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〜被災地に駆けつけ、インフラ復旧までをサポート〜 スターリングエンジンとソーラーパネルで電気とお湯を非常時に供給できる電源車を開発

 芝浦工業大学(東京都港区/学長 村上雅人)電気工学科の高見弘教授は、スターリングエンジン※1とソーラーパネルを組み合わせ、災害時などに電気とお湯を供給できる軽自動車型ハイブリッド電源車を開発しました。

 自然災害で被災しても「電気とお湯があれば、必要最低限の生活レベルは確保できる」という考えのもと、高見教授はスターリングエンジンで安定的に発電するために必要なコンバータを開発。3kgの木質バイオマスペレット※2を1時間燃焼し1kWの電力と45℃・200Lの温水を提供できるスターリングエンジンと、日中は1時間で最大600Wが発電できるソーラーパネルにより、発電とともに48V、110Ahの蓄電池に充電することも可能なシステムを軽トラックの荷台に収まるサイズで構築しました。

 今後は操作を自動化したうえで雨天時にも安定稼働できるよう耐久性を高め、将来的には専用の燃料でなく災害で発生したガレキなどの廃材を燃料としてその場で調達し、発電できる電源車の完成を目指します。

※1:シリンダー内のガス(または空気)を外部から加熱・冷却し、その体積変化でピストンを動かすことで熱エネルギーを運動エネルギーに変換する外熱機関。既存のエンジンより高効率で、外部から暖めれば良いため廃材などの利用も期待できる。特に今回採用しているフリーピストンタイプのスターリングエンジンは、機械構造が簡単で寿命が長いとされる。

※2:主に植物が光合成によって大気の二酸化炭素を吸収してできた“エコ燃料”の一種。燃焼させても元に戻るだけで、大気の二酸化炭素を増やさない再生可能エネルギーとされる。


■ポイント
(1) 軽トラックの荷台にパッケージされているため、
  支援が必要なエリアへすぐに駆けつけられる。
(2) 3kg(120円程度)の燃料を1時間燃やすことで
  「1kWの電力(スマートフォンの充電約70台分)と
   45℃・200Lの温水(バスタブ1杯分)」を同時に作れる。
(3) 日中の晴天時はソーラーパネルも活用でき、夜間や天候不良時、
  急な大電力消費に備えて蓄電も行える。


■背景
 2014年11月の経済産業省による規制緩和の結果、出力10kW未満のスターリングエンジン発電設備が一般用電気工作物として区分され、原理発明から2016年で200年目となるスターリングエンジンの実用化が期待されはじめました。一方で、フリーピストンスターリングエンジンに一般的な発電制御用コンバータシステム(交流を直流に変換する機器)を接続すると、コンバータが出す高調波によってエンジンが不安定になるという課題がありました。そこで、かねてよりスターリングエンジンの研究に取り組んできた高見教授は、この問題を解決するコンバータを開発。産学連携により軽自動車の荷台にすべて収まるシステムを完成させ、システムの一部を「フリーピストンスターリングエンジン発電装置」として現在特許申請を行っています。


■災害に強い社会へ
 電気と同時にお湯も作ることができるため、照明(夜間の安全安心)や調理に加えて夕食後の食器洗浄やお風呂・シャワーなども使用できます。また、災害現場ではガレキ撤去のための電動ノコや救命機器などの非常用電源としても使用可能です。災害からの復旧と人々の生活支援に寄与するため、今後量産化に向け連携先を見つけ、社会への普及を目指していきます。
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