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日本の世帯の死亡保障ギャップがアジア先進市場の中で最も深刻:スイス・リー

・ 2019年の日本における死亡保障の不足額である死亡保障ギャップは8兆米ドル

・ 日本の世帯の68%は過少保険。死亡保障ギャップは1世帯当たり平均30万4,000米ドル以上で年間の平均世帯所得の約6倍

・ 日本における死亡保障ギャップの主な要因は、死亡リスクの過少な見積や、生命保険に関する誤った認識

・ 死亡保障ギャップを埋めることで日本に生じる追加的な年間生命保険料獲得の機会は172億米ドル

2020年9月7日、東京 – スイス・リーの最新調査によれば、アジア太平洋地域の死亡保障ギャップは2019年に83兆米ドルに達し、2030年まで年率平均4%のペースで増加すると予想されています。 スイス・リー・インスティテュートのレポート「アジア地域における死亡保障ギャップを埋める」(Closing Asia’s Mortality Protection Gap)では、日本の死亡保障ギャップは2019年に日本の必要死亡保障額の61%に相当する8兆米ドルに達し、アジアの先進市場1の中で最も深刻になると付け加えています。

この調査は、アジア太平洋地域における今日までの生命保険商品の認知、保有および購入に関する消費者の意識と選好についての最も包括的な研究です。本調査では、10市場(日本、オーストラリア、中国本土、香港特別行政区、インド、インドネシア、マレーシア、シンガポール、韓国、タイ)の1万4,000人以上の回答から成る広範囲な消費者調査の結果をマクロ・データと組み合わせ、これに基づいてアジアの世帯レベルの死亡保障ギャップをモデル化しました。

死亡保障ギャップは、一家の主な稼ぎ手が予期せぬ死を迎えた場合の世帯の必要保障額と、家族の将来の生活水準を維持するために利用できる財源の差額として定義されます。

スイス・リーの日本における代表者である百々敦浩は次のように述べています。「生命保険普及率はアジア太平洋地域で最大であるにもかかわらず、日本の世帯の68%は依然として過少保険の状態となっています。日本の1世帯当たりの死亡保障ギャップは平均30万4,000米ドル超(約3,200万円超)で、年間世帯所得の約6倍に上ります。スイス・リーのアジア地域における死亡保障ギャップ調査は、特に社会が健康および経済的な問題に直面している現状において、死亡保障ギャップへの理解を深め、不足額を埋めることに差し迫った必要性があることを明らかにしました。現在の新型コロナウイルスの世界的大流行は、保険には不確実性が高い時期におけるストレスを緩和し、財務面での支えとなるという非常に重要な役割があることを浮き彫りにしています」

調査の対象となった10市場全体では約69%の必要保障額が満たされていません。これらの地域の世帯では、平均で年間世帯所得の約8倍もの死亡保障が不足しており、一家の主な稼ぎ手が死亡した場合に経済的苦境を乗り切ることは難しいと思われます。日本では、死亡保障ギャップこそ61%と比較的低めですが、生命保険が利用できる財源の21%を占め、消費者にとって最も重要なセーフティ・ネットとなっていることもあり、過少保険は依然として危機的な状況にあります。

2019年に日本の死亡保障ギャップは全体で8兆米ドルに達し、絶対額ベースでアジアの先進市場最大、アジア太平洋地域では中国(41兆米ドル)とインド(17兆米ドル)に次いで3番目に大きい金額となりました。先進市場の中では必要保障額の61%に達する日本の保障の不足額が最大となった一方、最小の香港では41%でした。この不足額を埋めることができれば、日本で170億米ドルの追加的な年間生命保険料を獲得する機会が生まれます。

死亡リスクの過小評価が不足額拡大の主な要因
消費者の思考に着目すると、問題の大部分は、死亡リスクに対する関心の相対的な薄さと生命保険に関する意識にあることがわかります。

本調査によれば、日本の世帯において、アジア太平洋地域の平均を7%下回る23%(約4分の1)が稼ぎ手の死亡により所得が失われた状態に備えて財務的な準備をしておくことの重要性を過小評価しています。

日本の回答者の大部分(96%)は、死亡によるショックの中で、経済的に困窮しないようにできるという完全な自信はないと回答しました。しかし、そうしたリスクを削減するために生命保険の購入を検討した回答者は30%にすぎず、最も好まれる戦略は「節約」でした(38%)。

他のアジア諸国では、コストが高いという印象が生命保険の購入を妨げる最も大きな要因でしたが、日本ではすべての年齢層(特に20〜29歳の比較的若い消費者)で、生命保険商品の複雑さ(54%)が価格(46%)よりも大きな障壁となっています。

