教育現場にVRを取り入れる海外の先進的取り組み
[23/04/25]
提供元:@Press
提供元:@Press
「ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所」(※以下、IBS)ではグローバル化社会における幼児期からの英語教育の有効性や重要性に関する情報を定期的に発信しています。今回は、当研究所の主任研究員ポール・ジェイコブズが、イリノイ大学のランドール・サドラー氏とImmerse社のトリシア・スラッシャー氏へのインタビューを行いました(プロフィールは以下で紹介)。2人が取り組む2つのプロジェクトとその成果をご紹介します。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/353885/img_353885_1.jpg
<インタビュー記事まとめ>
・海外では、VRをどのように言語教育に活用するかを検討する研究や教育現場での導入が進んでいる。
・プロジェクト1 スペインの小学6年生を対象にVRを使って英語を教える研究プロジェクトの結果、子どもたちはVRのほうが通常の授業よりも自発的に英語を話していた。
・プロジェクト2 アメリカの高校を対象に、外国語教育の既存カリキュラムでVRを活用する大規模な研究プロジェクトを進めている。
■今回の2つのキーワード
高没入型のVR:目の前に360度映し出された世界にすっかり入り込み、まるで現実世界かのように感じるVR
Immerse(イマース): Immerse社が開発した、生徒が教師と対話できる「人間対人間」のインタラクティブな言語学習用VRアプリケーション
■ スペインの小6のプロジェクト1VRレッスンのほうが不安を感じず「英語を話そう」と思える
スペインの小学6年生のクラスで、10週間にわたり、VRを活用した英語のレッスンが行われました。子どもたちは、アートギャラリーや家、ガレージ、魔法の世界のような大広間など、さまざまなVR空間で英語を学びます。サドラー教授らは、子どもたちへのアンケート調査、レッスン中の発話の分析を行い、通常の教室環境で授業を受ける場合と比較しました。
<研究からわかったこと>
VRレッスンのほうがたくさんの単語を覚えたように感じている子どもが多くいた。教室レッスンよりもVRレッスンのほうがより高いレベルのパフォーマンスを発揮していた。通常の授業では静かなのにVRレッスンでは活発になる子どもがいた。
なぜ、子どもたちはVRレッスンのほうがうまく学べたのでしょうか。サドラー教授らによると、子どもたちがあらゆることばを文脈(ことばが実際に使われる目的・状況・場面など)の中で学べたこと、また、レッスンの楽しさによって不安が軽減され「もっと英語を話そう」という気持ちになったことが要因として考えられます。
なお、スラッシャー氏が大学生を対象に行った研究では、教室よりもVR空間で外国語のレッスンを受けたほうが不安をあまり感じない、ということが唾液中のコルチゾール(ストレスホルモン)や心拍数の測定でも明らかになりました。
■ プロジェクト2教育資源に乏しいアメリカの高校へのVR導入プロジェクトが2023春スタート
アメリカの多くの大学では、学内にVRラボがあり、VR活用の普及が進み、これらの技術を使いたいと考える第二言語習得研究者や教師の間で、大きな関心が持たれています。一方、K-12(幼稚園〜高校)では、一部が導入し始めたばかりで、VR機器が高価なため、まだ一般的ではありません。
そこで、教育資源に乏しい高校を対象に、500台のVR用ヘッドセットをMeta社(旧Facebook)から研究助成を受けて提供する、Immerse社(担当:スラッシャー氏)とサドラー教授、そして2名の研究パートナーによるパイロット研究が2023年春にスタートしました。プロジェクトの目的は、「教師それぞれが置かれた状況で、VRを外国語学習にどう活用するのが最適か」を検討すること。先生方と協力しながら「ワークショップによるトレーニングの実施」や、「VRを活用したレッスンプランの開発サポート」を行います。研究に参加する学校は、全米各地(カリフォルニア州、テキサス州、イリノイ州)の高校です。
■ おわりに:学校の先生たちが授業で気軽にVRを活用できる未来へ
現時点では、高没入型のVRヘッドセットは、学校の先生方が気軽に利用できるものとして認識されていません。しかし、このプロジェクトによって、その認識が変わるかもしれません。日本政府は、授業におけるテクノロジー活用を推進し、言語を文脈と結びつけて学べるVRが効果的な役割を果たすことを期待しています。VR学習には、「VR空間でのリアルな場面・状況で英語(または他教科)を学ぶ」→「本物のやり取りが促進される」→「話す不安を軽減する」という可能性があり、通常の授業で英語を使うことに自信がない多くの日本人生徒にとって、ぴったりの学習法に思えます。
