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光電融合技術とオープン標準を用いた複数社製品による 400Gbps/800Gbps IOWN APN を OFC2024 で動態展示

発表のポイント:
◆ 光ネットワーク技術の世界最大級の国際会議「OFC2024」展示会で、最先端技術
のデモ環境「OFCnet」にて、IOWN(※1)APN(※2)の動態展示を実施
◆ 革新的データセンタエクスチェンジサービス実現に向け、IOWN Global Forum(※3)
およびOpen ROADM MSA(※4)との連携により、マルチベンダでの400Gbps/800Gbps
相互接続動作を実証
◆ 大容量サービスを低遅延、低消費電力で遠隔地まで提供できる光電融合デバイス技術、
監視技術が実現され、サービス提供の効率が大幅に向上

表1: https://www.atpress.ne.jp/releases/389641/table_389641_1.jpg


画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/389641/img_389641_1.png
図1 マルチベンダでDCXをデモンストレーションする展示構成

1. 背景
インターネットやスマートフォンの普及に加え、AIを利用したサービスの台頭により、データセンタのコンピューティングリソース間の通信データ量、および通信設備の消費電力が急増しています。 NTTグループは、このような通信量・消費電力の急激な増加に対処するため、光電融合技術(※5)を活用した低消費電力で大容量・低遅延の次世代インフラであるIOWN APN(All-Photonics Network)の実現と普及を進めています。また、都市部に集中していたデータセンタを電力やスペースの確保が容易な郊外へ分散配置する分散型データセンタの構築を計画しています。
分散型データセンタをIOWN APNで接続する際、複数のデータセンタ拠点があたかも単一の拠点として利用できるような情報処理が必要となります。この機能の実現には、分散配置される遠隔のデータセンタを大容量・低遅延・低消費電力なエンド・ツー・エンド光波長パスにより自在に接続するデータセンタエクスチェンジサービス(以下DCX)機能が必須です。遠距離に配置されたデータセンタ拠点を接続するDCXでは、伝送距離と監視範囲を拡大する必要がありますが、現状の伝送網では電気終端点が存在してしまい、低遅延化、省電力化に課題がありました。IOWN APNでは電気終端を適用せず光電融合デバイス間を光のままエンド・ツー・エンドで接続し、限界まで低遅延化、省電力化を進めることをめざしています。
NTT、およびNTT ComはこれまでIOWN Global Forum(IOWN GF)の規定するAPNアーキテクチャを利用してDCXを実現するため、APNに必要となる光伝送技術、デバイス技術、ソフトウェア技術の研究開発とフィールドでの実証実験を進めてきました[1]。また、オープンな光網を実現するため、IOWN GFとOpen ROADM MSA, TIP(※6)という関連フォーラムを連携させることにより、DCXにおいて遠隔拠点を監視・制御するためのネットワークアーキテクチャの標準化を進めています。

2. 展示の内容
本展示はOFC2024展示会のブース912「IOWN Networking Hub」にて、IOWN APNのユースケースであるDCXを複数社の製品を用いて動態展示します。IOWN APNによるDCXは光・電気変換を接続ネットワーク内で行わず、光のままの回線である光波長パスを低遅延、低消費電力で提供することにより、遠隔地への大容量回線提供の効率を大幅に向上させます。本展示は、このような遠隔拠点へのサービス提供の課題である遠隔回線監視と、長距離伝送のために必要となる伝送路解析と伝送パラメータ最適化に対する解決方法を示すものです。

■エンド・ツー・エンド光網
IOWN Networking Hubに配備された光電融合技術を利用したトランシーバを光波長パスの送受信端とし、OpenROADM MSAおよびOpenLab@UTD(※7)により隣接ブース916に構築されるOpen ROADM 光網に対して400Gbpsおよび800Gbpsという大容量回線を接続します。両ブースの連携により、IOWN Networking Hubのトランシーバから中継区間となるROADM光網を介した、遠隔ユーザ拠点間のエンド・ツー・エンド光網の実演をします。
■伝送路解析と光波長パス自動最適化
遠隔のデータセンタ拠点に配備された機器の遠隔監視を実現するソフトウェア技術であるリモート制御エージェント機能と、光信号のパワーレベルをエンド・ツー・エンドで可視化するDigital Longitudinal Monitoring(DLM)[2]を利用し、最新の市中技術で構成されたエンド・ツー・エンドのマルチベンダ光伝送網上で最適な光波長パスを提供する技術を実演します。
■オープンなマルチベンダネットワーク
エンド・ツー・エンドデモに必要な光ネットワーク設備はOptica の提供するネットワークデモ環境OFCnetと、OFS、アンリツ、 VIAVIの提供する光ファイバと光測定器を活用して構築します。加えて、光通信装置・光トランシーバのリーディングベンダであるCiena、富士通株式会社(以下、富士通社)、Molex、NECの最新製品を接続し、NTT研究所およびNTTコムウェアの光網運用監視システムを活用し統合的なデモを実現します。なお、ブースでは NTT ComによるIOWN APNの将来のオペレーション像のプレゼンテーションが予定されています。
IOWN GFとOpen ROADM MSAという光通信業界のリーダシップをとる主要フォーラムが連携してオープンなアーキテクチャが示されると共に、光電融合デバイス等の必要なキー技術の商用化が進んだことにより、IOWNによるDCX実現の通信機器市場のオープンなエコシステムが成熟してきました。このため、市中製品にNTTグループが提供する監視技術・最適化技術を適用した光ネットワークを構築することでオープンなDCXの構築が可能となりました。