また、調査は、日本では死亡保障ギャップと回答者の年齢の間に負の相関があることを示しています。他方、高所得の家庭では、所得水準と世帯債務の高さによって必要保障額が大きくなり、不足額が拡大する傾向がみられます。

スイス・リー日本支店のヘッド・クライアント・マーケッツ・ライフ&ヘルスであるスティーブン・ハンターは、次のように述べています。「必要保障額の過小評価、消費者のリスク意識の欠如、生命保険に対する誤った認識が、日本の死亡保障ギャップの根底にあります。消費者による自らの必要保障額の計算および可視化、利用できる金融資産の評価の支援が良い出発点となるでしょう」

消費者の思考を理解し、これに対処することによって不足額を埋める
日本では、社会の人口動態が変化するにつれて、女性の労働参加率が大きく上昇しています。本調査では、一部の消費者、特に女性の稼ぎ手にサービスが行き届いておらず、満たされていない市場のニーズが存在することが明らかになりました。こうした稼ぎ手は家族の金銭的な支えとなっており、子どもと高齢者の両方の扶養家族を抱えていることがよくあります。個人貯蓄への過度な依存と必要保障額の慢性的な過小評価によって、これらの稼ぎ手は以前から脆弱な立場に置かれています。

従来の文化的価値観とは異なり、66%の日本人消費者は、自分や家族の死後と相続について話し合うことに前向きです。そのため、現在は保険会社にとって、顧客と対話するのに適した時期であると言えます。

調査によれば、日本の世帯の37%は入院給付金か手術給付金付きの生命保険契約を好み、33%はがん関連保障付きの生命保険契約を望んでいます。純粋な死亡保険のみを求めているのは22%にすぎません。このことは、純粋な死亡保険よりも包括的なサービスを提供できるように、保険会社が商品開発のアプローチを洗練させる余地があることを示しています。

売上高の60%を占める保険会社の営業職員は、2番手につける保険代理店の9%を大きく引き離し、生命保険の購入チャネルにおいて支配的な位置を維持しています。他の金融サービス・セクターではデジタル化の傾向が高まっているにもかかわらず、保険について調べたり、購入したりするときにデジタル・チャネルを利用する回答者は9%にとどまっています。特に女性の消費者は、デジタル・チャネルの利用に消極的な傾向にあることが調査により明らかになりました。

「保険会社は、日本の消費者の死亡保障に関する懸念に対応するうえで、創造力を発揮して、消費者に深く根付いた認識を覆し、最適な販売手法と顧客体験を設計する必要があります。スイス・リーには、行動経済学、データ・サイエンスおよびリスク評価の分野における経験と専門知識があり、より柔軟で顧客中心主義的な保険ソリューションを開発し、消費者とお客様に保障の不足額を埋めるための知見とソリューションを提供できる独自の地位を確立しています」とハンターは述べています。

不確実な時代における死亡保障の重要性
スイス・リーが最近実施した、新型コロナウイルスに関する消費者調査によれば、日本人消費者の3分の1以上が自分の将来の経済状況に関して困惑と不安を感じています。これはアジア太平洋地域の調査対象市場の中で最も高い割合です。

百々は次のように結論付けています。「この新型コロナウイルスの世界的大流行の最中に生命保険への意識が高まっていることと、新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした人生と生活の先行き不透明感の高まりは表裏一体です。これほどまでに死亡保障ギャップについての理解と、これを埋めることが緊急の課題となったことは今までありません。今こそ日本の保険会社が、生命保険プランについてお客様と対話し、カスタマイズし、価値の差別化を図るのにふさわしい時期と言えます」

スイス・リーの調査レポート「アジア地域における死亡保障ギャップを埋める」の全文(英語)は、mortalityprotectiongap.swissre.com からダウンロードいただけます。

スイス・リーについて
スイス・リー・グループは世界のレジリエンス向上を目指し、再保険、保険、その他保険ベースのリスク移転で世界をリードする大手再保険会社です。自然災害および気候変動、また高齢化社会からサイバー犯罪に至るまで、さまざまなリスクの予想と管理を行っています。スイス・リー・グループの目標は、お客様のために新しい機会とソリューションを生み出し、社会のさらなる繁栄と発展を可能にすることです。1863年にスイスのチューリッヒで創業したスイス・リーは、世界約80拠点にて事業を展開しています。大きく3つの事業部門に分かれて運営を行い、それぞれの事業部門がグループ全体の理念に寄与する独立した戦略と目標を掲げています。
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