DVx Research Memo(7):売上高は28期連続の増収、営業利益は過去最高更新を見込む
[14/12/03]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
(3)2015年3月期業績見通し
ディーブイエックス<3079>の2015年3月期の業績は、売上高が前期比4.4%増の27,583百万円、営業利益が同2.9%増の1,334百万円、経常利益が同1.7%増の1,333百万円、当期純利益が同6.4%増の838百万円となる見通し。売上高では28期連続の増収となり、営業利益も過去最高を連続で更新する。第2四半期までの進捗率は売上高が51.5%、営業利益が53.7%とそれぞれ直近3年間の平均(売上高48%、営業利益50%)を上回るペースとなっているが、下期は治験費用が対上期比で100百万円程度増加すること、為替変動リスクが残ることなどから、期初計画を据え置いた格好となっている。ただ、足元の売上状況は引き続き順調に推移しており、115円/ドル前後の為替水準であれば増収効果で吸収して、会社計画を若干上振れする可能性もあると弊社ではみている。
なお、事業別の売上高計画は、不整脈事業が前期比4.2%増の22,510百万円、虚血事業が同3.4%増の4,311百万円、その他が同18.3%増の761百万円となっている。不整脈事業では引き続き対象患者数の増加に加え、営業力の強化によって、主要製品の売上増が見込まれる。例年、売上高はやや下期偏重となっており、今期も同様の傾向が続くとすれば、売上高は会社計画から上振れする可能性が高いと言える。
虚血事業に関しては、コロナリーカテーテルの需要増が続くほか、冠動脈ステントなどその他商品の売上伸長も続く見通し。特に、エキシマレーザ血管形成システムは、現在67台が全国の医療施設に導入されているが、導入対象となる医療施設は全国で350ヶ所程度あるとみられており、競合メーカーもないことから、今後の動向が注目される。本体装置の価格は高額で、売上のインパクトは大きいが、同装置を扱える医師の数がまだ圧倒的に少ないため、同社では講習会などを通じて同装置を扱える医師を増やしながら、導入台数を着実に増やしていく考えだ。導入が広がることで、関連するカテーテルの売上高も増加していくことになる。
なお、2014年4月より治験が開始されている下肢末梢動脈治療用レーザカテーテルは、ここ数年患者数が増加傾向にある閉塞性動脈硬化症を主な対象とした治療法となる。前述したように、上期は治験対象の患者数が少なかったこともあり、当初の計画より3ヶ月ほど遅延したが、今期中には治験を終える予定で、順調に進めば2016年にも製造販売承認が下り、販売開始を見込んでいる。現在は心内リード抜去術※1、冠動脈形成術※2で利用されているが、下肢末梢動脈治療用としての保険適用を受けられれば、医療施設側のエキシマレーザシステムに対する導入意欲も増していくものと予想される。
※1心内リード抜去術・・・ペースメーカやICD等のデバイスが菌に感染すると、デバイスと心臓を繋ぐリード線を通じて全身に菌の感染が広がる恐れがあり、感染を抑えるために、感染源となるリード線を抜去する必要が出てくる。ただ、長期間心臓内に留置されたリード線は心臓の組織に癒着しており、抜去することが従来は困難であった。同社の製品はエキシマレーザをカテーテル先端部から照射することでリード線を心臓組織から剥離する術式となる。
※2冠動脈形成術・・・心臓に血液を運ぶ冠動脈が動脈硬化や血栓によって狭窄または塞栓した場合に、同部位にエキシマレーザを照射することで、血栓を分子レベルで分解し冠動脈の血流を改善する術式。
特に、年間43,000人以上が死亡する急性心筋梗塞やステント治療後の狭窄、塞栓の再発治療において、エキシマレーザによる冠動脈形成術に対する関心は高まっており、今後の本格的な普及が期待される。また、閉塞性動脈硬化症に関しては、重症化すると足を切断する危険性もあり、また、糖尿病患者が罹患しやすい病気とも言われている。このため、米国では3つの治療法のなかでも下肢末梢動脈治療用が最も多いと言われている。今後日本でも閉塞動脈硬化症患者は増加する可能性が高く、下肢末梢動脈治療用としての需要も期待されよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト佐藤 譲)
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