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有料老人ホームに関するアンケート調査〜高齢の親を持つシニアから見た、有料老人ホームの選び方〜

シニアマーケットの専門機関である株式会社シニアコムは、2014年4月に、高齢の親を持つシニア(50代・60代)を対象に、「有料老人ホームに関するアンケート」を実施しました。

・調査手法 :WEBアンケート調査
・対象者  :50歳〜69歳の男女個人(シニアコムMASTER会員)
       -自身の親が存命の方
・有効回答数:334人(男性205人 女性129人)
・実施時期 :2014年4月


このアンケートでは高齢者の生活や介護に関わる商材として「有料老人ホーム」にフォーカスし、高齢の親を持つシニア(50代・60代)からの視点で、
・どのように認知されているか
・身近な家族の介護に利用されているか
・今後の親の介護に利用を検討しているか
といった内容を聴取しました。


《調査結果サマリー》
■Part.1 「有料老人ホーム」の認知状況
・「有料老人ホーム」の内容や特徴はおよそ5割に知られているが、実際に訪問したことは3割に留まる。
・また類似する介護施設「特別養護老人ホーム」との違いを「知らなかった」≒誤認していたケースも4割近くに上る。

■Part.2 これまでの「有料老人ホーム」の利用状況
・シニアの身近な家族(親や兄弟・姉妹、配偶者)が「有料老人ホーム」を利用した経験は15%前後となる。
・利用した方が満足する割合は8割以上と総じて高く、特にスタッフの対応やホームでの生活サービスに対する評価が高く、ソフト面の満足が安心につながっている。

■Part.3 今後の「有料老人ホーム」の利用意向
・親に介護が必要となった場合に介護サービスを選ぶ主体者には、親の子供であるシニアがトップに挙がり、特に子供が女性(娘)である場合に顕著となる。
・その上で親に介護が必要となった場合に「有料老人ホーム」を利用する意向は、全体の35%に上り、親の要介護度合いが進むにつれて利用意向も高まる。
・さらに、親の介護向けに「有料老人ホーム」を利用する意向がある方に、「有料老人ホーム」の事業者を選ぶ際の情報源や重視点を聴取すると、
- 参考にする情報源には「介護関係者/直接見て/インターネット」が上位に挙がり、
- 選ぶ際の重視点には、費用面とソフト面の2つに集約される結果となった。
  費用面 :月額利用料、一次入居金
  ソフト面:介護/医療/食事サービスの充実さ、対応するスタッフ体制の充実さや人柄


■Part.1 「有料老人ホーム」の認知状況
まずアンケートでは「有料老人ホーム」の定義、および類似する介護施設として「特別養護老人ホーム」との説明を呈示して、その認知状況を聴取しました。

図1_「有料老人ホーム」の認知
http://www.atpress.ne.jp/releases/46994/img_46994_1.png
図2_「有料老人ホーム」と「特養養護老人ホーム」の違いの認識
http://www.atpress.ne.jp/releases/46994/img_46994_2.png

・(図1)今回対象者の8割超が「有料老人ホーム」を知っているものの、その認知状況は「名称や概要のみ」といった知名レベルが4割近くを占めている結果となりました。さらに認知状況の深いレベルを見ると、「内容や特徴まで」の理解レベルは5割ほどとなり、「実際に訪問まで」の体験レベルは3割に留まりました。
・(図2)また類似する介護施設として「特別養護老人ホーム」との説明と並べて、その違いの認識を聴取すると、全体の4割近くが「知らなかった」≒誤認していた結果となりました。


「有料老人ホーム」は、高齢の親を持つシニア(50代・60代)に広く知られてはいるものの、その理解や体験といった深いレベルでの認知は充分ではなく、類似する介護施設と誤認していたケースも見られます。

このように認知状況に影響する要因として、「有料老人ホーム」を知っていると回答した方へ、その認知媒体や経緯を聴取すると、認知状況のレベルによって次のような傾向が表れました。

図3_「有料老人ホーム」の内容や特徴を知った媒体や経緯:認知状況別
http://www.atpress.ne.jp/releases/46994/img_46994_3.png

・実際に訪問した体験レベルの認知経路には、「直接見て(見学して)」に加えて、「介護関係者」が主なルートに挙がるのに対し、理解・知名レベルの認知経路には、「テレビ/新聞」といったマス媒体が上位に挙がります。
・これは、家族に介護が必要にならない限り「有料老人ホーム」を意識していないため、普段は能動的な情報収集を行っておらず、いざ介護が必要となって、直接見学する/介護関係者に聞くといった、直接的な情報収集の行動に移っていると推測されます。


■Part.2 これまでの「有料老人ホーム」の利用状況
次にアンケートでは、身近な家族(親や兄弟・姉妹、配偶者)が「有料老人ホーム」を利用した経験やその利用に至る経緯やきっかけを聴取しました。

図4_身近な家族が「有料老人ホーム」を利用した経験
http://www.atpress.ne.jp/releases/46994/img_46994_4.png

・今回対象者の身近な家族(親や兄弟・姉妹、配偶者)が「有料老人ホーム」を利用したのは15%前後になりました。

図5_身近な家族が「有料老人ホーム」を利用した経緯やきっかけ
http://www.atpress.ne.jp/releases/46994/img_46994_5.png

・利用者が未だ少ないという中で、実際に身近な家族が利用した経緯やきっかけには、「見守りや付添い/介助が必要になった」が上位項目に挙がり、直接的な要因として介護が必要になったことが「有料老人ホーム」の利用動機につながっています。


