【「ママと水のトレーサビリティに関する調査」実施】育児中のママ、水道水への低い信頼感 妊娠後に飲用をやめるもの1位「水道水」13.8%減 飲用が増加するもの1位「ペットボトルの水」10.0%増、2位「ウォーターサーバーの水」5.6%増
[15/07/14]
提供元:@Press
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“水”の安全性や選び方、活用方法を改めて考え直すことを目的とする「水を考えるプロジェクト」(所在地:東京都渋谷区)では、水の飲料需要が高まるこれからの季節に向け10歳未満のお子さんをもつ母親500名を対象に「ママと水のトレーサビリティ※1に関する調査」を実施しました。
※1トレーサビリティとは:生産、処理、流通・販売等の段階における食品の移動を把握すること。食料品の仕入れ先、販売先、生産・製造過程などの記録をとり、保管し食品とその情報を追跡し、さかのぼることができること。
今回の調査結果から、「妊娠」や「出産」をきっかけに、食の安全性や質に意識が高まること、妊娠前と妊娠後では飲用水選びに変化があることなどが分かりました。妊娠前は「水道水」を飲む人が最も多かったのに対し、妊娠後では「水道水」が減少し、「ペットボトルの水」を飲用する人が増加していることから、「妊娠」をきっかけに「水道水」の飲用を止める人が多く存在していることがうかがえます。
そこで「水を考えるプロジェクト」では水ジャーナリストの橋本 淳司氏に調査結果について解説頂きました。また、水の種類や特徴、選び方について伺いました。
【調査トピックス】
1. 多くの母親は「妊娠」や「出産」がきっかけで、食の安全性や質への意識が高まる!
2. 妊娠前後では飲用水選びにも変化が!
・妊娠後は「ペットボトルの水」の飲用が増加、プラス10.0%
・最も減少するのは「水道水」、マイナス13.8%
・妊娠後「安全性」を意識する母親は、妊娠前の約2倍に。
3. 熱中症対策で子供に飲ませるもの
1位「麦茶」80.4%、2位「スポーツドリンク」46.8%、3位「ペットボトルの水」32.4%
4. 約半数の母親は、「口飲み後1日経過」しているものを飲ませることを躊躇しない!
【水ジャーナリスト橋本 淳司氏より調査結果の解説】
調査の結果によると、多くの母親が妊娠や出産をきっかけに、飲用水への意識が高まっています。妊娠前後で「水道水」を飲用している母親は減少している一方で、「ペットボトルの水」の飲用者は大幅に増加しています。根底には水道水は不安、ペットボトル水は安心という思いがあるのでしょう。その背景には東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故があるのではないでしょうか。2011年3月23日、東京都金町浄水場など首都圏の水道水から、乳幼児向けの暫定基準値を上回る放射性ヨウ素が検出されました。乳児の水道水摂取を控える呼びかけがあると、人々はペットボトル水を大量に買いました。それまでも被災地に重点的に配送されて品薄だったペットボトル水が完全にスーパーやコンビニから姿を消し、通販サイトでも売り切れていました。その後、水道水が安全な水質に戻りましたが、多くの人がペットボトル水を支持し続けています。しかし、実は水道水の基準は、ミネラルウォーターより厳密です。ミネラルウォーターの基準を定めているのは食品衛生法で水質基準は39項目。水道水の基準を定めているのは水道法で水質基準は51項目。
それぞれに共通する基準値7項目を比較してみると水道水のほうが厳しいのです。また、ミネラルを補給することを期待してペットボトル水を飲む人がいますが、国産のミネラルウォーターは大部分が軟水であり、水道水にも同程度のミネラルが含まれています。こうしたことも参考にしながら一人ひとりが水を選ぶとよいのではないでしょうか。
■多くの母親は「妊娠」や「出産」がきっかけで、食の安全性や質への意識が高まる!
https://www.atpress.ne.jp/releases/67265/img_67265_1.jpg
■妊娠前後では飲用水選びにも変化が!
