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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆ゾーン移動を考える◆

注目トピックス 経済総合


〇19000〜22000円ゾーンは定着するか〇

ドル円115円突破とともに、日経平均は19000円の大きな壁を超えてきた(CME日経平均先物円建て19185円、ドル円115.36円、ドル建て日経平均166.31ドル)。このままスンナリと16000〜19000円ゾーンから19000〜22000円ゾーンへの上方移動が定着して行けるかが焦点となる。今の相場は「勢いはあるが、実力を伴っているか半信半疑」の面が強い。期待先行でよくあるパターンだが、一般的な見方では、19000円台値固めが当面の最も望ましい展開となろう。

カギは二つ。NY株の堅調推移、円安基調の持続性だ。トランプ政権への期待感先行で、ここまで来たと思われるので、その持続が焦点だ。9日のNYダウは142.04ドル上昇の19756.85ドル、5週連騰。絶対値比較で日経平均との差は571ポイント。昨年6月24日高値20868円の時には2000ポイント以上、日経平均が上回っていたので、逆転の可能性はある(ただし、逆転は値頃感での高値警戒になり易い)。昨年のNYダウ高値は5月19日と日経平均に1ヵ月程度先行した(中国ショックで急落した後の戻り高値も、NYダウ11月3日、日経平均12月1日)。NYダウの高値更新ペースが鈍ると警戒感につながろう。

なお、9日のNY株は難航していた国務長官にティラーソン・エクソン・モービル会長、NEC(国家経済会議)トップにコーン・GS社長が有力となったことが好感されたと思われる。エネルギー業界の大物を動かせるのは、やはり「ロックフェラーの威光」を思わせるし、GS出身者で経済政策を固める(3人目で一番の有力者)方向はウォール街にとって歓迎材料であろう。結果的に「リーマン危機後肥大化・硬直化した官僚行政の打破」(いわゆる反ワシントン、とりわけリベラル的な国務省打破)に期待感が強い印象だ。

ドル高円安は、今週のFOMC(13-14日)を控え、10年物国債利回りが一時2.467%に上昇したことが背景。金利上昇も5週連続、13年5-6月(バーナンキ・ショック時)以来。IMM通貨先物建玉は、6日時点で円売り越しが3万3937枚(前週は269枚)に一気に拡大した。他通貨のポジションはそれほど大きく変動していないため、円売りに集中した格好。金利差拡大以外に、日本からの大量資金移動(投資拡大)期待があると考えられる。

ドル建て日経平均170ドル×ドル円115円=19550円が当面の目安になる。ドル建て日経平均は昨年高値が167.85ドル、今年が168.64ドル、関門に差し掛かる。9日のNY株では出遅れていた(最近売られていた)医薬品、生活必需品、公益、ハイテク株の上昇が牽引した。日本でも前年対比でマイナス5%以上(TOPIXはー1.94%)にある食品(-6.44%)、医薬品(-12.90%)、輸送用機器(-9.04%)、電気・ガス(-10.49%)、陸運(-7.40%)空運(-15.51%)、小売(-8.72%)、不動産(-7.65%)、サービス(-7.62%)などの戻りが焦点になろう。

年前半に活躍した業種が多く、ロング・ショート運用の解消圧力を受けてきたと思われるが、需給改善が期待される。個別には悪材料がある(例えば、医薬品は毎年薬価改定の方向→結局、薬価差益(収載価格−実売価格)をどうするかが焦点となり、武田、塩野義に続きアステラスも値崩れし易い特許切れ薬を外部に売却する。病院や薬局の収益悪化が表面化すれば、引き下げ幅は縮小すると見られる。また、食品株は中国の新安全規制案で海外食品大手株が売られたことが連想材料。実施は来年10月で、欧米が強く反対しており、トランプ氏の対中姿勢に関心が集まる)が、その緩和タイミングがポイントとなろう。循環物色の方が、相場の質を強くすると考えられる。


以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(16/12/12号)



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