九州大学との共同開発:世界的に貴重な佐賀県東与賀の生き物の3Dデジタル図鑑を発表
[24/09/30]
提供元:PRTIMES
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―生物多様性の豊かさ「地域の宝」を地元の方に知って守ってほしい―
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/18383/241/18383-241-b37646784a333d3eadc7762ed0769b9c-2187x499.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
写真:左よりクシテガニ、ニッポンバラタナゴ、ニッポンバラタナゴを真上から見た画像(東よか水辺の生き物マルチメディア図鑑より)
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(東京都港区、会長:末吉竹二郎、以下WWFジャパン)は、本日9月25日(水)に、国立大学法人九州大学(以下九州大学)との共同研究により開発した、地域特化型のマルチメディア図鑑「東よか水辺の生き物マルチメディア図鑑」を発表しました。本図鑑は、佐賀県佐賀市東与賀地域に生息する水生生物をマルチメディア(画像・3Dモデル・動画・音声)で紹介するウェブサイトです。 ウェブサイトURL: https://yoka.species.jp/
WWFジャパンと九州大学大学院流域システム工学研究室は、地域の宝でもある水辺の希少種や生態系の価値と危機について、地元の方が知り、理解を深め、ひいてはこの地域での自然保全の動きにつながればと考え、東与賀地域に特化した「生きものマルチメディア図鑑」を作成しました。
本図鑑には、ムツゴロウをはじめとする東よか干潟の生きもの17種のほか、水田・水路に生息するニッポンバラタナゴ、カワバタモロコなどの魚類や両生類など35種、計52種※が掲載されています。3Dの立体的な生き物の画像を自由な角度や大きさで観察することができるほか、音声や動画で生き物の様子を楽しめるページもあります。採取や観察が難しい希少な生き物に触れ合っていただけるツールです。
※水田水路:魚類19種、両生類3種、甲殻類5種、昆虫5種、貝類3種 干潟:魚類4種、甲殻類7種、貝類5種、植物1種
【背景】
佐賀市東与賀町には古くから干拓地が広がっており、独特のクリーク網には様々な淡水生物が生息しています。また、ラムサール条約登録湿地である東よか干潟には、ムツゴロウやシオマネキなど、干潟に独特の生態系・生物多様性を有しています。世界的にも貴重な生物多様性が残る一方で、様々な要因により危機も迫っています。
WWFの調査では、世界の生物多様性の豊かさは過去50年間で69パーセントも減少し、特に淡水生態系の生き物については、83パーセントも減少していると報告されています※。2022年12月の国連の国連の生物多様性条約の会議では、「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」が採択され、「2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復傾向へ向かわせること」などが合意されました。各地域の生物多様性を保全していくことは、国際的にも重要視されており、国内での施策も進められています。
※ https://www.wwf.or.jp/activities/lib/5153.html
https://www.wwf.or.jp/activities/activity/5223.html
■ WWFジャパン専門オフィサーのコメント
WWFジャパン 自然保護室 淡水グループ 久保優
東与賀町が誇るラムサール条約登録湿地「東よか干潟」。干潟の前に広がる水田地帯は干潟の成長とともに先人が築き上げた干拓地に広がっており、それを取り巻く水路網は、氾濫原の環境を好む水生生物の生息場所として機能してきました。今も生息するこれらの種は地域の貴重な「宝」ですが、近年その豊かさは失われつつあります。地域の資源を守るためには、まずは地域の皆さんが生息する生きものを知ることが重要です。今回開発したウェブ図鑑は、東与賀町の皆様のために作成した図鑑です。この図鑑を通して、素晴らしい東与賀の自然を知り、保全の取り組みを地域で進めるためのきっかけになることを願います。
■ 開発者のコメント
