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NYの視点:米10年債利回り節目割り込む、景気への懸念が再燃

注目トピックス 経済総合

米国債券市場で10年債利回りは節目と見られていた2.58%近辺を割り込み、ほぼ7カ月ぶりの低水準となった。要因としては以下が考えられる。

■地政学的リスクの上昇

ラブロフ・ロシア外相の発言「ウクライナ東部と南部では実質内戦状態」を受けてウクライナ情勢への警戒感が増し、安全資産としての米国債に投資資金がむかった。

■欧州中央銀行(ECB)の追加緩和観測で米国債の投資意欲強まる

メディア報道などから、「欧州中央銀行(ECB)の追加緩和はほぼ確実」との見方が強まり米国債券への投資意欲が強まったと見られている。米国の利回りは低いものの、ドイツ10年債利回り1.37%、フランス10年債利回り1.81%と米国の10年債利回りの水準を更に下回っている。

■米国経済の先行き不安

米連邦準備制度理事会(FRB)が年初から量的緩和第3弾(QE3)の縮小を開始したにもかかわらず、イエレンFRB議長が当面の間異例な低金利を維持する必要性を強調。米国2年債と10年債の利回り格差も狭まっている。これは通常、投資家が景気の鈍化を予想している証拠となる。ルー米財務長官やイエレンFRB議長は住宅市場の停滞が景気の回復を抑制していると指摘。

イエレンFRB議長は上下両院経済合同委員会、上院予算委員会の証言で、「14年度の成長ペースが13年度を上回る」と景気に強気な見方を維持しているものの、景気回復を牽引する労働市場が「満足のいく水準に程遠い」状況であることや、住宅市場の停滞に失望感を隠しきれなかった。エコノミストは年初、1-3月期国内総生産(GDP)の見通しで4%近くの成長を予想していたが、結局、マイナス成長、最低で0.7%減まで引き下げている。4-6月期の見通しは現在のところ3.6%成長に据え置かれている。イエレンFRB議長も含めてFRB関係者の見通しも依然、3%近くで維持されている。

通常、住宅市場でピークを迎える春先になっても住宅市場の回復が見られない。1)住宅価格の上昇、2) 住宅ローン金利の上昇、3) 労働市場への自信がまだ十分に回復していないこと、4) 賃金の伸びが緩慢、5)ローン規準が依然厳しいことなどが影響している。現状では現金での住宅売買が50%を占める異常な状況。ほとんどが、投資目的であることも指摘されている。オバマ政権は方針を翻し住宅の回復を支援するために金融危機の際に大幅に引き締められた住宅ローンの貸し出し規準を緩和する方針を示した。数週間内に規準がまとまる予定。住宅市場の回復の鍵を握る新規購入者による住宅購入をより容易にさせる計画だが、果たして住宅市場の回復ペースを押し上げられるかに注目が集まる。

米国の景気先行き見通しが悪化したため米国債券利回りが低下しただけでなく、投資家はリスク資産への投資を後退させた。



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