DVx Research Memo(5):主力製品の販売が順調に推移し15/3期2Qは過去最高を更新
[14/12/03]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
(1)2015年3月期第2四半期累計業績
ディーブイエックス<3079>の2015年3月期第2四半期累計の業績は、売上高が前年同期比12.0%増の14,204百万円、営業利益が同6.3%増の716百万円、経常利益が同7.2%増の726百万円、四半期純利益が同8.5%増の462百万円と増収増益決算となった。売上高、利益ともに期初会社計画を上回り、半期ベースでいずれも過去最高を更新した。
売上高は不整脈事業における主力製品の販売が順調に拡大したことに加えて、虚血事業ではエキシマレーザ血管形成システムの消耗品(コロナリーカテーテルなど)が、その他事業では脳外科関連商品がそれぞれ好調に推移したことで3ケタ増収を達成した。
営業利益率が5.0%と前年同期比で0.3ポイント低下したが、これは売上原価率が0.5ポイント上昇したことによる。原価率の上昇要因は、プロダクトミックスの変化に加えて、為替が103円/ドルと前年同期比で8円ほど円安となり、輸入品の仕入コスト上昇が影響した。また、販管費は人件費の増加や新商品(下肢末梢動脈治療用レーザカテーテル)の治験費用28百万円を計上したことなどで、前年同期比では9.5%増となったものの、増収効果によって販管費率は0.3ポイント低下の11.9%となった。
期初計画比での上振れ要因としては、売上高では主力製品の販売数量が順調に推移したことに加えて、脳外科関連商品の拡大や、スポット的に大型医療機器の売上が計上されたことが挙げられる。また、利益面では増収効果に加えて、治験費用が当初計画より若干抑えられたことが要因となっている。これは治験対象となる患者数が少ないことが原因となっている。治験計画は約3ヶ月の遅延となっているが、今期中に治験を終え、2016年度の上市を目指すというスケジュールに変わりなく、今期の治験費用としては160百万円を見込んでいる。事業セグメント別の状況は以下のとおり。
○不整脈事業
不整脈事業の売上高は前年同期比8.6%増の11,492百万円、セグメント利益は同7.0%増の1,630百万円となった。高齢者人口の増加とともに循環器系疾患の患者数も増加しており、電極カテーテル類を中心に増収基調が続いた。特に、CRT-Dが前年同期比16%増の820百万円、心腔内専用超音波カテーテル※1が同37%増の794百万円と2ケタ成長となったほか、今後、画期的な性能をもって手術時間の短縮が期待されている新製品の冷凍アブレーションカテーテル※2(2014年7月発売)も、金額はわずかながら売上に貢献し始めている。
※1心腔内専用超音波カテーテル(J&J製)・・・不整脈の検査システムとして2010年に薬事承認が得られたJ&J製の3Dマッピングシステムで用いられる専用カテーテル。2011年に薬事承認が得られ、前期より普及拡大し始めた。
※2冷凍アブレーションカテーテル(メドトロニック製)・・・2014年7月に保険適用となった「カテーテル心筋冷凍焼灼術」で用いられるカテーテル。従来の高周波アブレーションと比べて手術時間が3分の2と短時間で済み、確実な心房細動治療が可能となる。発作性心房細動に有効とされる。
同事業における利益率は14.2%と前年同期比で0.2ポイント低下した。2014年4月に実施された診療報酬改定により、主要取扱商品の保険償還価格が引き下げられたことが影響したが、仕入コストの低減も進めたことで、利益率は同水準を維持する格好となった。
○虚血事業
虚血事業の売上高は前年同期比17.2%増の2,161百万円、セグメント利益は同8.7%増の712百万円となった。主力商品である自動造影剤注入装置(ACIST)用消耗品が前年同期比3%増と堅調に推移したほか、冠動脈ステントなど一般の販売代理店商材が同37%増と大幅に伸長した。それぞれ売上構成比は約35%の水準となっている。虚血分野での販売代理店業の売上が大きく伸びた要因は、未公開オーナー企業が多い業界の中で、経営に透明性のある東証上場企業のブランドを活かし、医師との人脈を持つキャリア人材採用に積極的に取り組んだことが要因となっている。
その他、売上構成比で約7%と小さいものの、コロナリー(冠動脈治療用)カテーテルも同118%増と急増した。2012年7月に保険適用となって以降、本体のエキシマレーザ血管形成システムの導入が全国の医療施設で進んだことや、6月に新たに0.9mm品の新製品が保険適用されたことなどが、売上増につながった。
同事業の利益率は32.9%と前年同期比で2.6ポイント低下した。前述したように、プロダクトミックスの変化と為替の円安進展が要因となっている。プロダクトミックスの変化では、冠動脈ステントなど販売代理店商材の売上が大きく伸びたことが影響している。虚血事業の主力商品は、同社が輸入総代理店となって国内の代理店に販売しているため、利益率も高いが、冠動脈ステントなどは一般の販売代理店と同じで、利益率も不整脈事業とほぼ同等の水準となっている。
為替に関しては、当第2四半期累計期間の平均為替レートは103円/ドルと前年同期比で8円の円安となっている。1円/ドルの円安で年間14百万円のコストアップ要因となる。単純計算すると当第2四半期累計期間では約50百万円のコストアップ要因となるが、実際には一部を為替予約でヘッジしているため、影響額はそれよりも若干少なめになっているとみられる。
○その他事業
その他事業の売上高は前年同期比109.9%増の549百万円、セグメント利益は同75.3%増の58百万円と大幅増収増益となった。スポット売上として、大型医療機器であるシネ装置(循環器系X線撮影システム)の売上が加わり、脳外科関連商品(ステント、カテーテル等)の販売が伸びたことが要因となっている。その他事業でもキャリア人材を採用した効果が大きく、特に浜松支店(静岡)や福山支店(広島)において同関連商品の売上が大きく伸びた。
セグメント利益率は10.6%と前年同期比で2.1ポイント低下したが、これは大型医療機器の利益率が低かったことに加えて、脳外科関連商材も相対的にまだ低い水準にあることが要因となっている。ただ、脳外科関連商品に関しては、中期的に注力分野の一つとして挙げており、今後は商材の拡充を進め、売上規模の拡大を図ることで利益率を上げていく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト佐藤 譲)
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