九州大学大学院工学研究院 鹿野雄一特任准教授水生生物の観点から、有明海周辺は琵琶湖流域とならんで、日本でもっとも重要な地域です。種数が多いだけではなく、その地域にしかみられない固有種も多いからです。しかし残念ながら、皆さんも御存知のとおり、有明海周辺の生物は近年激減し危機的な状況になっています。そのような中、危機的状況と保護の必要性を叫ぶだけでは、この流れを止めることはできないでしょう。有明に住む多くの人たちが地域の生物に興味関心を持ち、心から、それらの生物の価値を知り、愛するようになることが、まずは必要でしょう。私の開発した生物3Dモデルとウェブ図鑑がその一助になれば幸いです。
■ 希少種の報道について
希少種の生息地情報は機微情報で、一部の愛好家が知り得た情報をもとに不適切な採捕や密漁を行なうケースも発生しています。ご取材いただける際には、報道での表現についてご留意いただけますと幸いです。
■ WWFジャパンの九州の水田地帯での活動について
WWFジャパンは、九州の水田地帯で希少な淡水魚の保全と農業の共生を目指すプロジェクトを2017年から開始。九州大学との共同研究で140カ所以上を調査し、重要な保全エリアとして特定しました。2021年より、自然環境と農業を両立する「佐賀県東与賀・農業推進プロジェクト」を開始。多様な生息環境を守り、豊かな生態系を未来に残す取り組みを続けています。
※「東よか水辺の生き物マルチメディア図鑑」 に関する活動は、米国コカ・コーラ財団助成金に基づく「有明海流入河川流域を対象とした減災と淡水生態系保全の両立プロジェクト」によって行なわれました。
<WWFジャパン公式ウェブサイト内参考ページ>
水田・水路の生物多様性と農業の共生プロジェクト
https://www.wwf.or.jp/activities/activity/209.html
田んぼと生きものの保全についての特集ページ「失われる命の色」
https://www.wwf.or.jp/campaign/small-da_2019sa/
佐賀県東与賀・責任ある農業推進プロジェクト
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/4691.html
WWFについて
WWFは100カ国以上で活動している環境保全団体で、1961年に設立されました。人と自然が調和して生きられる未来をめざして、失われつつある生物多様性の豊かさの回復や、地球温暖化防止などの活動を行なっています。 https://www.wwf.or.jp
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/18383/241/18383-241-b37646784a333d3eadc7762ed0769b9c-2187x499.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
写真:左よりクシテガニ、ニッポンバラタナゴ、ニッポンバラタナゴを真上から見た画像(東よか水辺の生き物マルチメディア図鑑より)
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(東京都港区、会長:末吉竹二郎、以下WWFジャパン)は、本日9月25日(水)に、国立大学法人九州大学(以下九州大学)との共同研究により開発した、地域特化型のマルチメディア図鑑「東よか水辺の生き物マルチメディア図鑑」を発表しました。本図鑑は、佐賀県佐賀市東与賀地域に生息する水生生物をマルチメディア(画像・3Dモデル・動画・音声)で紹介するウェブサイトです。 ウェブサイトURL: https://yoka.species.jp/
WWFジャパンと九州大学大学院流域システム工学研究室は、地域の宝でもある水辺の希少種や生態系の価値と危機について、地元の方が知り、理解を深め、ひいてはこの地域での自然保全の動きにつながればと考え、東与賀地域に特化した「生きものマルチメディア図鑑」を作成しました。
本図鑑には、ムツゴロウをはじめとする東よか干潟の生きもの17種のほか、水田・水路に生息するニッポンバラタナゴ、カワバタモロコなどの魚類や両生類など35種、計52種※が掲載されています。3Dの立体的な生き物の画像を自由な角度や大きさで観察することができるほか、音声や動画で生き物の様子を楽しめるページもあります。採取や観察が難しい希少な生き物に触れ合っていただけるツールです。
※水田水路:魚類19種、両生類3種、甲殻類5種、昆虫5種、貝類3種 干潟:魚類4種、甲殻類7種、貝類5種、植物1種
【背景】
