アールシーコア CORPORATE RESEARCH(5/8):営業員増強が計画を下回り中期の契約棟数の目標達成に黄信号
[15/01/07]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
−第3部− 今回の第2四半期決算を受けての考察
・見込んでいた費用の増加について
今年度のアールシーコア<7837>の減益見込みは「戦略的費用の増加」であり、この部分は詳細にIレポートにおいて分析を施したが、その前提となる2013年度決算短信における説明部分を再掲する。
・決算ハイライト
「戦略的費用の増加」。今期は、「現在直面している課題に正対し、目標(中期経営計画)達成を確実にするために、様々な方策を実施する年度」である。具体的な課題としては、「受け皿整備の進捗の遅れ」、「商品競争力の強化」、「BESSの営業スタイルの再徹底」、「本部主導で質・量両面における営業力の強化」、「既存拠点の移転拡大・演出強化を含めた展示場の魅力向上」である。(「」内は同社短信の文言、()内はSC社補完)
これに基づき、SC社は、(1)今期の売上高の増加分に対する過去の原価率からの原価増、及び円安、資材高騰、職方不足といった原価に関わる部分、(2)本社移転に関わる費用増を控除したうえで、今期の「戦略的費用の増加」分を500百万円と試算した。
そのうえで、「戦略的費用の増加」の内訳として、中期経営計画達成のための進捗度合いの低い、(1)「契約棟数増加に向けた施策のための費用」、同じく、中期経営計画達成のための受け皿として掲げたものの進捗率の低い(2)「営業員数の増加に向けた費用」それぞれについて、各250百万円ずつ投じるという同社の姿勢についても紹介したので、その部分も再掲する。
「戦略的費用」のうちわけ〜「営業員数の増加」「契約棟数増加」という課題への対処〜
営業員数の増加について、同社は「販社の拠点で顧客対応にあたる営業員を、RCC本部主導で前倒し採用を行い、BESSの正規の営業教育を施し、質の高い営業員を増やす」ことを明らかにしている。そのため、積極的な採用・研修に係わる費用の増大が想定され、この部分に戦略的費用500百万円の約半分の金額を投じるとしている。
また、契約棟数増加に向けた施策については、特に販社のセグメントを強く意識したものなると思われる。ここ2年間で3セグメント合計の契約高に占める同セグメントの比率が低下していること、また、前期、新規来場数の増加が契約棟数の増加に想定したほど結びつかなかったことを、同社は非常に懸念している。そのため、具体的な施策は明らかとなっていないが、新商品の開発、今期の販社応援費用等で、営業員数の増加に向けた費用と同じ約250百万円を投じるとしている。
しかし、2010年度以降の四半期別の売上高、原価、総利益、売上高原価率、売上高総利益率を載せると図表4、同じく、販売費及び一般管理費の比率を載せると図表5のようになる。
これにより、売上原価率は前年度から微増にとどまり、販管費もほとんど増加していないことが分かる。
このことは、今期100名程度を増員する予定であった営業員数が増加せず、第2四半期時点で157名と、前期末時点より3名しか増加していないことが要因である。(トレーニング中営業員候補を含めると181名)
これについて、同社は、これまで募集を呼びかけた媒体の変更等、第3期以降に施策を打つとしている。Iレポートで述べたように、同社の「感性マーケティング」は特徴的なものであり、同社の商品の他社との差別性を正しく理解するために、研修に係る期間の長さを同社は認識している。今期初に立てた100名程度の増員とは、1年程度の研修を経て、2015年度、そして、中期経営計画の総仕上げの年度である2016年度の戦力を育てるという意味合いがあったと思われる。
同社の営業員1人あたりの契約棟実績は、2012年度が約8.0棟、2013年度は約7.0棟であった。この数字は、同社が住宅産業研究所の調査数字として開示している2012年度住宅メーカー平均の1人4.5棟を大きく上回るが、中期経営計画における契約棟数1,900棟とは、中期経営計画の受け皿体制である営業員250名が1人あたり7.6棟受注して達成できる数字である。中期経営計画の対象である2016年度の開始まで、今期上期終了時点から1年半の期間しかなく、研修期間に1年程度かかるとなると、やはり今年度中に約100名の営業員を増加させる必要がある。この点から、中期経営計画における契約棟数1,900棟という数字の達成については「黄色信号」が点ったと言わざるを得ない。
スプリングキャピタル株式会社 井上 哲男
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