日本初、千葉大学のサポートによる「丸太燃料流通トータルビジネス」を立ち上げ〜地域の若者達による新規事業が都市近郊里山荒廃林の整備に貢献〜
[16/02/22]
提供元:PRTIMES
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重油の半額の燃料と廉価な丸太加温器が地域の雇用・環境・経済を変える
千葉大学大学院工学研究科中込秀樹教授は、木質バイオマスエネルギー利活用を目指した研究開発を発展させ、今年4月より社団法人及びNPO法人(※)をサポートし、山武・長生地域を中心とし、園芸ハウス暖房や温泉水加温用に、森林の伐採から丸太燃料への加工、配送、丸太燃料加温器の販売・設置までを一手に引き受ける総合的な事業を日本で初めてスタートさせます。
事業開始の背景〜日本の林業の現状〜
?問題点:林野庁は、林業の大規模化・集約化・機械化を推奨する「森林林業再生プラン」を新たに制定したが、千葉県のような都市近郊の小規模な森が点在する里山地域には適用が難しい。
[画像1: http://prtimes.jp/i/15177/59/resize/d15177-59-646772-1.jpg ]
?システム構築と新規事業への展開:中込研究室はH25〜27年度に、林野庁の「木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進事業」(総事業費5.1億円)により、都市近郊小規模森林の再生と地域活性化のための丸太燃料流通システムを構築し、H28年度から3法人による自立した事業をスタートさせる。
千葉大学は新規事業に対するビジネスレビュー、丸太加温器の製品化・普及支援、データ取得と解析・シミュレーション等の技術的サポートを継続するとともに、国内他地域への「丸太燃料流通ビジネス」の普及を目指す。
新規事業立ち上げに至るポイント
1.加工の簡単な丸太燃料で重油の半分以下の燃料コストを達成
[画像2: http://prtimes.jp/i/15177/59/resize/d15177-59-324723-2.jpg ]
薪・チップ・ペレットに比べて加工コストの低い丸太を燃料とする事、伐採・集材・加工等の森林作業を、人手に加えて自ら工夫した小型林業機械を併用して生産性を高める事により、低コスト化を実現。
2.廉価な丸太加温器により経済性の成立を目指す
県内の大規模な園芸農家は既に重油加温器を設置している上、従来のバイオマス加温器やボイラーは高価であった。そこで、新たな丸太加温器の設置がコスト増にならないよう、廉価な加温器をベースに高性能化の改良・改善を行う事により性能とコスト目標の両立を達成した。
[画像3: http://prtimes.jp/i/15177/59/resize/d15177-59-580809-3.jpg ]
3.オンラインデータ収集、シミュレーションの活用
丸太加温器導入による付加価値の創出を目指して、ハウス内の温度・湿度データの常時モニター、温度分布のシミュレーション等による最適育成条件を確立することにより、ある園芸農家では茎の太い丈夫で商品価値の高い薔薇が育成できた。
今後の展開と社会に与えるインパクト
1.県内施設への加温器や丸太燃料の供給による、森林整備と環境保全の両立
丸太燃料流通トータルビジネスは伐採から燃料加工・供給、加温器の販売・設置までを一手に担う事により、加温器の販売で自ら丸太燃料の需要を生み出せること、常に燃料の需要と供給のバランスの適正化をはかれることが大きな特徴である。一方従来の林業は山主、伐採事業者(森林組合等)、製材業、工務店、ボイラー製造業者等が相互に独立して流通経路は複雑であり、更に国産材の需要先の創出も大きな課題であった。
H25〜27年度の林野庁委託事業では、県内26箇所の園芸ハウス農家、温泉施設、床暖房用途等へ、加温器の導入検証・実証をしており、来年度以降も丸太燃料を供給していく。
2.地域における若者達の働き口の創出
さらに3法人の30名程度のメンバーが、森林整備、薪・用材販売、加温器販売、森林イベント等を通して事業の維持・発展を目指す。その中には、都市に働きに出る予定だった地域の若者達、都市部でのオフィスワークになじめない若者達、林業女子等多様なメンバーが参加している。自然の中で物よりも心の満足を求めるこれらの若者達は今後も増えていくと考えられ、地域における彼らの働き口の創出と国土の7割を占める森林の整備の両立を目指す本事業の意義は大きい。
