集・分析:不動産の成約価格、物件情報などのデータを収集・分析・共有することで資産価値評価や売買予測等を行うサービス群 (1位42.6%、2位7.9%、3位4.7%)」。

< 本調査におけるアライアンスの定義 >
戦略的な目標を共有する企業間で協力関係を結ぶこと。アライアンスの種類は、資本提携、業務提携、技術提携、オープンイノベーションとし、それぞれの定義は下記の通りとする。
・資本提携=一方の企業が他方の企業の株式を保有する、または双方で株式を保有しあうことを通じて、事業上の協力関係を構築すること。M&Aも資本提携に内包している。
・業務提携=複数の企業が業務上の協力関係を築くこと。販売提携、生産提携も業務提携に内包している。
・技術提携=事業上重要な技術を供与する、もしくは相互に供与する関係を構築すること。オープンイノベーション=自社の業務やノウハウ・技術の一部を外部に公開し、広く外部のアイディアや技術を活用して自社の課題を解決する取り組み。

本調査結果の詳細は、下記URLよりご参照ください。
http://www.keieiken.co.jp/aboutus/newsrelease/190215/index.html
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