カイオム Research Memo(3):現在は創薬アライアンス事業が売上高の大半を占める
[14/09/19]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■会社概要
(2)事業概要
カイオム・バイオサイエンス<4583>の事業はこのADLib(R)システムをコア技術として、3つの事業モデルで展開している。
第1の事業は創薬アライアンス事業で、現在同社の売上高の大半を占める事業となっている。事業内容は、国内外の製薬企業と提携し、主に治療用医薬品の開発を目的とした抗体をADLib(R)システムによって作製している。同社の売上としては共同研究開発の契約締結時に発生する着手金と、研究開発にかかる費用(人件費込み)のほか、開発の進捗状況に応じて得られるマイルストーン収入、上市後のロイヤルティ収入となる。また、同社は作製した抗体に関して50%以上の権利を保有することを原則としており、従来の受託開発ビジネスよりも付加価値の高い事業モデルとなっている。なお、標準的な抗体医薬品の開発期間としては6.5〜10年とされている(基礎研究・探索研究で約1年→前臨床試験で1〜2年→臨床試験で3.5〜5年→審査で1〜2年→上市)。
現在の主な共同研究パートナーは、中外製薬<4519>グループとなっている(2014年3月期の全売上高に占める構成比は88.9%)。
第2の事業として、基盤技術ライセンス事業がある。同事業はADLib(R)システムを第三者にライセンス供与し、供与先が独自に抗体作製を行う格好となる。売上高としては、契約時に得られる契約一時金とライセンスの年間使用料(技術使用料)、ADLib(R)システムから創出された抗体の開発の進捗状況に応じて得られるマイルストーン収入、上市後のロイヤルティ収入となる。同事業で発生するコストとしては、理研へのロイヤルティ支払いのほかは、ライセンス時における短期間(1ヶ月程度)の役務サービスのみとなるため、利益率の高い事業モデルとなっている。
現在の契約企業は、富士レビオ1社となっており、体外診断薬の開発に限定したライセンス供与となっている。2013年12月にADLib(R)システムを用いて作製された抗体をベースとする体外診断薬キットの販売が欧州で開始されており、ADLib(R)システムを用いて作製された抗体では初めての商用化製品となる。
第3の事業は、リード抗体ライセンスアウト事業である。アカデミア及び公的医療機関及びBiotecnol社※を始めとする独自の技術を保有する企業などとの共同研究・提携により得られたターゲット(抗原)に基づき、ADLib(R)システムを用いて同社単独で抗体の作製を行い、早期(前臨床試験段階まで)に製薬企業へライセンスアウトする事業モデルとなる。売上としてはライセンスアウト時における契約一時金と、その後の開発状況に応じて得られるマイルストーン収入、及び上市後のロイヤルティ収入となる。現在は、横浜市立大学や東京大学、国立がん研究センター、Biotecnol社など複数の提携先と共同研究の段階であり、売上実績はまだない。
※Biotecnol社とは2013年2月に共同研究契約を締結。同社の持つTribodyTM 技術とADLib(R)システムの強みを活かし、従来技術では創出できない高付加価値抗体医薬品の研究開発を目指す。
なお、ADLib(R)システムの特許権は日本、米国、欧州、中国でそれぞれ成立しており、権利保有者は理研と同社で50%ずつとなっている。また、同社は理研に対して特許使用料を支払っている。特許の有効期限は日本、欧州と中国が2023年、米国が2025年となっているが、完全ヒトADLib(R)システムを始めとする関連特許も出願中であり、特許切れ以降においてもADLib(R)システムにおける同社の優位性は保持できるものとみられる。
各事業における主な提携先と契約内容は表のとおりとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<FA>
(2)事業概要
カイオム・バイオサイエンス<4583>の事業はこのADLib(R)システムをコア技術として、3つの事業モデルで展開している。
第1の事業は創薬アライアンス事業で、現在同社の売上高の大半を占める事業となっている。事業内容は、国内外の製薬企業と提携し、主に治療用医薬品の開発を目的とした抗体をADLib(R)システムによって作製している。同社の売上としては共同研究開発の契約締結時に発生する着手金と、研究開発にかかる費用(人件費込み)のほか、開発の進捗状況に応じて得られるマイルストーン収入、上市後のロイヤルティ収入となる。また、同社は作製した抗体に関して50%以上の権利を保有することを原則としており、従来の受託開発ビジネスよりも付加価値の高い事業モデルとなっている。なお、標準的な抗体医薬品の開発期間としては6.5〜10年とされている(基礎研究・探索研究で約1年→前臨床試験で1〜2年→臨床試験で3.5〜5年→審査で1〜2年→上市)。
現在の主な共同研究パートナーは、中外製薬<4519>グループとなっている(2014年3月期の全売上高に占める構成比は88.9%)。
第2の事業として、基盤技術ライセンス事業がある。同事業はADLib(R)システムを第三者にライセンス供与し、供与先が独自に抗体作製を行う格好となる。売上高としては、契約時に得られる契約一時金とライセンスの年間使用料(技術使用料)、ADLib(R)システムから創出された抗体の開発の進捗状況に応じて得られるマイルストーン収入、上市後のロイヤルティ収入となる。同事業で発生するコストとしては、理研へのロイヤルティ支払いのほかは、ライセンス時における短期間(1ヶ月程度)の役務サービスのみとなるため、利益率の高い事業モデルとなっている。
現在の契約企業は、富士レビオ1社となっており、体外診断薬の開発に限定したライセンス供与となっている。2013年12月にADLib(R)システムを用いて作製された抗体をベースとする体外診断薬キットの販売が欧州で開始されており、ADLib(R)システムを用いて作製された抗体では初めての商用化製品となる。
第3の事業は、リード抗体ライセンスアウト事業である。アカデミア及び公的医療機関及びBiotecnol社※を始めとする独自の技術を保有する企業などとの共同研究・提携により得られたターゲット(抗原)に基づき、ADLib(R)システムを用いて同社単独で抗体の作製を行い、早期(前臨床試験段階まで)に製薬企業へライセンスアウトする事業モデルとなる。売上としてはライセンスアウト時における契約一時金と、その後の開発状況に応じて得られるマイルストーン収入、及び上市後のロイヤルティ収入となる。現在は、横浜市立大学や東京大学、国立がん研究センター、Biotecnol社など複数の提携先と共同研究の段階であり、売上実績はまだない。
※Biotecnol社とは2013年2月に共同研究契約を締結。同社の持つTribodyTM 技術とADLib(R)システムの強みを活かし、従来技術では創出できない高付加価値抗体医薬品の研究開発を目指す。
なお、ADLib(R)システムの特許権は日本、米国、欧州、中国でそれぞれ成立しており、権利保有者は理研と同社で50%ずつとなっている。また、同社は理研に対して特許使用料を支払っている。特許の有効期限は日本、欧州と中国が2023年、米国が2025年となっているが、完全ヒトADLib(R)システムを始めとする関連特許も出願中であり、特許切れ以降においてもADLib(R)システムにおける同社の優位性は保持できるものとみられる。
各事業における主な提携先と契約内容は表のとおりとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<FA>