・妊娠後は「ペットボトルの水」の飲用が増加、プラス10.0%
・最も減少するのは「水道水」、マイナス13.8%
・妊娠後「安全性」を意識する母親は、妊娠前の約2倍に。
https://www.atpress.ne.jp/releases/67265/img_67265_2.jpg
https://www.atpress.ne.jp/releases/67265/img_67265_3.jpg
10歳未満のお子さんをもつ母親500名を対象に、「ママと水のトレーサビリティに関する調査」を実施しました。
「食の質・安全性に対して意識が変わったことがありますか。ある方は何がきっかけで変わりましたか。」と質問したところ、質に関しては「出産」が最も多く65.0%、次いで「妊娠」61.2%という結果になりました。安全性に関しても、質と同様に「出産」を回答した人が最も多く78.0%、次いで「妊娠」71.8%と、母親の多くが出産や妊娠をきっかけに食の質や安全性に対する意識が高まっていることが明らかになりました。
次に、妊娠前後の飲用水選びに関する意識の変化について調査しました。
妊娠前と妊娠後の家庭での飲用水の状態について質問したところ、最も増えた項目は「ペットボトルの水」次いで、「ウォーターサーバーの水」という結果になりました。妊娠前に「ペットボトルの水」を飲用していた人は全体の37.6%に対し、妊娠後は47.6%と、10.0%増加しました。一方で、最も減少したものは「水道水」という結果になりました。妊娠前に「水道水」を飲用していた人は45.5%に対し、妊娠後は31.6%と13.8%の人が妊娠後に水道水の飲用を止めていることが分かります。
妊娠前と妊娠後の水を選ぶ際に意識にしていることについて質問したところ、妊娠をきっかけに最も増加したのは「安全性」次いで「ミネラル」という結果になりました。妊娠前に水の「安全性」を意識していた人は37.6%に対し、妊娠後は64.4%と約2倍に増えていることが分かります。一方で最も減少している項目は「特に気にしていない」で11.6%でした。
この結果から、多くの母親は妊娠をきっかけに摂取する水分選びを気にかけはじめることが分かります。
■熱中症対策で子供に飲ませるもの
1位「麦茶」80.4%、2位「スポーツドリンク」46.8%、3位「ペットボトルの水」32.4%
https://www.atpress.ne.jp/releases/67265/img_67265_4.jpg
■約半数の母親は、「口飲み後1日経過」しているものを飲ませることに躊躇しない!
https://www.atpress.ne.jp/releases/67265/img_67265_5.jpg
「熱中症対策として子供に飲ませるものは何ですか」と質問したところ、最も多かったものは「麦茶」80.4%、次いで「スポーツドリンク」46.8%、「ペットボトルの水」32.4%という結果になりました。
また、「お子さんに飲ませることを躊躇するものは何ですか」と質問したところ、最も多くの人が選択したのは「臭いがある」92.4%、2番目に多かったものは「沈殿物がある」と「濁っている」で92.0%という結果になりました。
また、今回の調査から約半数の母親は、お子さんに「口飲み後1日経過」しているものを飲ませることに躊躇しないことが明らかになりましたが、水を考えるプロジェクトが2015年5月に実施した水の種類による菌数変動実験によると水によっても菌が増えやすいもの、増えにくいものがあることが実験の結果から明らかになりました。水道水、天然水、RO水などの試験水に菌を添加し、時間の経過と菌数の変動について調べたところ、保管期間24時間を経過すると菌数が大幅に増加するものもみられました。「口飲み後1日経過」した水をお子さんに飲ませることを躊躇しない母親は約半数いますが、細菌性食中毒が多く発生する今の時期は菌が増えやすいもの、そうでないものがあることを意識した水分選びが大切です。
【水ジャーナリスト橋本 淳司氏より調査結果の解説】
水の種類と特徴について
日常飲んでいる水は、どこで汲み上げられ、どのようにして家庭までやってくるのでしょうか。ここでは水道水、ミネラルウォーター、宅配水について、おおまかに見ていくことにします。
