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ソフトバンテク Research Memo(3):営業利益は、償却費の増加と不採算案件発生で減益に

注目トピックス 日本株

■2015年3月期第3四半期決算

(b)利益の分析(営業利益)
ソフトバンク・テクノロジー<4726>の対前年同期での営業利益を増減要因ごとに分析する。まず、増加要因は、増収効果によるものと、限界利益改善効果によるものの2点が挙げられる。増収効果による営業利益の引き上げ効果は、6.3億円だった。限界利益率改善効果に起因する部分については、後に詳述するが、前年同期比36.4%増の7,575百万円となり、その結果、営業利益を13.8億円引き上げる結果となった。

一方、減益要因としては、まず、固定費の増加が挙げられる。採用増に伴う人件費、構造改革遂行のために行った本社移転に伴うオフィス関連コスト、子会社化による固定費の増加である。人件費に関しては、ソフトバンク・テクノロジー単体で、人員の拡充で人件費が5.5億円増加、人員の増加に伴い、委託や派遣のコストが減ったものの、差引で人件費は4.4億円増加した。また、オフィス関連コストは1.5億円の増加となった。また、子会社化したサイバートラストと、ミラクル・リナックスの2社を中心に子会社固定費が8.9億円増加した。

また、その他の減益要因として、減価償却費、のれん償却の増加と不採算案件の増加が挙げられる。減価償却費は前年同期比2.9億円、のれん償却費は同0.8億円増加した。同社によれば、減価償却費ではサイバートラスト、のれん償却費では2013年6月に子会社化した、Webフォント配信サービスのフォントワークスの影響が大きいとしている。

不採算案件の増加に関しては、システムインテグレーション事業で2件、マイクロソフトソリューション事業で3件の不採算案件が発生したことが挙げられる。第2四半期までに各事業1件ずつの不採算案件を把握していたが、第3四半期でさらに3件が発生した。これらが第3四半期累計では、営業利益を2億円引き下げる要因となった。前年同期における不採算案件の営業利益の減額要因は、0.4億円だったのと比べると金額は大きい。

不採算案件の発生原因はプロジェクトマネージャーがプロジェクトの初期段階である要件定義の段階からミスを犯してしまったことであったが、一番の問題は、プロジェクトの統括部門である「PMO(Project Management Office)」をはじめ、組織としてのチェック機能が働かなかった点にあった。原因の根源は、人員をはじめとする同社の急激な規模の拡大やプロジェクトの大型化に組織のマネジメント機能が追いつかなかったことにあったのである。

IT業界では、企業規模の急激な拡大やプロジェクトの大型化に伴い、こういった失敗が起こることは決して少なくない。同社では、PMOの人員増強や、BIツールによるプロジェクト利益の見える化、PMP(プロジェクトマネジメントに関する国際資格)取得の推進など、既に不採算案件の防止に向けた対策を行っているという。また、既存のプロジェクトをすべて再検証し直し、問題がないことも確認済みとしており、今後の不採算案件の防止は、短期的な利益回復に繋がるだろう。

なお、投資事業組合の運用損と支払利息の増加によって営業外損益が9百万円の損失となったが、経常利益への影響は軽微だった。

一方、当期純利益は、投資有価証券の売却益263百万円を特別利益に計上したため大幅な増加となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)



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