3. 今後の展開
今回展示したDCXを実現するIOWNの分散型データセンタのマルチベンダ接続は、IOWN GF、Open ROADM MSA、TIPといったオープンフォーラムが連携した標準化成果を最大限に利用して実現されています。NTTグループはこれらのフォーラムと連携を進め、ネットワークの高度化と共に、ネットワークのオープン化をめざしていきます。
NTT Comでは、光電融合技術を活用した新しい通信設備を2025年度に導入することで、さらなる大容量・低遅延・低消費電力のAPN通信サービスを実現し、データセンタ接続などを行う予定です。
また、遠隔回線監視、伝送路解析などの技術の適用について検討を進めています。
NTTグループは、今回の展示を実現した業界内連携を基に、ますます重要となる社会インフラであるデータセンタの接続への、省電力・大容量・低遅延なIOWN APNの適用を加速していきます。

その他
デモの一部(リモート制御エージェント機能)は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の助成事業(採択番号50201:オール光ネットワークのサービス機能向上技術及び遠隔制御対応光トランシーバ構成技術に関する研究開発プロジェクト)で実施されます。

【参考】
[1] ニュースリリース「データセンタエクスチェンジの実現に向けAPNを活用した光波長パス設定技術を確立し実証」https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/10/13/231013a.html
[2] T. Sasai, M. Nakamura, E. Yamazaki, S. Yamamoto, H. Nishizawa and Y. Kisaka, "Digital Longitudinal Monitoring of Optical Fiber Communication Link," Journal of Lightwave Technology, vol. 40, no. 8, pp. 2390-2408,2022.

【用語解説】
(※1): Innovative Optical and Wireless Network (IOWN)
あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、光を中心とした革新的技術
を活用し、高速大容量通信ならびに膨大な計算リソースなどを提供可能な、
端末を含むネットワーク・情報処理基盤。NTTニュースリリース
「NTT Technology Report for Smart World:What's IOWN?」
https://group.ntt/jp/newsrelease/2019/05/09/190509b.html
(※2): Open All-Photonic Network (APN)
IOWN Global Forumにてオープンにアーキテクチャ策定が行われている
フォトニクス技術をベースとした革新的ネットワーク。IOWNのユースケース
を支えるネットワークとして、必要なときに必要な地点間を光波長パスで
ダイレクトに接続可能にする。
https://iowngf.org/wp-content/uploads/formidable/21/IOWN-GF-RD-Open_APN_Functional_Architecture-2.0.pdf
(※3): IOWN Global Forum
これからの時代のデータや情報処理に対する要求に応えるために、
新規技術、フレームワーク、技術仕様、リファレンスデザインの開発を
通じ、シリコンフォトニクスを含むオールフォトニクス・ネットワーク、
エッジコンピューティング、無線分散コンピューティングから構成される
新たなコミュニケーション基盤の実現を促進する新たな業界フォーラム。
https://iowngf.org/
(※4): Open ROADM MSA
ROADM (Reconfigurable Optical Add-Drop Multiplexer) システムを
ベンダ間で相互運用できるようにするためのインタフェースや、仕様を定義
しているMSA (Multi-Source Agreement)。
http://openroadm.org/
(※5): 光電融合技術
電気信号を扱う回路と光信号を扱う回路を融合することで、小型化や経済化
に加え、高速化や低消費電力化などの性能向上を実現するデバイス。
https://journal.ntt.co.jp/article/23720
(※6): Telecon Infra Project (TIP)
世界で必要とされる高品質な接続性を提供するために数百社を含む多様な
メンバーが参画し、オープン化・ディスアグリゲーション化・標準化に
基づくソリューションを開発・試験・展開するグローバルコミュニティ。
https://telecominfraproject.com/
(※7): OpenLab@UTD
オープンネットワークのイノベーションの創出をめざしテキサス大学が
中心に運営される、光ネットワーク相互接続の試験環境を提供する業界団体。

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