事業主体となる3法人
○社団法人:もりびと
長生地域を中心に、森林整備事業、危険木処理事業、間伐材クラフト販売、間伐材ワークショップの運営を通して里山産業の創出を目的とする。
○社団法人:キュアフォレスト 注)設立手続き中
山武地域を中心として県内全域を対象に、丸太加温器という出口を作りながら自ら森林整備を進め、加温器の販売・メンテナンスから丸太燃料供給、木材製品の製作・販売を通して林業の六次産業化を目指す事を目的とする。
○NPO法人:CHIMES
山武市を中心とした地域の住民に対してアーティスト派遣や設備レンタルを含めた音楽祭始めその他イベント等の企画運営、山武杉等の地域産品の普及啓発に関する事業を行い、環境保全や教育、芸術、文化の発展に寄与する事を目的とする。
木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進事業(25〜27年度)
森林資源をエネルギー源として有効活用し、低炭素社会の実現、森林整備の推進、雇用の確保等を図ることを目的とした林野庁委託事業。
※ 木質バイオマスエネルギーとは
「バイオマス」とは、生物資源(bio)の量(mass)を表す言葉であり、「再生可能な、生物由来の有機性資源(化石燃料は除く)」のことを呼ぶ。その中で、木材からなるバイオマスのことを「木質バイオマス」と呼ぶ。木質バイオマスには、主に、樹木の伐採や造材のときに発生した枝、葉などの林地残材、製材工場などから発生する樹皮やのこ屑などのほか、住宅の解体材や街路樹の剪定枝などの種類がある。
つまり、木質バイオマスエネルギーとは、「木を利用した燃料(エネルギー)」である。
[画像4: http://prtimes.jp/i/15177/59/resize/d15177-59-623893-4.jpg ]
[画像5: http://prtimes.jp/i/15177/59/resize/d15177-59-833900-5.jpg ]
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お問い合わせ
[画像9: http://prtimes.jp/i/15177/59/resize/d15177-59-543295-9.jpg ]
千葉大学大学院工学研究科 中込研究室 足立眞理子
TEL: 043-290-3352
メール:adachi-mariko@restaff.chiba-u.jpc.jp
千葉大学大学院工学研究科中込秀樹教授は、木質バイオマスエネルギー利活用を目指した研究開発を発展させ、今年4月より社団法人及びNPO法人(※)をサポートし、山武・長生地域を中心とし、園芸ハウス暖房や温泉水加温用に、森林の伐採から丸太燃料への加工、配送、丸太燃料加温器の販売・設置までを一手に引き受ける総合的な事業を日本で初めてスタートさせます。
事業開始の背景〜日本の林業の現状〜
?問題点:林野庁は、林業の大規模化・集約化・機械化を推奨する「森林林業再生プラン」を新たに制定したが、千葉県のような都市近郊の小規模な森が点在する里山地域には適用が難しい。
[画像1: http://prtimes.jp/i/15177/59/resize/d15177-59-646772-1.jpg ]
?システム構築と新規事業への展開:中込研究室はH25〜27年度に、林野庁の「木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進事業」(総事業費5.1億円)により、都市近郊小規模森林の再生と地域活性化のための丸太燃料流通システムを構築し、H28年度から3法人による自立した事業をスタートさせる。
千葉大学は新規事業に対するビジネスレビュー、丸太加温器の製品化・普及支援、データ取得と解析・シミュレーション等の技術的サポートを継続するとともに、国内他地域への「丸太燃料流通ビジネス」の普及を目指す。
新規事業立ち上げに至るポイント
1.加工の簡単な丸太燃料で重油の半分以下の燃料コストを達成
[画像2: http://prtimes.jp/i/15177/59/resize/d15177-59-324723-2.jpg ]
薪・チップ・ペレットに比べて加工コストの低い丸太を燃料とする事、伐採・集材・加工等の森林作業を、人手に加えて自ら工夫した小型林業機械を併用して生産性を高める事により、低コスト化を実現。
