ソフトバンテク Research Memo(2):3Qはデータアナリティクスなど3つの注力事業が大きな伸び
[15/04/13]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■2015年3月期第3四半期決算
(1)概要
2015年3月期第3四半期連結決算(累計)は、売上高が前年同期比11.5%増の28,639百万円、営業利益が同15.7%減の630百万円、経常利益が同17.4%減の620百万円、当期純利益が同61.1%増の529百万円となった。売上高は、第3四半期としては過去最高を更新した。以下に売上高と利益の分析を行う。
(a)売上高の分析
ソフトバンク・テクノロジー<4726>の事業セグメントは、デジタルマーケティング、プラットフォームソリューション、システムインテグレーションの3事業で構成される。しかし、同社では、3事業それぞれで注力事業を掲げており、それらを抜き出して、6事業とし、投資家向けに情報を提供している。具体的には、デジタルマーケティングは、EC(電子商取引)関連の商品販売やサービスを行うECサービス事業と、ビッグデータ関連のサービスをワンストップで提供するデータアナリティクス事業(注力事業)、プラットフォームソリューションは、基盤システムを構築するプラットフォームソリューション事業と、情報セキュリティサービスを提供するセキュリティソリューション事業(注力事業)、システムインテグレーションは、システムソリューションの構築を行うシステムインテグレーション事業と、マイクロソフトのクラウドサービスを基盤としたソリューションサービスを提供するマイクロソフトソリューション事業(注力事業)に分かれる。本レポートでも、6事業を同社の事業セグメントとして分析する。
売上高が第3四半期ベースで過去最高を更新した理由は、プラットフォームソリューション事業が減収となったものの、その他の5事業で増収を達成したことによる。特にデータアナリティクス、セキュリティソリューション、マイクロソフトソリューションの3つの注力事業は、いずれも大きな伸びを示した。
事業別の売上高の増減要因は以下のとおりである。
ECサービス事業は、前年同期比1.4%増の12,867百万円となった。同事業は、デジタルフォントの開発や販売を行う子会社のフォントワークス(株)とソフトバンク・テクノロジー単体が手掛ける。単体の売上高は同0.6%減の12,244百万円となった。主力のシマンテックストアの売上が漸減傾向にあるためである。ただ、フォントワークスが同69.0%増の622百万円と健闘した。
データアナリティクス事業は、同43.2%増の1,143百万円となった。売上規模自体はまだ小さいものの、ビッグデータに代表される成長事業であり、高い成長率を実現している。同事業を手掛けているのはソフトバンク・テクノロジー単体と、独自のウェブ解析ツールを展開する子会社の(株)環だが、単体が同36.9%増の1,028百万円、環が同約2.4倍の115百万円と、両社ともに大幅な増収を達成している。単体の売上高の増加はウェブアクセス解析ソリューションのラインアップの充実により顧客数が拡大したためである。特にWeb広告への投資最適化を支援する「AdMetrics」は自社開発製品であり、大手企業の採用が増えているという。また、環に関しては、独自の解析ツール「シビラ」の販売が順調に拡大しているのに加え、新たに自治体向けのバージョンも発売するなど、市場拡大策も奏功した。
プラットフォームソリューション事業は、同11.6%減の6,085百万円となった。2014年7月に買収したLinux OSベンダーのミラクル・リナックス(株)とソフトバンク・テクノロジー単体が手掛けている。ミラクル・リナックスの売上高372百万円が上乗せされたものの、単体が手掛けるソフトバンクグループ向けの機器販売が大幅に減少したのが減収の要因となった。
セキュリティソリューション事業は、同約3.5倍の2,505百万円となった。2014年3月に子会社化したサイバートラスト(株)とソフトバンク・テクノロジー単体が手掛けている。同事業の売上高の急拡大は、サイバートラストの売上高1,343百万円が上乗せされた面が大きい。しかし、単体の売上高も同60.3%増の1,162百万円と大幅に拡大した。アクティブ・ディレクトリーに対するセキュリティ診断を行う「アクティブ・ディレクトリー診断サービス」をはじめとする独自のサービスが顧客数を伸ばした。
システムインテグレーション事業は、同16.3%増の4,364百万円となった。人員の増加によりプロジェクトの規模が拡大し、堅調に推移した。
マイクロソフトソリューション事業は単体だけで手掛けているが、同98.4%増の1,672百万円となった。クラウド化への移行が進む中、「Office 365」の導入・運用支援サービスが拡大し、累計導入件数が32万ユーザーとなった。さらに、自社開発のクラウドサービスも急拡大した。「Office 365」の社外利用における使用権限を柔軟に管理できる「Online Service Gate」と、企業が保有するサーバーとクラウド上のADサーバーとを同期させる「ADFS on Cloud」の両サービスが好調だった。マイクロソフトソリューションに関しては、人員の拡大に伴い、大型案件の受注が拡大したことも注目点である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)
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