●水道水
水道水の原水には地下水、河川水、ダム水などがあります。地下水は一般的に水質良好で量も豊富、水資源として安定しています。取水が容易で費用も安い。雨が地表に落ちて土壌にしみ込むうちに、たくさんの種類の微生物が浄化してくれます。浄化され、炭酸ガスを含んで地下に入ると岩を溶かし、微量のミネラルを含みます。こうしておいしい水ができあがります。きれいな地下水を原水とすると、浄水処理などせず、わずかに塩素殺菌するだけで水道水として供給できますが、地下水の水質が悪化している地域では使用することができません。
次に河川水です。同じ川の水を原水として利用していても、源流近くと下流では味が違います。源流近くの汚染されていない原水であれば、わずかに塩素消毒するだけで水道水として供給されます。しかし、下流になるほど河川水は汚れ、浄水処理が必要になります。
3番目がダム水です。水は貯めると水質が悪化します。春から初秋までは、プランクトンが繁殖し臭気を出します。アンモニア、硫化水素なども発生します。
「水の博士」として著名な小島 貞男氏は、水道水を4段階に分けていました。一番おいしい「特級水」は、湧き水や良質の地下水を、わずかに塩素消毒しただけで直接給水している水道水です。次においしい「1級水」は「上」と「下」の2段階に分かれます。「上」は、汚染されない上流の河川水や湖沼水、伏流水を原水とし、緩速ろ過(浄水場のろ過層の表面にすむたくさんの微生物によって水をきれいにする方法)でつくった水です。「下」は、原水は「上」と同様ですが、急速ろ過(原水に含まれる汚染物質を薬品によって沈めたのち、ろ過。日本の多くの浄水場がこの方式を採用)によってつくった水です。
次の「2級水」は、汚染された下流の河川水や、富栄養化したダム水を緩速ろ過によって浄化した水。「3級水」は、「2級水」と同じ原水を急速ろ過によって浄水した水です。
大都市では、ここに高度浄水処理が加わりました。高度浄水処理は、通常の浄水処理では十分に対応できない、かび臭原因物質、トリハロメタンのもととなる物質、カルキ臭のもととなるアンモニア性窒素等の処理を目的としたものです。代表的な処理法としては、オゾン処理、活性炭処理があります。
●ミネラルウォーター
農林水産省の「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」によると、日本のミネラルウォーターは「ナチュラルウォーター」「ナチュラルミネラルウォーター」「ミネラルウォーター」「ボトルドウォーター」の4種類に分けられています。
「ナチュラルウォーター」とは、特定の水源から取水した地下水を、加熱やろ過で殺菌や除菌をしたもの。ミネラル成分はほとんど含まれていません。「ナチュラルミネラルウォーター」は、「ナチュラルウォーター」のうちミネラルが地下で自然に溶け込んだもの。「ミネラルウォーター」は、「ナチュラルミネラルウォーター」と同じ地下水を、加熱やろ過で殺菌や除菌をした後、複数の地下水を混ぜたり、人工的にミネラルに加えたもの。「ボトルドウォーター」は、水道水や河川水、蒸留水、純水などの飲用に適した水を原料としたもの。
一般の人がイメージする「ミネラルウォーター」は、「ナチュラルミネラルウォーター」ですが、ミネラルを含まない水でも、複数の水を混ぜたり、人工的にミネラルを添加したり、水道水を詰めたものでも飲用に適していれば「ミネラルウォーター」として販売することができます。
また、日本とヨーロッパでは「ミネラルウォーター」の考え方が異なります。日本の「ミネラルウォーター」は除菌や殺菌が義務づけられていますが、ヨーロッパの「ナチュラルミネラルウォーター」は殺菌処理を禁じています。日本は「殺菌されているから安全」、ヨーロッパは「殺菌されていなくても安全」という考え方です。ヨーロッパでは、水源周辺の環境保全も義務づけられています。たとえば、水源周辺を保護区に指定し、地上に建物を立てたり地下を掘ったりすることを禁止したり、保護区内で農薬や化学肥料の使用を禁止するなどです。