2.廉価な丸太加温器により経済性の成立を目指す
県内の大規模な園芸農家は既に重油加温器を設置している上、従来のバイオマス加温器やボイラーは高価であった。そこで、新たな丸太加温器の設置がコスト増にならないよう、廉価な加温器をベースに高性能化の改良・改善を行う事により性能とコスト目標の両立を達成した。
[画像3: http://prtimes.jp/i/15177/59/resize/d15177-59-580809-3.jpg ]
3.オンラインデータ収集、シミュレーションの活用
丸太加温器導入による付加価値の創出を目指して、ハウス内の温度・湿度データの常時モニター、温度分布のシミュレーション等による最適育成条件を確立することにより、ある園芸農家では茎の太い丈夫で商品価値の高い薔薇が育成できた。
今後の展開と社会に与えるインパクト
1.県内施設への加温器や丸太燃料の供給による、森林整備と環境保全の両立
丸太燃料流通トータルビジネスは伐採から燃料加工・供給、加温器の販売・設置までを一手に担う事により、加温器の販売で自ら丸太燃料の需要を生み出せること、常に燃料の需要と供給のバランスの適正化をはかれることが大きな特徴である。一方従来の林業は山主、伐採事業者(森林組合等)、製材業、工務店、ボイラー製造業者等が相互に独立して流通経路は複雑であり、更に国産材の需要先の創出も大きな課題であった。
H25〜27年度の林野庁委託事業では、県内26箇所の園芸ハウス農家、温泉施設、床暖房用途等へ、加温器の導入検証・実証をしており、来年度以降も丸太燃料を供給していく。
2.地域における若者達の働き口の創出
さらに3法人の30名程度のメンバーが、森林整備、薪・用材販売、加温器販売、森林イベント等を通して事業の維持・発展を目指す。その中には、都市に働きに出る予定だった地域の若者達、都市部でのオフィスワークになじめない若者達、林業女子等多様なメンバーが参加している。自然の中で物よりも心の満足を求めるこれらの若者達は今後も増えていくと考えられ、地域における彼らの働き口の創出と国土の7割を占める森林の整備の両立を目指す本事業の意義は大きい。
事業主体となる3法人
○社団法人:もりびと
長生地域を中心に、森林整備事業、危険木処理事業、間伐材クラフト販売、間伐材ワークショップの運営を通して里山産業の創出を目的とする。
○社団法人:キュアフォレスト 注)設立手続き中
山武地域を中心として県内全域を対象に、丸太加温器という出口を作りながら自ら森林整備を進め、加温器の販売・メンテナンスから丸太燃料供給、木材製品の製作・販売を通して林業の六次産業化を目指す事を目的とする。
○NPO法人:CHIMES
山武市を中心とした地域の住民に対してアーティスト派遣や設備レンタルを含めた音楽祭始めその他イベント等の企画運営、山武杉等の地域産品の普及啓発に関する事業を行い、環境保全や教育、芸術、文化の発展に寄与する事を目的とする。
木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進事業(25〜27年度)
森林資源をエネルギー源として有効活用し、低炭素社会の実現、森林整備の推進、雇用の確保等を図ることを目的とした林野庁委託事業。
※ 木質バイオマスエネルギーとは
「バイオマス」とは、生物資源(bio)の量(mass)を表す言葉であり、「再生可能な、生物由来の有機性資源(化石燃料は除く)」のことを呼ぶ。その中で、木材からなるバイオマスのことを「木質バイオマス」と呼ぶ。木質バイオマスには、主に、樹木の伐採や造材のときに発生した枝、葉などの林地残材、製材工場などから発生する樹皮やのこ屑などのほか、住宅の解体材や街路樹の剪定枝などの種類がある。
つまり、木質バイオマスエネルギーとは、「木を利用した燃料(エネルギー)」である。
[画像4: http://prtimes.jp/i/15177/59/resize/d15177-59-623893-4.jpg ]
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お問い合わせ
[画像9: http://prtimes.jp/i/15177/59/resize/d15177-59-543295-9.jpg ]
千葉大学大学院工学研究科 中込研究室 足立眞理子
TEL: 043-290-3352
メール:adachi-mariko@restaff.chiba-u.jpc.jp