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ASEANにおける繊維および衣料品の輸出額のうち、GDPに計上されているのは、70%以下に過ぎない〜日本アセアンセンターによる報告〜




[画像: https://prtimes.jp/i/10699/119/resize/d10699-119-507191-0.png ]

国際機関日本アセアンセンターが発表した「ASEANにおけるグローバル・バリュー・チェーン:繊維および衣料品」(https://www.asean.or.jp/ja/centre-wide-info/gvc_database_paper14/)によると、繊維・衣料品産業は、ASEAN加盟国が産業化と世界経済への統合を達成するための典型的な産業である。

繊維・衣料品産業[1]内の重要な変化を、技術的な要因と生産要素の要素集約度という観点から、認識することが必要だ。 ASEANにおいて、加盟国の多くは衣料品の主要輸出国であり、衣料品産業は最も活気のある産業として多くの雇用を生み出している。カンボジア、インドネシア、ミャンマー、ベトナムは世界における衣料品の主要輸出国である。対照的に、繊維産業は、その技術と資本の集約度から、全体的な輸出構造においてそれほど重要な役割は果たさない。

衣料品産業において、低所得のASEAN諸国は、賃加工(cut, make and trim)作業のような労働集約的な活動に特化する傾向がある。対照的に、デザインやマーケティングなどの知識集約型プロセスは、ASEAN内でもより発展した国々に集中している。

2017年、ASEANの繊維、衣類、皮革(TCL)の輸出における自国内の付加価値、すなわち自国のGDPに計上される金額は約510億ドル、もしくは輸出総額の68%だったが、国外付加価値(FVA)は約240億ドル、つまり32%であった。

製品とそのプロセスの改良は、主にグローバル・バリュー・チェーンをけん引する大手企業(バイヤー)からの技術移転を通じて行われる。ただし、機能的な改良は、通常現地および地域の市場を通じて行われる。

もし機能の改良を実現できなかった場合、これらの業界の企業には「底辺への競争」という戦略が、適応される以外の選択肢はない。マクロな視点においては、この失敗は「中間所得国の罠」と呼ばれる現象の根本原因の1つになる。このような結果を防ぎ、持続可能な産業の発展を達成するためには、地元および地域全体の市場が鍵となる。

ASEANにおけるTCL産業を促進するための政策は、技術および先天的な資源の違いに主に起因する国際比較優位の力学に基づき、各加盟国の違いを慎重に考慮すべきである。さらなる地域統合を促進は、生産と流通の地域内ネットワークを拡大させ深化させる。地域における包摂性を促進するには、労働力のスキルを向上させる努力が不可欠である。ASEANの地域市場に再び焦点を当てることは、持続的な産業発展のために実りあるものとなることが証明されるであろう。

[1] 本産業は多くの場合「皮革」を含む。従って、繊維および衣料品の統計データは繊維、衣類及び皮革を含む。

<<国際機関日本アセアンセンター>>
正式名称:東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター
ASEAN10 カ国政府と日本政府により 1981 年に設立。 貿易・投資・観光・人物交流の 4 分野を中心に、ASEAN 商品の輸出促進、日系企業 の進出支援、人材育成、日 ASEAN 間の観光促進等を通して、日本と ASEAN 諸国との 関係促進に貢献する国際機関です。
URL:https://www.asean.or.jp/ja/
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