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中途入社者の「パフォーマンスの発揮」に寄与する「人事によるコミュニケーション」は、「入社前のオープンで十分な情報開示」と「入社後5か月目までの面談」

昨今の求人意欲の高まりや働き方改革の機運の高まりを受け、企業の採用にはじまり人事部の活動はますます重要になっています。そうした状況を受けて、中途入社者が入社後に高い成果を出したり、長く働き続けたいと思うようになるにはどのような人事施策が有効なのか明らかにすることを目的に、調査を行いました。

▼プレスリリース本編はこちらをご覧ください
https://www.recruitcareer.co.jp/news/pressrelease/2019/190424-01/

■調査の全体像

本調査は、学習院大学の守島基博教授に分析と分析の解釈に対する助言を頂き、取りまとめています。第1弾では中途入社者の「パフォーマンスの向上」には人事との面談、「離職意向度の低減」には上司との面談がそれぞれ有効という分析結果をご報告しました(*1)。今回発表する第2弾では、第1弾で判明した、『中途入社者の「パフォーマンス向上」には人事との面談が有効』という点に着目し、中途入社者の「パフォーマンスの向上」と「人事とのコミュニケーション」に焦点を当てた調査を新たに実施いたしました。当該調査の分析結果の詳細をご報告いたします。

【前回】第1弾:「入社後の受入れ施策」は、パフォーマンス・離職意向度に影響するか?
【今回】第2弾:どのような「人事とのコミュニケーション」がパフォーマンスに影響するか?(*2)
【次回】第3弾:どのような「上司とのコミュニケーション」がパフォーマンス・離職意向度に影響するか?

(*1): 第1弾リリースの詳細はこちらをご参照ください:https://www.recruitcareer.co.jp/news/pressrelease/2018/181009-02/
(*2): 第1弾とは別に新たな調査を実施

■第2弾調査結果のポイント
・「人事とのコミュニケーション」について、時期について比較したところ、入社前に行っている人の方が、入社後と比較してパフォーマンスを発揮している人が多い傾向が見られる
・入社前後とも「人事とのコミュニケーション」を行っている人は、全くコミュニケーションを行っていない人よりも、パフォーマンスを発揮している傾向が見られる
・パフォーマンス発揮者の8割は、入社前に人事とコミュニケーションを図っている。コミュニケーションの内容では特に、「入社を検討する上で十分な情報を得たか確認してもらった」 「入社後に想定される疑問や不安を解消する情報を、隠すことなく開示してもらった」割合がパフォーマンス不十分者と比べて相対的に高い
・パフォーマンス発揮者の7割が、入社後も5か月目までに人事との面談を行っている

■調査の詳細1:入社前後の人事とのコミュニケーションの有無による、中途入社者におけるパフォーマンス発揮者の割合

中途入社者のうち、入社前後で「人事とのコミュニケーション」を行っている人は、入社後、パフォーマンスを発揮している傾向が見られる。「人事とのコミュニケーション」について、時期について比較したところ、入社前に行っている人の方が、入社後と比較してパフォーマンスを発揮している人が多い傾向が見られる。入社前後とも「人事とのコミュニケーション」を行っている人は、全くコミュニケーションを行っていない人よりも、パフォーマンスを発揮している傾向が見られる。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/182783/img_182783_1.jpg


*入社前のコミュニケーション:
中途入社者が入社前に人事と行ったコミュニケーションで、以下のいずれかのコミュニケーションが対象

・人事は、その企業で働く社員の話も聞きたいか確認してくれた
・人事は、入社を検討する上で十分な情報を得たか確認してくれた
・人事は、入社後に想定される疑問や不安を解消する情報を、隠すことなく開示してくれた
・人事は、その企業やその企業で働くことについて、良いことも悪いことも開示してくれた
・人事は、自分の転職目的について聞いてくれた
・人事は、自分が入社後どういうキャリアを歩むことになるのかを説明してくれた
・人事は、入社後の自分に対する期待を説明してくれた

**入社後の面談:中途入社者が入社直後〜入社後12か月目までに人事と行った面談

※パフォーマンス(現在、周りと比べて、高い評価を受けている方だと思いますか。)について、回答が「非常にそう思う」または「どちらかといえばそう思う」であれば「パフォーマンス発揮者」に分類


■調査の詳細2:中途入社者と人事との入社前のコミュニケーション

パフォーマンス発揮者の8割弱は、入社前に人事とコミュニケーションを図っている。パフォーマンス不十分者は、半数弱しか人事とのコミュニケーションを実施していないことが判明した。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/182783/img_182783_2.jpg


パフォーマンス発揮者と人事との入社前のコミュニケーションで最も多かったのは、「自分の転職 目的について聞いてもらう」こと。
パフォーマンス発揮者とパフォーマンス不十分者の間で最も差が大きかったのは、「入社を検討する上で十分な情報を得たか確認してもらう」こと。続いて、「入社後に想定される疑問や不安を解消する情報を、隠すことなく開示してもらう」こと。

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/182783/img_182783_3.jpg



*入社前のコミュニケーション:
中途入社者が入社前に人事と行ったコミュニケーションで、以下のいずれかのコミュニケーションが対象

・人事は、その企業で働く社員の話も聞きたいか確認してくれた
・人事は、入社を検討する上で十分な情報を得たか確認してくれた
・人事は、入社後に想定される疑問や不安を解消する情報を、隠すことなく開示してくれた
・人事は、その企業やその企業で働くことについて、良いことも悪いことも開示してくれた
・人事は、自分の転職目的について聞いてくれた
・人事は、自分が入社後どういうキャリアを歩むことになるのかを説明してくれた
・人事は、入社後の自分に対する期待を説明してくれた

