ビューティ花壇<3041>生花卸売事業やブライダル事業の伸長、M&A効果も
[15/04/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
ラジオNIKKEI マーケットプレスの『フィスコ presents 注目企業分析』4月6日放送において、ビューティ花壇<3041>を取り上げている。主な内容は以下の通り。
■会社概要
同社は、1974 年5 月に生花祭壇の販売、生花の卸売を目的として、熊本県熊本市において個人商店として設立された。事業規模の拡大を目指して、1997 年1 月に有限会社、2000 年には株式会社に組織変更し、東京への進出を果たした。その後、順調に業績を伸ばして、2006 年には東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場。
■事業形態
同社の事業は、葬儀関連会社に対して、生花祭壇などを提供する生花祭壇事業、生花祭壇部門の仕入れ及び葬儀関連会社や小売店へ生花を販売する生花卸売事業を中心として、子会社で展開するブライダル装花事業、土木・建設事業、システム開発事業、人材派遣事業などで構成されている。
主力である生花祭壇事業は、売上高の約47.6%、営業利益(調整前) の約38.7% を占める(2014 年6 月期)。同事業は葬儀関連会社に対して、生花祭壇や供花等の制作から、その設営までを含めたサービス提供を行っている。営業拠点は、熊本、福岡、沖縄、東京、埼玉、神奈川、宮城、大阪、長野の国内9 ヶ所で展開している。生花祭壇の受注件数は19,288 件。地域別構成比は、関東が39.7% と大きく、九州が31.4%、東北14.6%、関西14.4% となっている(2014 年6 月期連結ベース)。
生花卸売事業は、売上高の約23.2%、営業利益の約27.5% を構成している。なお、社内売上分(生花祭壇、ブライダル装花事業向け売上高) を含めた売上高構成比で見ると約32.8% となる。中間業者や卸売市場、仲卸市場、仲卸・小売業者など複数の段階を経ずに、国内外の生産者から直接仕入れる独自の調達ルートにより、自社の生花祭壇事業やブライダル装花事業を含め、全国の葬儀関連会社や生花小売店へ卸販売している。
ブライダル装花事業は、主に結婚式場に対して、卓上花やブーケ等の婚礼における生花商品を制作し、その設営までを含めたサービスの提供を行っており、子会社のOne Flower で展開している。熊本県を中心とした九州エリア、東京都を中心とした関東エリアを主要基盤としているが、2013 年1 月には事業譲受けによる拠点の新設を行い、事業拡大を図った。今後は、東北地区や関西地区を含めた同社グループ拠点をベースとしたエリア展開を目指しており、特にマーケット規模が大きく、かつ成長の期待できる大都市圏(東京・大阪) に注力する方針である。
■同社の強み、特徴
同社の特徴は、技術難易度の高いデザイン性による差別化と、独自の調達ルートを活かした価格競争力にある。特に、価格競争力については、低価格による市場シェアの拡大を狙う同社にとって重要な戦略を支える強みとなっている。同社は、従来の流通ルートである中間業者や卸売市場、仲卸・小売業者などの複数の段階を経ずに、国内外の生産者からの直接調達ルートを確立することで安価でスピーディな仕入れを可能としている。仕入原価の削減のために海外調達にも意欲的に取り組んでおり、2014年6月期の海外調達比率は約42.6% (前期は約38.8%) と年々高くなってきている。また、同じ規格であっても、それぞれの地域の需給バランスによって価格が異なるため、全国の相場動向を把握することにより、その時々の最適な仕入れを通じて価格メリットを享受できる体制も構築している。
■市場環境
同社の主力である生花祭壇事業の業績は、全国の葬儀件数や1 件当たりの葬儀業売上高との相関性が高い。過去5 年間の年間死亡者数、葬儀件数、葬儀業売上高の推移を見ると、年間死亡者数は年平均2.7% と年々緩やかに増加している中で、それに連動して葬儀件数は同6.5% 増、葬儀業売上高は同5.1% 増と市場は拡大している。年間死亡者数が増加傾向にあるのは、高齢者人口が増加していることが背景であるが、人口構成から判断すると今後も1 ケタ台前半の伸びが続くものと考えられる。
しかし、1 件当たりの葬儀業売上高は、2009 年の1,493 千円から2013 年の1,414千円へ、年平均1.3% のペースで下落傾向にある。これは、消費者の意識の変化による葬儀の小規模化に加え、比較的参入障壁が低い業界であるがゆえに異業種からの参入や、低価格パッケージを売りとしたフランチャイズ・チェーンの出現など、市場競争が激化していることが要因である。したがって、今後、企業体力や経営効率に勝る大手を中心として再編が進展することが予想される。