続いて家族が「有料老人ホーム」を利用した際に、その設備やサービスにどの程度満足したか、シニア自身からの評価を問うと、次のような結果となりました。

図6_身近な家族が「有料老人ホーム」を利用した際の設備やサービスなどの満足度
http://www.atpress.ne.jp/releases/46994/img_46994_6.png

・満足度の評価は、「満足している+やや満足している」が8割以上を超え、利用者の大部分からポジティブな回答となっています。


さらに、家族が「有料老人ホーム」を利用した方に満足点を自由回答形式で挙げてもらうと、介護にあたってスタッフの対応やホームでの生活サービスに対する評価が高く、これらソフト面の評価が満足に影響している回答が見られました。

図7_身近な家族が利用した「有料老人ホーム」の設備やサービスなどの満足点(FA抜粋)
http://www.atpress.ne.jp/releases/46994/img_46994_7.png

これらのことから、「有料老人ホーム」を利用する水準は未だ15%前後と低いものの、利用した方からの満足度は総じて高く、特にスタッフやサービスといったソフト面の満足が、家族にとっての安心につながっていると見てとれます。


■Part.3 今後の「有料老人ホーム」の利用意向
ここまで、シニア自身の認知状況とこれまでの家族の利用状況について触れてきましたが、アンケートの終盤では、親に介護が必要となった場合に「有料老人ホーム」を利用する意向があるかを聴取しました。
その前段として、親に介護が必要となった場合に誰が介護サービスを選ぶか、選択する主体者を聴取しました。

図8_親に介護が必要となった場合に、介護サービスを選ぶ主体者(親から見た続柄)
http://www.atpress.ne.jp/releases/46994/img_46994_8.png

・介護サービスを選ぶ主体者には、親の子供であるシニアがトップに挙がり、特にシニアが女性(娘)である場合にその反応が顕著になります。
・その他に親本人がサービスを選ぶ主体者になる割合は、親の要介護度合いが進むにつれて下がっていく傾向が認められます。


その上で、親に介護が必要となった場合に「有料老人ホーム」を利用する意向を聴取すると、親の要介護度合いに応じて、利用意向が変動する結果となりました。

図9_今後の親の介護向けに「有料老人ホーム」を利用する意向
http://www.atpress.ne.jp/releases/46994/img_46994_9.png

・(図9)全体で見た利用意向は、「利用すると思う+やや利用すると思う」が35%に上り、親の要介護度合いが進むにつれて上がっていくことから、今後将来的な利用水準は上昇していくものと推測されます。


さらに今後、「有料老人ホーム」を利用する意向がある方には、「有料老人ホーム」の事業者を選定する際の情報源や重視点を聴取しました。

図10_親の介護向けに「有料老人ホーム」の事業者を選ぶ際に参考にする情報源
http://www.atpress.ne.jp/releases/46994/img_46994_10.png
図11_親の介護向けに「有料老人ホーム」の事業者を選ぶ際に重視する点
http://www.atpress.ne.jp/releases/46994/att_46994_1.png

・(図10)まず参考にする情報源には、「介護関係者/直接見て/インターネット」が上位に挙がります。前述の図3の有料老人ホームを体験していた方の認知経路にも「介護関係者/直接見て」が挙がっており、これらに加えて「インターネット」が有力な情報源になると考えらえます。その一方、「テレビ/新聞」といったマス媒体は低く留まります。
・(図11)「有料老人ホーム」の事業者を選ぶ際の重視点には、大きく2つの内容に集約されます。
- 費用面 :月額利用料、一次入居金
- ソフト面:介護/医療/食事サービスの充実さ、対応するスタッフ体制の充実さや人柄


有料老人ホームがある程度の金額が必要なサービスであるため、費用面が挙がるのはもちろんのことと思われますが、ソフト面を重視する傾向は、先ほどの図7での家族が有料老人ホームを利用している方の満足度にも共通する見方と言えます。


あらためて今回フォーカスした「有料老人ホーム」について振り返ると、家族に介護が必要にならない限り意識は向かず、普段は能動的な情報収集を行っていないため、一般の生活者からは充分に知られていないサービスと言えます。

そのため今回の調査のように、高齢の親を持つシニアが「有料老人ホーム」の内容や特徴を知っているのは5割、実際に訪問したことは3割に留まり、類似する介護施設「特別養護老人ホーム」と誤認しているケースも4割に挙がりました。

その一方で、今後の親の介護向けに「有料老人ホーム」を利用する意向は、全体の35%に上り、親の要介護度合いが進むにつれて利用意向が高まることから、今後将来的な利用水準は上昇していくものと推測されます。

親に介護が必要となった場合に介護サービスを選ぶ主体者は、その子供であるシニアであるため、「有料老人ホーム」がサービスとして理解されて選ばれていくには、ステークホルダーであるシニアの目線に合わせて、情報の未充足を解消していくことが必須と考えられます。

その意味では今回の調査結果に挙がった、高齢の親を持つシニアが「有料老人ホーム」を選定する際の情報源や重視点に沿った形で、「有料老人ホーム」の事業者側が適切に情報を提供していくことが重要になります。


当社ではシニアマーケットに特化したマーケティング会社として、今後もこういったシニア向けの商材・サービスと生活者のインサイトに着目したアンケートを実施・リリースすることを予定しております。
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