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「日本財団-GEBCO Seabed 2030」始動から2年10ヶ月、地図化された世界の海底地形は6%から19%へ

6月21日 国際水路デーに2020年版の世界の海底地形図を公開、科学的解明も進む

日本財団(会長 笹川陽平)は、2017年8月から海洋事業の一環として、2030年までに全地球の海底地形図を100%完成することを目指す国際的なプロジェクト「日本財団-GEBCO Seabed 2030」を推進しています。水路の重要性を周知する日として国際水路機関が提唱する「国際水路デー」である6月21日現在、地図化された世界の海底地形は19%となりました。
海底地形の解明が進むことで、海底に残された痕跡によって氷河の融解が太古からどのように進んできたか推測できることも判明しました。本件は2020年5月29日に科学雑誌『Science』に掲載されています。






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[画像2: https://prtimes.jp/i/25872/110/resize/d25872-110-920110-1.png ]




なぜ海底地形図が必要なのか?

あまり見慣れない海底地形図ですが、実は我々の生活と密接に関係しています。例えば海底地形の情報を得ることで、そこから潮汐、海流、津波の予測や海面上昇の予測、さらには船舶の安全航行、海難救助や海洋生物のモニタリングなど、幅広い分野の一助となります。しかし、1903年に世界の海底地形図の作成が着手されてから一世紀以上経った 2017年の時点で、わずか6%しか解明されておらず、表面の地形がほぼ 100%明らかになっている月や火星よりも調査が進んでいない状況でした。そこで日本財団は GEBCO(大洋水深総図)1)と共に2017 年に「日本財団-GEBCO Seabed 2030」 を立ち上げ、海底地形のデータを世界中から収集するための体制を築き、海底地形図の作成に取り組んできました。


これまでの成果

Seabed 2030 の旗振りのもと、海底地形図の作成は急激に加速を遂げ、各国政府、国際機関、研究機関や企業の協力のもと、過去1年間でオーストラリアの面積の2倍に相当する約1,450万km²の海底データの取り込みに成功し、現在地図化された世界の海底地形は19%となりました。また、「日本財団-GEBCO Seabed 2030」に参加する企業・団体の数は133団体まで増加し、様々なセクター・業種を超えた連携が広がっています。海底地形の解明が進むにつれて、地球の現状の把握は着実に前進を遂げています。

最近の事例では、本プロジェクトのメンバーであるMartin Jakobsson氏らが、近年得られた高精度の海底地形図データを元に、南極周辺で海底地形に氷河が溶けた痕跡が年輪のように残っていることを確認し、これにより氷河の融解が太古からどのように進んできたか推測できることが判明しました。本件は2020年5月29日に科学雑誌『Science』2)に掲載されています。

海底地形図2020年版の公開先: https://www.gebco.net/data_and_products/gridded_bathymetry_data/


今後の予定

今後は、船舶が航行することがほとんどない未開拓海域のマッピングや、小型船や漁船などと連携したデータの取得を可能にするクラウド・ソーシングの仕組みの開発、データ収集の効率を向上する技術革新を重点領域に置き、多様な企業、団体との連携を呼びかけながら世界の海底地形を100%地図化するという目標に向けて取り組みを進めてまいります。


■用語解説、雑誌情報
1)GEBCO(大洋水深総図)


The General Bathymetric Chart of the Oceans (GEBCO)は国際水路機関―(IHO)と国連政府間海洋学委員会(UNESCO-IOC)が共同で推進する、世界唯一の公的な海底地形図を作成する団体です。GEBCOはモナコ公国のアルベール1世大公が1903年に海底地形図の作成を提唱したことに起源を持つ歴史ある団体です。日本財団はSeabed 2030プロジェクトを共同で実施する以前の2004年からGEBCOと連携し、海底地形図の専門家を育成する人材育成事業を実施しており、現時点で40カ国90名が研修プログラムを修了しています。

2)『Science』(29 May 2020)Tracking the rapid pace of a retreating ice sheet, Martin Jakobsson, DOI: .1126/science.abc3583
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