一方、同社のような生花祭壇業を営む事業者は、地域に密着した中小・零細規模の専業者が多いほか、大手の葬儀関連会社が内製化しているところも見られる。前述した葬儀関連業界における環境変化は、当然ながら生花祭壇事業者へのしわ寄せや交渉力にも影響を与え、業界淘汰が加速される可能性が高い。
また、生花卸売事業の業績に影響を与える生花(切り花) 取扱金額と本数の推移については、取扱本数が2011 年からほぼ横ばいである一方で、取扱金額は市場相場の影響などにより変動している。2013 年は、円安による仕入原価の高騰が販売減を招いたことから取扱本数が前期比1.0% 減となったが、取扱金額は横ばいとなった。
■これまでの業績推移
過去の業績を振り返ると、主力の生花祭壇事業の売上高が伸び悩みを見せる一方、生花卸売事業やブライダル事業の伸長、M&A により参入した新規事業により、年平均13.6% の増収を続けている。一方、営業利益率は、生花祭壇事業の単価下落や、生花卸売事業の円安による仕入原価の上昇などを受けて、2010 年6 月期をピークに低下傾向にある。特に、2014 年6 月期は想定以上に急激なペースで進んでいる単価下落により営業利益率は大きく低下した。
また、主力の生花祭壇事業の売上高は、受注件数の伸びがけん引しているが、2014 年6月期に受注件数が減少したにもかかわらず、売上高が僅かに増加しているのは、受注件数にカウントしていない小型の案件が増えていることが要因のようだ。セグメント利益率は、単価下落や仕入原価の上昇により低下傾向にあり、2014 年6 月期に大きく低下した。
一方、同社の資本効率を示す自己資本利益率(ROE) は7.7% (前期は14.2%) と、利益率の低下に伴って大きく低下した(2014 年6 月期)。また、財務基盤の安定性を示す自己資本比率は21.2% (前期比23.9%) と、有利子負債残高の増加とともに低下している(2014年6 月期)。同社が中長期構想として掲げている事業拡大を実現するためには、収益力の強化とともに財務基盤の増強が課題となろう。
■15年6月期業績見通し
同社は2015年6月期の業績予想として、売上高が前期比1.7%増の6,800百万円、営業利益が同433.9% 増の100 百万円、経常利益が同132.2% 増の100 百万円、当期純利益が1.6%増の50 百万円を見込んでいる。
事業別業績予想の開示はないが、前期好調だった土木・建設事業の反動減を保守的に見積もっているほかは、各事業が伸長する想定のようだ。具体的には、低価格帯商品の販売強化による生花祭壇事業の巻き返しに加え、生花卸売事業におけるマイ・サクセスの買収効果による上乗せ分や、ブライダル装花事業における銀座、表参道2会場での生花装飾の独占業務委託契約による業績寄与などが見込まれている。
一方、注目すべきは、収益力の改善に向けた取り組みである。特に、収益性が低下した生花祭壇事業の業績立て直しに向けて、低価格帯商品の推進と原価低減の強化による最初のステップを踏み出す計画となっている。
■中長期的な戦略
同社は、経常利益500 百万円と東証1 部上場を中長期的な目標に掲げ、スケールメリットの追求や業界を束ねる企業体力を強化することにより、主導的な立場で業界再編を手掛ける構想を描いていた。その構想自体に大きな変化はないものの、足元で想定以上のペースで単価下落が進む市場環境や業績の落ち込みを踏まえ、新たに中期経営計画を策定し、2015年6 月期からの3ヶ年を業績回復・向上への期間と位置付けた。
特に、主力の生花祭壇事業については、市場環境に対応した低価格帯商品の開発により提案力を高め、同社独自の市場を創造するとともに、原価低減による収益力の強化を図ることで業績回復とシェア拡大を目指す方針である。具体的には、数十種類存在していた供花の仕様を数種類に集約するとともに、各支店で作成していた供花を加工物流センターで集中生産することなどにより、品質の維持とコストダウンを図る。また、人材派遣事業を展開しているビンクの連結子会社化により、従来外注化していたスポット的な業務社員をグループ内で補うことで、顧客サービスレベルの維持と収益機会の取り込みを狙う計画である。
厳しい市場環境に直面する同社にとって、これからの3ヶ年が正念場となるが、これを機に収益構造の変革と新たな市場の創造により業績を回復することができれば、むしろ、業界淘汰の進展と残存者利益の享受により、業界再編を手掛ける構想に近づく可能性も考えられる。したがって、構造改革の進捗と業績回復への足取りのほか、業界動向にも注目すべきであろう。
ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30〜14:45放送
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■会社概要
同社は、1974 年5 月に生花祭壇の販売、生花の卸売を目的として、熊本県熊本市において個人商店として設立された。事業規模の拡大を目指して、1997 年1 月に有限会社、2000 年には株式会社に組織変更し、東京への進出を果たした。その後、順調に業績を伸ばして、2006 年には東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場。
■事業形態
同社の事業は、葬儀関連会社に対して、生花祭壇などを提供する生花祭壇事業、生花祭壇部門の仕入れ及び葬儀関連会社や小売店へ生花を販売する生花卸売事業を中心として、子会社で展開するブライダル装花事業、土木・建設事業、システム開発事業、人材派遣事業などで構成されている。
主力である生花祭壇事業は、売上高の約47.6%、営業利益(調整前) の約38.7% を占める(2014 年6 月期)。同事業は葬儀関連会社に対して、生花祭壇や供花等の制作から、その設営までを含めたサービス提供を行っている。営業拠点は、熊本、福岡、沖縄、東京、埼玉、神奈川、宮城、大阪、長野の国内9 ヶ所で展開している。生花祭壇の受注件数は19,288 件。地域別構成比は、関東が39.7% と大きく、九州が31.4%、東北14.6%、関西14.4% となっている(2014 年6 月期連結ベース)。
生花卸売事業は、売上高の約23.2%、営業利益の約27.5% を構成している。なお、社内売上分(生花祭壇、ブライダル装花事業向け売上高) を含めた売上高構成比で見ると約32.8% となる。中間業者や卸売市場、仲卸市場、仲卸・小売業者など複数の段階を経ずに、国内外の生産者から直接仕入れる独自の調達ルートにより、自社の生花祭壇事業やブライダル装花事業を含め、全国の葬儀関連会社や生花小売店へ卸販売している。
ブライダル装花事業は、主に結婚式場に対して、卓上花やブーケ等の婚礼における生花商品を制作し、その設営までを含めたサービスの提供を行っており、子会社のOne Flower で展開している。熊本県を中心とした九州エリア、東京都を中心とした関東エリアを主要基盤としているが、2013 年1 月には事業譲受けによる拠点の新設を行い、事業拡大を図った。今後は、東北地区や関西地区を含めた同社グループ拠点をベースとしたエリア展開を目指しており、特にマーケット規模が大きく、かつ成長の期待できる大都市圏(東京・大阪) に注力する方針である。
■同社の強み、特徴
同社の特徴は、技術難易度の高いデザイン性による差別化と、独自の調達ルートを活かした価格競争力にある。特に、価格競争力については、低価格による市場シェアの拡大を狙う同社にとって重要な戦略を支える強みとなっている。同社は、従来の流通ルートである中間業者や卸売市場、仲卸・小売業者などの複数の段階を経ずに、国内外の生産者からの直接調達ルートを確立することで安価でスピーディな仕入れを可能としている。仕入原価の削減のために海外調達にも意欲的に取り組んでおり、2014年6月期の海外調達比率は約42.6% (前期は約38.8%) と年々高くなってきている。また、同じ規格であっても、それぞれの地域の需給バランスによって価格が異なるため、全国の相場動向を把握することにより、その時々の最適な仕入れを通じて価格メリットを享受できる体制も構築している。
■市場環境
同社の主力である生花祭壇事業の業績は、全国の葬儀件数や1 件当たりの葬儀業売上高との相関性が高い。過去5 年間の年間死亡者数、葬儀件数、葬儀業売上高の推移を見ると、年間死亡者数は年平均2.7% と年々緩やかに増加している中で、それに連動して葬儀件数は同6.5% 増、葬儀業売上高は同5.1% 増と市場は拡大している。年間死亡者数が増加傾向にあるのは、高齢者人口が増加していることが背景であるが、人口構成から判断すると今後も1 ケタ台前半の伸びが続くものと考えられる。
しかし、1 件当たりの葬儀業売上高は、2009 年の1,493 千円から2013 年の1,414千円へ、年平均1.3% のペースで下落傾向にある。これは、消費者の意識の変化による葬儀の小規模化に加え、比較的参入障壁が低い業界であるがゆえに異業種からの参入や、低価格パッケージを売りとしたフランチャイズ・チェーンの出現など、市場競争が激化していることが要因である。したがって、今後、企業体力や経営効率に勝る大手を中心として再編が進展することが予想される。