サドラー教授らからは、VRが得意なこと・苦手なこと、VRに適した指導スタイルについても伺うことができ、適切に活用すれば多くの人に役立つものになり得ることがわかりました。(IBS研究員ポール・ジェイコブズ)
プロフィール
Randall Sadler(ランドール・サドラー)
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 アソシエイト・プロフェッサー(助教)。言語学分野の助教として、コンピュータを介したコミュニケーションと言語学習(CMCLL)、仮想世界と言語学習(VWLL)についての講義を担当。現在、CALICO(コンピュータ支援言語教育コンソーシアム)の会長を務める。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/353885/img_353885_2.jpg
Tricia Thrasher(トリシア・スラッシャー)
インタラクティブな言語学習用VRアプリケーションを開発するImmerse社のリサーチ・マネージャー&フランス語プログラム・マネージャー。イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で「仮想現実(VR)が第二言語学習の成果にどのような影響を与えるか」を研究テーマに博士号を取得。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/353885/img_353885_3.jpg
※詳しい内容はIBS研究所で公開中の下記の記事をご覧ください。
前編:https://bilingualscience.com/english/2023042001/
後編:https://bilingualscience.com/english/2023042101/
■ワールド・ファミリーバイリンガル サイエンス研究所
(World Family's Institute of Bilingual Science)
事業内容:教育に関する研究機関 HP https://bilingualscience.com/
Twitter https://twitter.com/WF_IBS
所 長:大井静雄
(脳神経外科医・発達脳科学研究者ドイツ・ハノーバー国際神経科学研究所
(INI)小児脳神経外科名誉教授・医学博士)
所 在 地:〒160-0023 東京都新宿区西新宿4-15-7
パシフィックマークス新宿パークサイド1階
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/353885/img_353885_1.jpg
<インタビュー記事まとめ>
・海外では、VRをどのように言語教育に活用するかを検討する研究や教育現場での導入が進んでいる。
・プロジェクト1 スペインの小学6年生を対象にVRを使って英語を教える研究プロジェクトの結果、子どもたちはVRのほうが通常の授業よりも自発的に英語を話していた。
・プロジェクト2 アメリカの高校を対象に、外国語教育の既存カリキュラムでVRを活用する大規模な研究プロジェクトを進めている。
■今回の2つのキーワード
高没入型のVR:目の前に360度映し出された世界にすっかり入り込み、まるで現実世界かのように感じるVR
Immerse(イマース): Immerse社が開発した、生徒が教師と対話できる「人間対人間」のインタラクティブな言語学習用VRアプリケーション
■ スペインの小6のプロジェクト1VRレッスンのほうが不安を感じず「英語を話そう」と思える
スペインの小学6年生のクラスで、10週間にわたり、VRを活用した英語のレッスンが行われました。子どもたちは、アートギャラリーや家、ガレージ、魔法の世界のような大広間など、さまざまなVR空間で英語を学びます。サドラー教授らは、子どもたちへのアンケート調査、レッスン中の発話の分析を行い、通常の教室環境で授業を受ける場合と比較しました。
<研究からわかったこと>
VRレッスンのほうがたくさんの単語を覚えたように感じている子どもが多くいた。教室レッスンよりもVRレッスンのほうがより高いレベルのパフォーマンスを発揮していた。通常の授業では静かなのにVRレッスンでは活発になる子どもがいた。
なぜ、子どもたちはVRレッスンのほうがうまく学べたのでしょうか。サドラー教授らによると、子どもたちがあらゆることばを文脈(ことばが実際に使われる目的・状況・場面など)の中で学べたこと、また、レッスンの楽しさによって不安が軽減され「もっと英語を話そう」という気持ちになったことが要因として考えられます。