水道水とペットボトル水は製造基準が違います。ミネラルウォーターの基準を定めているのは食品衛生法。清涼飲料水という大分類の下に入っており39項目の水質基準項目があります。一方の水道水は水道法の「水質基準に関する省令」によって51項目の水質基準項目があります。そして、それぞれに共通する基準値7項目を比較してみると水道水のほうが厳しいのです。
●宅配水
10リットル程度入る大型容器入りの水を指します。家庭やオフィスに専用の「ウォーターサーバー」を置くと、そこから好きなときに冷水や熱湯を出すことができます。では、宅配水とはどういう水なのでしょうか。一つは源水に水道水を使用しているタイプ、もう一つは地下水を利用しているタイプがあります。地下水を利用する場合はペットボトル水の大型判と考えられますが、水道水を使用する場合、顕微鏡レベルの細かい穴のあいた「RO膜フィルター」で水以外の物質をほぼ除去し、その後、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル分を加えています。
毎日の飲み水がどのようあなたのところまでやってくるかを考えてみると、別の視点で水を選ぶことができるのではないでしょうか。
<橋本 淳司>
水ジャーナリスト / アクア・コミュニケーター / アクアスフィア橋本淳司事務所代表
週刊「水」ニュース・レポート発行人、NPO法人地域水道支援センター理事、NPO法人WaterAid Japan理事、NPO法人 日本水フォーラム 節水リーダー。水課題を抱える現場を調査し情報発信、国や自治体への水政策提言、子どもや一般市民を対象とする講演活動を行う。現在、水循環基本法フォローアップ委員として国の水基本政策策定をサポート。静岡県立三島北高等学校スーパーグローバルハイスクール推進会議委員として水学習を通じたグローバル人材育成を行う。
【調査概要】
調査方法 : インターネットリサーチ
調査対象 / 回答数 : 10歳未満のお子さんをおもちの母親500人
調査日 : 2015年6月11日(木)〜2015年6月12日(金)
調査主体 : 水を考えるプロジェクト
ホームページ : http://www.mizu-kangaeru.jp/
■『水を考えるプロジェクト』プロジェクト概要
●プロジェクト名: 「水を考えるプロジェクト」
●設立年月日 : 2015年3月4日(水)
●活動目的 : 飲用水の安全性に興味を持ち、きちんと理解した上で
飲用水を選ぶ・飲むことを啓発する。
●参画メンバー : 井上 正子
(医学博士・管理栄養士 日本医療栄養センター所長)
橋本 淳司
(水ジャーナリスト / アクア・コミュニケーター /
アクアスフィア橋本淳司事務所代表)
矢野 一好
(公立大学法人 首都大学東京 客員教授
保健学博士(北里大学))
●サイトURL : http://www.mizu-kangaeru.jp/
※1トレーサビリティとは:生産、処理、流通・販売等の段階における食品の移動を把握すること。食料品の仕入れ先、販売先、生産・製造過程などの記録をとり、保管し食品とその情報を追跡し、さかのぼることができること。
今回の調査結果から、「妊娠」や「出産」をきっかけに、食の安全性や質に意識が高まること、妊娠前と妊娠後では飲用水選びに変化があることなどが分かりました。妊娠前は「水道水」を飲む人が最も多かったのに対し、妊娠後では「水道水」が減少し、「ペットボトルの水」を飲用する人が増加していることから、「妊娠」をきっかけに「水道水」の飲用を止める人が多く存在していることがうかがえます。
そこで「水を考えるプロジェクト」では水ジャーナリストの橋本 淳司氏に調査結果について解説頂きました。また、水の種類や特徴、選び方について伺いました。
【調査トピックス】
1. 多くの母親は「妊娠」や「出産」がきっかけで、食の安全性や質への意識が高まる!
2. 妊娠前後では飲用水選びにも変化が!
・妊娠後は「ペットボトルの水」の飲用が増加、プラス10.0%
・最も減少するのは「水道水」、マイナス13.8%
・妊娠後「安全性」を意識する母親は、妊娠前の約2倍に。
3. 熱中症対策で子供に飲ませるもの
1位「麦茶」80.4%、2位「スポーツドリンク」46.8%、3位「ペットボトルの水」32.4%
4. 約半数の母親は、「口飲み後1日経過」しているものを飲ませることを躊躇しない!
