ソフトバンテク Research Memo(1):売上高は2ケタ増収、3Q累計では過去最高を更新
[15/04/13]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
ソフトバンク・テクノロジー<4726>は、2015年1月30日に2015年3月期の第3四半期連結決算を発表した。売上高は前年同期比で2ケタの増収となり、第3四半期累計では過去最高を更新した。機器販売はソフトバンクグループ向けを中心に減少したものの、開発及び運用保守といったサービスが大きく伸びた。
一方、営業利益、経常利益は2ケタの減少となった。子会社や本体の人員増強による人件費の増大と本社移転に伴うオフィス関連コストの増加といった固定費の拡大に加え、利益圧縮要因が発生したためである。その要因とは、1.企業買収に伴う減価償却費やのれん代の計上、2.システムインテグレーションとマイクロソフトソリューション事業で不採算案件の発生?である。
また、不採算案件の発生に加え、新規事業のスタートの遅れも発生したため、同日、通期決算の利益予想を下方修正した。ただ、これら下方修正の要因は同社の屋台骨を揺るがすような事態ではない。不採算案件の発生は、案件数及び案件規模の拡大と、人員の急拡大の複合要因で、同社は既に組織体制を変更し、既存のプロジェクトのすべてをチェックし終えている。新規事業は立ち上がりが遅れたものの、今年の初めから本格的にスタートした。
むしろ、同社が進める構造改革は着実に進展し、ビジネスモデルはより盤石になっている点に注目すべきであろう。実際、同社が重視する限界利益と、減価償却やのれん代の影響を除いた利益であるEBITDAは前年同期比で2ケタの増加を示した。
構造改革の進展を示す注目点は以下の2点である。第1は、構造改革の中核である「機器販売からサービス提供へのビジネスモデルの転換」が順調に進んでいる点である。売上高の比重が利益率の低い機器販売から高い利益が期待できるサービス提供へと大きく移ってきている。特に同社が注力事業と位置付けるデータアナリティクス、セキュリティソリューション、マイクロソフトソリューションは、売上高が急激に伸びている。サービスの中でもより売上と利益増の両方が見込める独自開発商品(サービス)やオンリーワンサービスなどの導入も拡大している。また、人員拡充によって大型案件の受注も増加傾向にあり、顧客単価と限界利益が上昇した。
第2は、ソフトバンクグループとのパートナー関係の強化である。詳細についてはトピックスで触れるが、グループ内のサービスなども利用して、公共機関の開発案件を積上げている。
とはいえ、2014年3月期に続いて通期業績の下方修正を行わざるを得なかったことは事実であり、同社は今までの強気の収益計画の見直しをする可能性が高いと考えるのが普通であろう。2016年3月期は保守的な収益計画となる可能性が高い。
しかし、2016年3月期は官公庁からの受注拡大や、独自開発商品(サービス)やオンリーワンサービスなどの売上拡大、プロジェクトの大型化などが引き続き順調に進んでいくとみられ、さらに、ソフトバンクグループの通信事業4社の統合に伴うシステム変更の特需が発生する可能性も極めて高い。同社の構造改革は着実に進み、ビジネスモデルもさらに盤石になっていくものとみられる。
■Check Point
・3Qはデータアナリティクスなど3つの注力事業が大きな伸び
・公共機関向けビジネスやオンリーワンサービスが進展
・さらに進む構造改革、複数の要素に事業規模の拡大を期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)
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