なお、スラッシャー氏が大学生を対象に行った研究では、教室よりもVR空間で外国語のレッスンを受けたほうが不安をあまり感じない、ということが唾液中のコルチゾール(ストレスホルモン)や心拍数の測定でも明らかになりました。
■ プロジェクト2教育資源に乏しいアメリカの高校へのVR導入プロジェクトが2023春スタート
アメリカの多くの大学では、学内にVRラボがあり、VR活用の普及が進み、これらの技術を使いたいと考える第二言語習得研究者や教師の間で、大きな関心が持たれています。一方、K-12(幼稚園〜高校)では、一部が導入し始めたばかりで、VR機器が高価なため、まだ一般的ではありません。
そこで、教育資源に乏しい高校を対象に、500台のVR用ヘッドセットをMeta社(旧Facebook)から研究助成を受けて提供する、Immerse社(担当:スラッシャー氏)とサドラー教授、そして2名の研究パートナーによるパイロット研究が2023年春にスタートしました。プロジェクトの目的は、「教師それぞれが置かれた状況で、VRを外国語学習にどう活用するのが最適か」を検討すること。先生方と協力しながら「ワークショップによるトレーニングの実施」や、「VRを活用したレッスンプランの開発サポート」を行います。研究に参加する学校は、全米各地(カリフォルニア州、テキサス州、イリノイ州)の高校です。
■ おわりに:学校の先生たちが授業で気軽にVRを活用できる未来へ
現時点では、高没入型のVRヘッドセットは、学校の先生方が気軽に利用できるものとして認識されていません。しかし、このプロジェクトによって、その認識が変わるかもしれません。日本政府は、授業におけるテクノロジー活用を推進し、言語を文脈と結びつけて学べるVRが効果的な役割を果たすことを期待しています。VR学習には、「VR空間でのリアルな場面・状況で英語(または他教科)を学ぶ」→「本物のやり取りが促進される」→「話す不安を軽減する」という可能性があり、通常の授業で英語を使うことに自信がない多くの日本人生徒にとって、ぴったりの学習法に思えます。
サドラー教授らからは、VRが得意なこと・苦手なこと、VRに適した指導スタイルについても伺うことができ、適切に活用すれば多くの人に役立つものになり得ることがわかりました。(IBS研究員ポール・ジェイコブズ)
プロフィール
Randall Sadler(ランドール・サドラー)
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 アソシエイト・プロフェッサー(助教)。言語学分野の助教として、コンピュータを介したコミュニケーションと言語学習(CMCLL)、仮想世界と言語学習(VWLL)についての講義を担当。現在、CALICO(コンピュータ支援言語教育コンソーシアム)の会長を務める。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/353885/img_353885_2.jpg
Tricia Thrasher(トリシア・スラッシャー)
インタラクティブな言語学習用VRアプリケーションを開発するImmerse社のリサーチ・マネージャー&フランス語プログラム・マネージャー。イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で「仮想現実(VR)が第二言語学習の成果にどのような影響を与えるか」を研究テーマに博士号を取得。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/353885/img_353885_3.jpg
※詳しい内容はIBS研究所で公開中の下記の記事をご覧ください。
前編:https://bilingualscience.com/english/2023042001/
後編:https://bilingualscience.com/english/2023042101/
■ワールド・ファミリーバイリンガル サイエンス研究所
(World Family's Institute of Bilingual Science)
事業内容:教育に関する研究機関 HP https://bilingualscience.com/
Twitter https://twitter.com/WF_IBS
所 長:大井静雄
(脳神経外科医・発達脳科学研究者ドイツ・ハノーバー国際神経科学研究所
(INI)小児脳神経外科名誉教授・医学博士)
所 在 地:〒160-0023 東京都新宿区西新宿4-15-7
パシフィックマークス新宿パークサイド1階