「米株荒れても日本株こう着」の背景
[20/10/27]
提供元:株式会社フィスコ
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後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;23428.70;-65.64TOPIX;1612.35;-6.63
[後場の投資戦略]
前日のNYダウは、欧米での新型コロナ再拡大、追加経済対策の早期成立に対する期待後退などを背景に、600ドルを超える大幅下落となった。「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)は32.46(+4.91)と大きく上昇している。直近のVIX先物の投機筋による持ち高推移を見ると、買い持ち高が減少する一方、売り持ち高が横ばいで推移し、差し引き10万枚超のショート(売り越し)となっていた。一方でVIXは30近辺までじりじり上昇する場面が多くなり、VIXの一段の上昇とともに一波乱起きそうな予兆というものはあったわけだ。米系大手証券による直近の機関投資家調査では、大統領選が法廷闘争に発展するとみる向きが6割を超えており、いわゆる「テールリスク(発生確率は低いが、発生した際の影響が大きいリスク)」への警戒感が強まっているようだ。
一方、東京市場はというと積極的に持ち高を傾ける動きは限られる。前日のNYダウが-2.29%だったのに対し、日経平均の前場終値は-0.28%にとどまり、値動きの乏しさが鮮明だ。日経ダブルイン<1357>の純資産総額の推移を見ると、直近ピークだった1日の3432億円から26日には2901億円まで減少。日経レバETF<1570>はというと、もともと2000億円前後と日経ダブルインほど多くなかったためか、減少傾向こそ見られないが、大きく増加しているわけでもない。米大統領選後の方向感が見極めづらく、持ち高を整理しておこうという個人投資家の思惑が透けて見える。
海外勢も同様だ。大阪取引所の日経平均先物(12月物)の売買高(日通し)は19日の53238枚に対し、26日は28692枚まで減少。直近数日の先物手口でも大幅な買い越しや売り越しは見られない。もちろん「テールリスク」に備える動きは見られる。足元で日経平均オプションのプット(売る権利)は23000円を下回る権利行使価格帯の売買が増えており、昨晩などは20000円あたりの売買も多かった。ただ、これは機関投資家がその水準まで目線を下げているというより、あくまで「テールリスク」への備えであるため、まだ購入コストの低い価格帯が選好されやすい結果と考えられる。結局のところ、機関投資家も米大統領選やその後のシナリオにまだ確信を持てていないのだろう。
本日は東証株価指数(TOPIX)が0.41%の下落で前場を折り返したため実施されないだろうが、日銀による上場投資信託(ETF)買いは薄商いのなかで相場の下支え効果が大きい。また、欧米での新型コロナ再拡大は懸念すべき事態だが、米長期金利の反落と「ウィズコロナ」意識の高まりでエムスリーなどのグロース株や新興株がやや持ち直している。これが個人投資家のセンチメント改善につながる可能性もありそうだ。
前日に決算発表したマザーズの弁護士コム<6027>は朝安後に大きく切り返し。以前当欄で述べた「決算発表後の新興株見直し」シナリオを後押ししてくれている。
大統領選を前に米国株が多少荒れ模様でも、日本株はこう着ムードが続きそうだ。
決算発表が本格化したことで、個別対応中心の相場展開となるだろう。
(小林大純)
<AK>
日経平均;23428.70;-65.64TOPIX;1612.35;-6.63
[後場の投資戦略]
前日のNYダウは、欧米での新型コロナ再拡大、追加経済対策の早期成立に対する期待後退などを背景に、600ドルを超える大幅下落となった。「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)は32.46(+4.91)と大きく上昇している。直近のVIX先物の投機筋による持ち高推移を見ると、買い持ち高が減少する一方、売り持ち高が横ばいで推移し、差し引き10万枚超のショート(売り越し)となっていた。一方でVIXは30近辺までじりじり上昇する場面が多くなり、VIXの一段の上昇とともに一波乱起きそうな予兆というものはあったわけだ。米系大手証券による直近の機関投資家調査では、大統領選が法廷闘争に発展するとみる向きが6割を超えており、いわゆる「テールリスク(発生確率は低いが、発生した際の影響が大きいリスク)」への警戒感が強まっているようだ。
一方、東京市場はというと積極的に持ち高を傾ける動きは限られる。前日のNYダウが-2.29%だったのに対し、日経平均の前場終値は-0.28%にとどまり、値動きの乏しさが鮮明だ。日経ダブルイン<1357>の純資産総額の推移を見ると、直近ピークだった1日の3432億円から26日には2901億円まで減少。日経レバETF<1570>はというと、もともと2000億円前後と日経ダブルインほど多くなかったためか、減少傾向こそ見られないが、大きく増加しているわけでもない。米大統領選後の方向感が見極めづらく、持ち高を整理しておこうという個人投資家の思惑が透けて見える。
海外勢も同様だ。大阪取引所の日経平均先物(12月物)の売買高(日通し)は19日の53238枚に対し、26日は28692枚まで減少。直近数日の先物手口でも大幅な買い越しや売り越しは見られない。もちろん「テールリスク」に備える動きは見られる。足元で日経平均オプションのプット(売る権利)は23000円を下回る権利行使価格帯の売買が増えており、昨晩などは20000円あたりの売買も多かった。ただ、これは機関投資家がその水準まで目線を下げているというより、あくまで「テールリスク」への備えであるため、まだ購入コストの低い価格帯が選好されやすい結果と考えられる。結局のところ、機関投資家も米大統領選やその後のシナリオにまだ確信を持てていないのだろう。
本日は東証株価指数(TOPIX)が0.41%の下落で前場を折り返したため実施されないだろうが、日銀による上場投資信託(ETF)買いは薄商いのなかで相場の下支え効果が大きい。また、欧米での新型コロナ再拡大は懸念すべき事態だが、米長期金利の反落と「ウィズコロナ」意識の高まりでエムスリーなどのグロース株や新興株がやや持ち直している。これが個人投資家のセンチメント改善につながる可能性もありそうだ。
前日に決算発表したマザーズの弁護士コム<6027>は朝安後に大きく切り返し。以前当欄で述べた「決算発表後の新興株見直し」シナリオを後押ししてくれている。
大統領選を前に米国株が多少荒れ模様でも、日本株はこう着ムードが続きそうだ。
決算発表が本格化したことで、個別対応中心の相場展開となるだろう。
(小林大純)
<AK>