【水ジャーナリスト橋本 淳司氏より調査結果の解説】
調査の結果によると、多くの母親が妊娠や出産をきっかけに、飲用水への意識が高まっています。妊娠前後で「水道水」を飲用している母親は減少している一方で、「ペットボトルの水」の飲用者は大幅に増加しています。根底には水道水は不安、ペットボトル水は安心という思いがあるのでしょう。その背景には東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故があるのではないでしょうか。2011年3月23日、東京都金町浄水場など首都圏の水道水から、乳幼児向けの暫定基準値を上回る放射性ヨウ素が検出されました。乳児の水道水摂取を控える呼びかけがあると、人々はペットボトル水を大量に買いました。それまでも被災地に重点的に配送されて品薄だったペットボトル水が完全にスーパーやコンビニから姿を消し、通販サイトでも売り切れていました。その後、水道水が安全な水質に戻りましたが、多くの人がペットボトル水を支持し続けています。しかし、実は水道水の基準は、ミネラルウォーターより厳密です。ミネラルウォーターの基準を定めているのは食品衛生法で水質基準は39項目。水道水の基準を定めているのは水道法で水質基準は51項目。
それぞれに共通する基準値7項目を比較してみると水道水のほうが厳しいのです。また、ミネラルを補給することを期待してペットボトル水を飲む人がいますが、国産のミネラルウォーターは大部分が軟水であり、水道水にも同程度のミネラルが含まれています。こうしたことも参考にしながら一人ひとりが水を選ぶとよいのではないでしょうか。
■多くの母親は「妊娠」や「出産」がきっかけで、食の安全性や質への意識が高まる!
https://www.atpress.ne.jp/releases/67265/img_67265_1.jpg
■妊娠前後では飲用水選びにも変化が!
・妊娠後は「ペットボトルの水」の飲用が増加、プラス10.0%
・最も減少するのは「水道水」、マイナス13.8%
・妊娠後「安全性」を意識する母親は、妊娠前の約2倍に。
https://www.atpress.ne.jp/releases/67265/img_67265_2.jpg
https://www.atpress.ne.jp/releases/67265/img_67265_3.jpg
10歳未満のお子さんをもつ母親500名を対象に、「ママと水のトレーサビリティに関する調査」を実施しました。
「食の質・安全性に対して意識が変わったことがありますか。ある方は何がきっかけで変わりましたか。」と質問したところ、質に関しては「出産」が最も多く65.0%、次いで「妊娠」61.2%という結果になりました。安全性に関しても、質と同様に「出産」を回答した人が最も多く78.0%、次いで「妊娠」71.8%と、母親の多くが出産や妊娠をきっかけに食の質や安全性に対する意識が高まっていることが明らかになりました。
次に、妊娠前後の飲用水選びに関する意識の変化について調査しました。
妊娠前と妊娠後の家庭での飲用水の状態について質問したところ、最も増えた項目は「ペットボトルの水」次いで、「ウォーターサーバーの水」という結果になりました。妊娠前に「ペットボトルの水」を飲用していた人は全体の37.6%に対し、妊娠後は47.6%と、10.0%増加しました。一方で、最も減少したものは「水道水」という結果になりました。妊娠前に「水道水」を飲用していた人は45.5%に対し、妊娠後は31.6%と13.8%の人が妊娠後に水道水の飲用を止めていることが分かります。
妊娠前と妊娠後の水を選ぶ際に意識にしていることについて質問したところ、妊娠をきっかけに最も増加したのは「安全性」次いで「ミネラル」という結果になりました。妊娠前に水の「安全性」を意識していた人は37.6%に対し、妊娠後は64.4%と約2倍に増えていることが分かります。一方で最も減少している項目は「特に気にしていない」で11.6%でした。
この結果から、多くの母親は妊娠をきっかけに摂取する水分選びを気にかけはじめることが分かります。
■熱中症対策で子供に飲ませるもの
1位「麦茶」80.4%、2位「スポーツドリンク」46.8%、3位「ペットボトルの水」32.4%
https://www.atpress.ne.jp/releases/67265/img_67265_4.jpg
■約半数の母親は、「口飲み後1日経過」しているものを飲ませることに躊躇しない!