佐賀市東与賀町には古くから干拓地が広がっており、独特のクリーク網には様々な淡水生物が生息しています。また、ラムサール条約登録湿地である東よか干潟には、ムツゴロウやシオマネキなど、干潟に独特の生態系・生物多様性を有しています。世界的にも貴重な生物多様性が残る一方で、様々な要因により危機も迫っています。
WWFの調査では、世界の生物多様性の豊かさは過去50年間で69パーセントも減少し、特に淡水生態系の生き物については、83パーセントも減少していると報告されています※。2022年12月の国連の国連の生物多様性条約の会議では、「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」が採択され、「2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復傾向へ向かわせること」などが合意されました。各地域の生物多様性を保全していくことは、国際的にも重要視されており、国内での施策も進められています。
※ https://www.wwf.or.jp/activities/lib/5153.html
https://www.wwf.or.jp/activities/activity/5223.html
■ WWFジャパン専門オフィサーのコメント
WWFジャパン 自然保護室 淡水グループ 久保優
東与賀町が誇るラムサール条約登録湿地「東よか干潟」。干潟の前に広がる水田地帯は干潟の成長とともに先人が築き上げた干拓地に広がっており、それを取り巻く水路網は、氾濫原の環境を好む水生生物の生息場所として機能してきました。今も生息するこれらの種は地域の貴重な「宝」ですが、近年その豊かさは失われつつあります。地域の資源を守るためには、まずは地域の皆さんが生息する生きものを知ることが重要です。今回開発したウェブ図鑑は、東与賀町の皆様のために作成した図鑑です。この図鑑を通して、素晴らしい東与賀の自然を知り、保全の取り組みを地域で進めるためのきっかけになることを願います。
■ 開発者のコメント
九州大学大学院工学研究院 鹿野雄一特任准教授水生生物の観点から、有明海周辺は琵琶湖流域とならんで、日本でもっとも重要な地域です。種数が多いだけではなく、その地域にしかみられない固有種も多いからです。しかし残念ながら、皆さんも御存知のとおり、有明海周辺の生物は近年激減し危機的な状況になっています。そのような中、危機的状況と保護の必要性を叫ぶだけでは、この流れを止めることはできないでしょう。有明に住む多くの人たちが地域の生物に興味関心を持ち、心から、それらの生物の価値を知り、愛するようになることが、まずは必要でしょう。私の開発した生物3Dモデルとウェブ図鑑がその一助になれば幸いです。
■ 希少種の報道について
希少種の生息地情報は機微情報で、一部の愛好家が知り得た情報をもとに不適切な採捕や密漁を行なうケースも発生しています。ご取材いただける際には、報道での表現についてご留意いただけますと幸いです。
■ WWFジャパンの九州の水田地帯での活動について
WWFジャパンは、九州の水田地帯で希少な淡水魚の保全と農業の共生を目指すプロジェクトを2017年から開始。九州大学との共同研究で140カ所以上を調査し、重要な保全エリアとして特定しました。2021年より、自然環境と農業を両立する「佐賀県東与賀・農業推進プロジェクト」を開始。多様な生息環境を守り、豊かな生態系を未来に残す取り組みを続けています。
※「東よか水辺の生き物マルチメディア図鑑」 に関する活動は、米国コカ・コーラ財団助成金に基づく「有明海流入河川流域を対象とした減災と淡水生態系保全の両立プロジェクト」によって行なわれました。
<WWFジャパン公式ウェブサイト内参考ページ>
水田・水路の生物多様性と農業の共生プロジェクト
https://www.wwf.or.jp/activities/activity/209.html
田んぼと生きものの保全についての特集ページ「失われる命の色」
https://www.wwf.or.jp/campaign/small-da_2019sa/
佐賀県東与賀・責任ある農業推進プロジェクト
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/4691.html
WWFについて
WWFは100カ国以上で活動している環境保全団体で、1961年に設立されました。人と自然が調和して生きられる未来をめざして、失われつつある生物多様性の豊かさの回復や、地球温暖化防止などの活動を行なっています。 https://www.wwf.or.jp