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「お母さんにやさしい国ランキング」日本は179カ国中32位

国際NGOセーブ・ザ・チルドレンが世界のお母さんの現状を調査した「母の日レポート2015」を発行

子ども支援の国際NGOセーブ・ザ・チルドレンは、世界のお母さんの置かれた状況を通して子どもについて考えるきっかけを作るため、2000年から毎年母の日にあわせて「母の日レポート(State of the World’s Mothers)」を世界各国で発行しています。レポートでは「お母さんにやさしい国ランキング (母親指標:Mother’s Index)」*1を発表しており、今年は179カ国中1位はノルウェー、最下位はソマリア、日本は昨年と同位の32位でした。上位は北欧諸国が、下位は11カ国中2カ国を除いて西・中央アフリカの国々が占める結果となりました。





[画像1: http://prtimes.jp/i/5097/63/resize/d5097-63-745841-1.jpg ]

*1 次の5つの指標を基に、保健、教育、経済、政治への女性参加を総合的に勘案して算出1)妊産婦死亡の生涯リスク、2)5歳未満児の死亡率、3)公教育の在籍年数、4)国民1人あたりの所得、5)女性議員の割合

日本のランキングが他の先進国より低い要因が女性議員の割合の低さです。16年前にランキングを開始して以降、議席の一定比率を女性に割り当てる「クオータ制」の導入などで状況を改善する国が増える中、日本の状況は大きく変化しなかった結果、日本の女性議員の割合(11.6%)は179カ国中140位と、総合ランキング最下位のソマリアや、アジアではインドや韓国などよりも低いのが現状です。

「セーブ・ザ・チルドレンの長年の活動経験から、お母さんの健康や教育、また経済的・政治的機会を与えられているかどうかが、子どもたちの命と生活の質に密接に関わることが分かっています。日本では、少子化対策や女性の社会進出が課題として上がっていますが、女性の議員が増えることで、女性や子どもの課題に優先的に取り組まれ、女性や子どもが暮らしやすい社会をつくっていくことにつながります。」セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、政策提言スペシャリスト大野容子
[画像2: http://prtimes.jp/i/5097/63/resize/d5097-63-654565-0.jpg ]



-「母の日レポート2015」 主なトピック-


■ 今年のテーマは「都市部における保健格差」
■ 先進国のお母さんの中で死亡する確率が最も高いのはアメリカのお母さん
■ グローバルな視点から見る日本の格差の現状
■ 先進国の都市における保健格差
■ 発展途上国における都市部の保健格差



■ 今年のテーマは「都市部における保健格差」

国際社会の努力の結果、世界ではかつてない程多くの子どもたちが5歳の誕生日を迎えられるようになりました。25年前(1990年)に比べて、一日当たり死亡する子どもの数は約17,000人減少し、5歳未満の子どもの死亡率は、出生1,000人当たり90人 から46人へと、ほぼ半減しています。

貧困に起因する保健格差に関しては、これまで発展途上国の農村部や遠隔地の問題とみなされてきました。しかし、全世界の人口の54%が都市部に集中する現状を鑑み、セーブ・ザ・チルドレンとして初めて「都市部における保健格差」に焦点をあて、都市部のお母さんをテーマにレポートをまとめました。

その結果、レポートから浮かび上がってきたのは、都市部における急激な人口増加に対してインフラの整備が追いつかず、特に都市部人口の1/3を占めるスラムの住人は、劣悪な衛生環境や住環境での生活を余儀なくされている状況です。その結果、途上国における都市部の貧困層の乳幼児死亡率は、富裕層の2倍以上になっていることが明らかになりました。

世界の一部の大都市に住む富裕層と貧困層の間のこうした保健格差は、最も豊かで健康な人々の住む場所が、地上で最も貧しく軽んじられた人々が住む場所でもあることを表しています。