https://www.atpress.ne.jp/releases/67265/img_67265_5.jpg
「熱中症対策として子供に飲ませるものは何ですか」と質問したところ、最も多かったものは「麦茶」80.4%、次いで「スポーツドリンク」46.8%、「ペットボトルの水」32.4%という結果になりました。
また、「お子さんに飲ませることを躊躇するものは何ですか」と質問したところ、最も多くの人が選択したのは「臭いがある」92.4%、2番目に多かったものは「沈殿物がある」と「濁っている」で92.0%という結果になりました。
また、今回の調査から約半数の母親は、お子さんに「口飲み後1日経過」しているものを飲ませることに躊躇しないことが明らかになりましたが、水を考えるプロジェクトが2015年5月に実施した水の種類による菌数変動実験によると水によっても菌が増えやすいもの、増えにくいものがあることが実験の結果から明らかになりました。水道水、天然水、RO水などの試験水に菌を添加し、時間の経過と菌数の変動について調べたところ、保管期間24時間を経過すると菌数が大幅に増加するものもみられました。「口飲み後1日経過」した水をお子さんに飲ませることを躊躇しない母親は約半数いますが、細菌性食中毒が多く発生する今の時期は菌が増えやすいもの、そうでないものがあることを意識した水分選びが大切です。
【水ジャーナリスト橋本 淳司氏より調査結果の解説】
水の種類と特徴について
日常飲んでいる水は、どこで汲み上げられ、どのようにして家庭までやってくるのでしょうか。ここでは水道水、ミネラルウォーター、宅配水について、おおまかに見ていくことにします。
●水道水
水道水の原水には地下水、河川水、ダム水などがあります。地下水は一般的に水質良好で量も豊富、水資源として安定しています。取水が容易で費用も安い。雨が地表に落ちて土壌にしみ込むうちに、たくさんの種類の微生物が浄化してくれます。浄化され、炭酸ガスを含んで地下に入ると岩を溶かし、微量のミネラルを含みます。こうしておいしい水ができあがります。きれいな地下水を原水とすると、浄水処理などせず、わずかに塩素殺菌するだけで水道水として供給できますが、地下水の水質が悪化している地域では使用することができません。
次に河川水です。同じ川の水を原水として利用していても、源流近くと下流では味が違います。源流近くの汚染されていない原水であれば、わずかに塩素消毒するだけで水道水として供給されます。しかし、下流になるほど河川水は汚れ、浄水処理が必要になります。
3番目がダム水です。水は貯めると水質が悪化します。春から初秋までは、プランクトンが繁殖し臭気を出します。アンモニア、硫化水素なども発生します。
「水の博士」として著名な小島 貞男氏は、水道水を4段階に分けていました。一番おいしい「特級水」は、湧き水や良質の地下水を、わずかに塩素消毒しただけで直接給水している水道水です。次においしい「1級水」は「上」と「下」の2段階に分かれます。「上」は、汚染されない上流の河川水や湖沼水、伏流水を原水とし、緩速ろ過(浄水場のろ過層の表面にすむたくさんの微生物によって水をきれいにする方法)でつくった水です。「下」は、原水は「上」と同様ですが、急速ろ過(原水に含まれる汚染物質を薬品によって沈めたのち、ろ過。日本の多くの浄水場がこの方式を採用)によってつくった水です。
次の「2級水」は、汚染された下流の河川水や、富栄養化したダム水を緩速ろ過によって浄化した水。「3級水」は、「2級水」と同じ原水を急速ろ過によって浄水した水です。
大都市では、ここに高度浄水処理が加わりました。高度浄水処理は、通常の浄水処理では十分に対応できない、かび臭原因物質、トリハロメタンのもととなる物質、カルキ臭のもととなるアンモニア性窒素等の処理を目的としたものです。代表的な処理法としては、オゾン処理、活性炭処理があります。
●ミネラルウォーター
農林水産省の「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」によると、日本のミネラルウォーターは「ナチュラルウォーター」「ナチュラルミネラルウォーター」「ミネラルウォーター」「ボトルドウォーター」の4種類に分けられています。