一方、同社のような生花祭壇業を営む事業者は、地域に密着した中小・零細規模の専業者が多いほか、大手の葬儀関連会社が内製化しているところも見られる。前述した葬儀関連業界における環境変化は、当然ながら生花祭壇事業者へのしわ寄せや交渉力にも影響を与え、業界淘汰が加速される可能性が高い。
また、生花卸売事業の業績に影響を与える生花(切り花) 取扱金額と本数の推移については、取扱本数が2011 年からほぼ横ばいである一方で、取扱金額は市場相場の影響などにより変動している。2013 年は、円安による仕入原価の高騰が販売減を招いたことから取扱本数が前期比1.0% 減となったが、取扱金額は横ばいとなった。
■これまでの業績推移
過去の業績を振り返ると、主力の生花祭壇事業の売上高が伸び悩みを見せる一方、生花卸売事業やブライダル事業の伸長、M&A により参入した新規事業により、年平均13.6% の増収を続けている。一方、営業利益率は、生花祭壇事業の単価下落や、生花卸売事業の円安による仕入原価の上昇などを受けて、2010 年6 月期をピークに低下傾向にある。特に、2014 年6 月期は想定以上に急激なペースで進んでいる単価下落により営業利益率は大きく低下した。
また、主力の生花祭壇事業の売上高は、受注件数の伸びがけん引しているが、2014 年6月期に受注件数が減少したにもかかわらず、売上高が僅かに増加しているのは、受注件数にカウントしていない小型の案件が増えていることが要因のようだ。セグメント利益率は、単価下落や仕入原価の上昇により低下傾向にあり、2014 年6 月期に大きく低下した。
一方、同社の資本効率を示す自己資本利益率(ROE) は7.7% (前期は14.2%) と、利益率の低下に伴って大きく低下した(2014 年6 月期)。また、財務基盤の安定性を示す自己資本比率は21.2% (前期比23.9%) と、有利子負債残高の増加とともに低下している(2014年6 月期)。同社が中長期構想として掲げている事業拡大を実現するためには、収益力の強化とともに財務基盤の増強が課題となろう。
■15年6月期業績見通し
同社は2015年6月期の業績予想として、売上高が前期比1.7%増の6,800百万円、営業利益が同433.9% 増の100 百万円、経常利益が同132.2% 増の100 百万円、当期純利益が1.6%増の50 百万円を見込んでいる。
事業別業績予想の開示はないが、前期好調だった土木・建設事業の反動減を保守的に見積もっているほかは、各事業が伸長する想定のようだ。具体的には、低価格帯商品の販売強化による生花祭壇事業の巻き返しに加え、生花卸売事業におけるマイ・サクセスの買収効果による上乗せ分や、ブライダル装花事業における銀座、表参道2会場での生花装飾の独占業務委託契約による業績寄与などが見込まれている。
一方、注目すべきは、収益力の改善に向けた取り組みである。特に、収益性が低下した生花祭壇事業の業績立て直しに向けて、低価格帯商品の推進と原価低減の強化による最初のステップを踏み出す計画となっている。
■中長期的な戦略
同社は、経常利益500 百万円と東証1 部上場を中長期的な目標に掲げ、スケールメリットの追求や業界を束ねる企業体力を強化することにより、主導的な立場で業界再編を手掛ける構想を描いていた。その構想自体に大きな変化はないものの、足元で想定以上のペースで単価下落が進む市場環境や業績の落ち込みを踏まえ、新たに中期経営計画を策定し、2015年6 月期からの3ヶ年を業績回復・向上への期間と位置付けた。
特に、主力の生花祭壇事業については、市場環境に対応した低価格帯商品の開発により提案力を高め、同社独自の市場を創造するとともに、原価低減による収益力の強化を図ることで業績回復とシェア拡大を目指す方針である。具体的には、数十種類存在していた供花の仕様を数種類に集約するとともに、各支店で作成していた供花を加工物流センターで集中生産することなどにより、品質の維持とコストダウンを図る。また、人材派遣事業を展開しているビンクの連結子会社化により、従来外注化していたスポット的な業務社員をグループ内で補うことで、顧客サービスレベルの維持と収益機会の取り込みを狙う計画である。
厳しい市場環境に直面する同社にとって、これからの3ヶ年が正念場となるが、これを機に収益構造の変革と新たな市場の創造により業績を回復することができれば、むしろ、業界淘汰の進展と残存者利益の享受により、業界再編を手掛ける構想に近づく可能性も考えられる。したがって、構造改革の進捗と業績回復への足取りのほか、業界動向にも注目すべきであろう。
ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30〜14:45放送
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