**入社後の面談:中途入社者が入社直後〜入社後12か月目までに人事と行った面談

※パフォーマンス(現在、周りと比べて、高い評価を受けている方だと思いますか。)について、回答が「非常にそう思う」または「どちらかといえばそう思う」であれば「パフォーマンス発揮者」に分類


■調査の詳細3:中途入社者と人事の入社後の面談

パフォーマンス発揮者の7割が、入社後5か月目までに人事との面談を行っている。
一方で、パフォーマンス不十分者の約半数は、入社12か月目までに人事との面談を行っていない。

画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/182783/img_182783_4.jpg


※パフォーマンス(現在、周りと比べて、高い評価を受けている方だと思いますか。)について、回答が「非常にそう思う」または「どちらかといえばそう思う」であれば「パフォーマンス発揮者」、「どちらかといえばそう思わない」または「全くそう思わない」であれば「パフォーマンス不十分者」に分類

■考察〜結果が示唆していること〜

≪調査実施者からのコメント≫
第1弾での「中途入社者の『パフォーマンスの向上』には人事との面談、『離職意向度の低減』には上司との面談がそれぞれ有効である」との発信に対して、企業の人事の方々から「では具体的にどのような面談をすればよいのか」という反響を多く頂きました。
そこで今回の第2弾では、第1弾からもう一歩踏み込み、入社前後というシーンにおいて、人事が中途入社者と具体的にどのようなコミュニケーションをどのくらいとればよいのかを調査・分析しました。
結果、入社前の情報提供と入社後の面談の重要性が明らかになった一方で、入社後の面談については、その頻度、時間、内容、手段が中途入社者のパフォーマンスに影響ないことも分かりました。
シンプルに、入社前にリアリティある情報を提供すること、入社後遅くなりすぎないタイミングで面談を行うこと。中途入社者の入社後活躍に向け、本調査が人事自身の介在のあり方を検討する一助になれば幸いです。


画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/182783/img_182783_5.jpg

高森 純 氏(たかもり じゅん)

株式会社リクルートキャリア 事業開発室 インキュベーション部 リファラルグループ マネジャー
外資系コンサルティング会社を経て2012年に当社に入社。以降グローバル人事、ピープルアナリティクス、入社後活躍、 リファラル採用等の新領域の事業開発に一貫して従事。

≪守島教授からのコメント≫
今回の調査結果からは、「中途採用者の採用後パフォーマンスには、現場の上司とは違った役割で、人事部門が採用者ととるコミュニケーションやケアが極めて重要である。」ということが明らかになりました。オンボーディング活動においては、しばしば現場上司の役割が強調されますが、人事部門も重要なのです。

では、いったいなぜ重要なのでしょうか。ひとつのカギは調査で明らかになった「リアリティのある情報」ということでしょう。中途採用者は採用前から入社時にかけて不安です。この会社ではどういうキャリアを歩めるのか、どういう雰囲気の会社で、どういう制度があるのか。またマイナスの面は何なのか。そうしたことについて、マイナス面まで含んで中立的な視点から情報を提供できるのは、人事部門なのです。この考えは、RJP(Realistic Job Preview, 現実的な仕事・会社情報の事前開示)と呼ばれ、本調査でも重要性が明らかになりました。

またもうひとつは、「転職目的について聞いてくれた」、「必要な情報を得たかを確認してくれた」、「既存社員の話を聞きたいかを確認してくれた」などが入社後のパフォーマンスと正の関係があったことです。採用者の側から見ると、これらは人事部門(ひいては会社そのものが)採用者にケアを示しているサインであり、「大切にされている感」をもち、スタート時点での心理的安全の確立に繋がります。また入社後5か月目までに人事部門が面談を行うことが高いパフォーマンスに繋がるのも、問題等を早期にみつけ、対処する効果と同時に、採用者に関心をもち、 配慮されているという感覚を生み出すのでしょう。これはPOS(Perceived Organizational Support, 認知された組織支援)と呼ばれ、望ましい効果を生むことがわかっています。

画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/182783/img_182783_6.jpg

守島 基博 氏 (もりしま もとひろ)

学習院大学経済学部経営学科 教授
80年慶應義塾大学文学部社会学専攻卒業。86年米国イリノイ大学産業労使関係研究所博士課程修了。人的資源管理論でPh.D.を取得後、カナダ国サイモン・フレーザー大学経営学部助教授。90年慶應義塾大学総合政策学部助教授、98年同大大学院経営管理研究科助教授・教授、01年一橋大学大学院商学研究科教授を経て、2017年から学習院大学教授、2018年から副学長を兼務。厚生労働省労働政策審議会委員、財務省独立行政法人評価委員、経済産業省産業構造審議会臨時委員、経営行動科学学会長などを兼任。
著書に『人材マネジメント入門』、『人材の複雑方程式』(共に日本経済新聞出版社)、『人事と法の対話』(有斐閣)などがある。

■調査概要
●実施期間:2019年2月26日(火)~3月4日(月)
●調査対象:過去1〜3年以内に従業員数300名以上の企業に正社員・正職員として転職された方
●回答数 :946名
●調査方式:webを使用したアンケート

▼プレスリリース本編はこちらをご覧ください
https://www.recruitcareer.co.jp/news/pressrelease/2019/190424-01/

▼第1弾のリリースはこちらをご覧ください
https://www.recruitcareer.co.jp/news/pressrelease/2018/181009-02/

▼リクルートキャリアコーポレートサイト
http://www.recruitcareer.co.jp/

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