■ 先進国のお母さんの中で死亡する確率が最も高いのはアメリカのお母さん

「お母さんにやさしい国ランキング」で昨年の31位から順位を2つ下げて33位だったアメリカは、教育や経済の分野で好成績をおさめていますが、母子保健の分野が足を引っ張っています。アメリカの女性の妊産婦死亡の生涯リスクは1,800人に1人(日本は12,100人に1人)、また、5歳未満の子どもの死亡率は、1,000人当たり6.9人(日本は1,000人当たり2.9人)で、ともに先進国中最下位でした。さらに女性議員の割合(19.5%)も、先進国の中では比較的少ないことが、総合順位を下げている要因となっています。

■ グローバルな視点から見る日本の格差の現状

東京は乳児死亡率が世界でも最も低い都市の一つですが、日本では職業による保健格差があることが改めて分かりました。例えば、乳児死亡率が最も高い無収入世帯は、国家公務員や企業の上級管理職などの高所得世帯より、子どもが1歳未満で亡くなる可能性が7.5倍になります。(1,000人当たり10.5人対1.4人)*2
*2出典:総務省統計局 平成25年人口動態調査 上巻 乳児死亡 第6.9表 世帯の主な仕事別にみた生存期間別乳児死亡数・率(世帯の主な仕事別出生千対)及び百分率

■ 先進国の都市における保健格差

一部の先進国の大都市においても、富裕層と貧困層の保健格差が浮き彫りになりました。先進国の25の首都における乳児死亡率ランキングでは、ワシントンDCが最下位で、1,000人当たり約8人の乳児が亡くなる確率です。ワシントンDCと僅かな差で、ウィーン(オーストリア)、ベルン(スイス)、ワルシャワ(ポーランド)そしてアテネ(ギリシャ)が続きます。

一方、乳児死亡率の低い首都の上位は、プラハ(チェコ共和国)、ストックホルム(スウェーデン)、オスロ(ノルウェー)、東京(日本)、リスボン(ポルトガル)です。

■ 発展途上国における都市部の保健格差

発展途上国の都市部において、富裕層と貧困層の間で最も大きな保健格差がある10カ国は、ルワンダ、カンボジア、ケニア、ベトナム、ペルー、インド、マダガスカル、ガーナ、バングラデシュ、そしてナイジェリアです。ルワンドとケニアは乳幼児の死亡率を下げることに成功している国ではありますが、都市における保健格差は約2倍となっています。

一方、カンパラ(ウガンダ)、アディス・アベバ(エチオピア)、カイロ(エジプト)、グアテマラシティ(グアテマラ)、マニラ(フィリピン)、プノンペン(カンボジア)などの都市では、保健システムを強化して、母子保健への意識を喚起し、最貧困層家庭が手頃なコストで保健医療サービスを利用できるようにしたことで、保健格差の大幅な改善を達成しています。


「世界の歴史上初めて、人類の半分以上が都市部に居住しています。人々は、より良い生活を求めて都市に引き寄せられますが、世界の多くの都市では急速な成長に追いつくことが出来ず、何億ものお母さんと子どもたちが、生存し健康でいるために不可欠な最低限の医療サービスや清潔な水を得られない状態に捨て置かれています。

全ての人の命が守られ、自らの可能性を追求する公正な機会が与えられるような世界にしなければなりません。私たちは、都市部や国の指導者たちに対し、母子の医療ニーズを最優先課題に掲げ、すべての人が良質な保健医療を受けられるようにすることを、呼び掛けています。」大野容子


母の日レポート2015 フルレポート(英語PDFファイル)
http://www.savechildren.or.jp/scjcms/dat/img/blog/1956/1430966938214.pdf
母の日レポート2015 概要和訳(日本語PDFファイル)
http://www.savechildren.or.jp/scjcms/dat/img/blog/1956/1430966525519.pdf

<セーブ・ザ・チルドレン、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン概要>
1919年に英国にて設立。子ども支援の世界的リーダーとして、世界30カ国の独立したセーブ・ザ・チルドレンがパートナーシップを結び、現在約120の国で、すべての子どもにとって「生きる・育つ・守られる・参加する」子どもの権利が実現されている世界を目指して活動する国際NGO。国連の経済社会理事会(ECOSOC)の最高資格である総合諮問資格(General Consultative Status)を取得しています。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは日本のパートナーとして1986年に設立。http://www.savechildren.or.jp/
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