「ナチュラルウォーター」とは、特定の水源から取水した地下水を、加熱やろ過で殺菌や除菌をしたもの。ミネラル成分はほとんど含まれていません。「ナチュラルミネラルウォーター」は、「ナチュラルウォーター」のうちミネラルが地下で自然に溶け込んだもの。「ミネラルウォーター」は、「ナチュラルミネラルウォーター」と同じ地下水を、加熱やろ過で殺菌や除菌をした後、複数の地下水を混ぜたり、人工的にミネラルに加えたもの。「ボトルドウォーター」は、水道水や河川水、蒸留水、純水などの飲用に適した水を原料としたもの。
一般の人がイメージする「ミネラルウォーター」は、「ナチュラルミネラルウォーター」ですが、ミネラルを含まない水でも、複数の水を混ぜたり、人工的にミネラルを添加したり、水道水を詰めたものでも飲用に適していれば「ミネラルウォーター」として販売することができます。
また、日本とヨーロッパでは「ミネラルウォーター」の考え方が異なります。日本の「ミネラルウォーター」は除菌や殺菌が義務づけられていますが、ヨーロッパの「ナチュラルミネラルウォーター」は殺菌処理を禁じています。日本は「殺菌されているから安全」、ヨーロッパは「殺菌されていなくても安全」という考え方です。ヨーロッパでは、水源周辺の環境保全も義務づけられています。たとえば、水源周辺を保護区に指定し、地上に建物を立てたり地下を掘ったりすることを禁止したり、保護区内で農薬や化学肥料の使用を禁止するなどです。
水道水とペットボトル水は製造基準が違います。ミネラルウォーターの基準を定めているのは食品衛生法。清涼飲料水という大分類の下に入っており39項目の水質基準項目があります。一方の水道水は水道法の「水質基準に関する省令」によって51項目の水質基準項目があります。そして、それぞれに共通する基準値7項目を比較してみると水道水のほうが厳しいのです。
●宅配水
10リットル程度入る大型容器入りの水を指します。家庭やオフィスに専用の「ウォーターサーバー」を置くと、そこから好きなときに冷水や熱湯を出すことができます。では、宅配水とはどういう水なのでしょうか。一つは源水に水道水を使用しているタイプ、もう一つは地下水を利用しているタイプがあります。地下水を利用する場合はペットボトル水の大型判と考えられますが、水道水を使用する場合、顕微鏡レベルの細かい穴のあいた「RO膜フィルター」で水以外の物質をほぼ除去し、その後、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル分を加えています。
毎日の飲み水がどのようあなたのところまでやってくるかを考えてみると、別の視点で水を選ぶことができるのではないでしょうか。
<橋本 淳司>
水ジャーナリスト / アクア・コミュニケーター / アクアスフィア橋本淳司事務所代表
週刊「水」ニュース・レポート発行人、NPO法人地域水道支援センター理事、NPO法人WaterAid Japan理事、NPO法人 日本水フォーラム 節水リーダー。水課題を抱える現場を調査し情報発信、国や自治体への水政策提言、子どもや一般市民を対象とする講演活動を行う。現在、水循環基本法フォローアップ委員として国の水基本政策策定をサポート。静岡県立三島北高等学校スーパーグローバルハイスクール推進会議委員として水学習を通じたグローバル人材育成を行う。
【調査概要】
調査方法 : インターネットリサーチ
調査対象 / 回答数 : 10歳未満のお子さんをおもちの母親500人
調査日 : 2015年6月11日(木)〜2015年6月12日(金)
調査主体 : 水を考えるプロジェクト
ホームページ : http://www.mizu-kangaeru.jp/
■『水を考えるプロジェクト』プロジェクト概要
●プロジェクト名: 「水を考えるプロジェクト」
●設立年月日 : 2015年3月4日(水)
●活動目的 : 飲用水の安全性に興味を持ち、きちんと理解した上で
飲用水を選ぶ・飲むことを啓発する。
●参画メンバー : 井上 正子
(医学博士・管理栄養士 日本医療栄養センター所長)
橋本 淳司
(水ジャーナリスト / アクア・コミュニケーター /
アクアスフィア橋本淳司事務所代表)
矢野 一好
(公立大学法人 首都大学東京 客員教授
保健学博士(北里大学))
●サイトURL : http://www.mizu-kangaeru.jp/