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シンワアート Research Memo(1):国内最大級の美術品オークション会社

注目トピックス 日本株
シンワアートオークション<2437>は、国内最大級の美術品オークション会社である。日本の近代美術を中心として、近代陶芸やワイン、ブランド雑貨、時計、宝飾品なども手掛けている。2,000万円以上の高額落札作品における市場シェアでは業界トップの約45.0%を占めている。同社は2014年5月期より新中期経営計画(5ヶ年)をスタートさせるとともに、第2の創業期と位置付け、プラットフォーム構想※によるオークション事業の拡大に加えて、エネルギー関連事業やメディカル事業など新規事業にも注力している。「アートから始まる富裕層向けの総合サービスカンパニー」へと事業ドメインの拡張により、安定収益源の確保と財務基盤の強化を図る構えである。長期間にわたるデフレ経済の環境下で日本のオークション市場、並びに同社の業績は停滞感に覆われてきた。しかしながら、緩やかながら回復の兆しの見られるオークション市場と新規事業の本格稼働により、同社は新たな成長フェーズに入ったものと考えられる。

※同社がマーケットメイク機能を果たすことでオークション市場の活性化及び回復を目指すもの

2016年5月期上期の業績は、売上高が前年同期比111.5%増の1,726百万円、営業利益が169百万円(前年同期は12百万円の損失)と期初予想を上回る大幅な増収増益となった。主力のオークション関連事業がおおむね堅調に推移する一方、エネルギー関連事業が太陽光発電施設の分譲販売が順調に拡大したことに加えて、期初予想には入っていなかった自社保有の太陽光発電施設の売却により大きく伸長した。

2016年5月期の業績予想について同社は、上期実績などを勘案して期初予想を増額修正した。修正後の業績予想として、売上高が前期比11.9%増の3,297百万円、営業利益が同238.3%増の263百万円と大幅な増収増益を見込んでいる。エネルギー関連事業の拡大が増収に大きく寄与するとともに、新たに開始した医療ツーリズムがまだ僅少ながら業績貢献する計画となっているようだ。弊社では、計画の前提条件とその進捗状況から会社予想の達成は十分に可能であると判断している。むしろ節税効果(100%即時償却等)の期限となる2016年3月末に向けて駆け込み需要の拡大が想定されることから、上振れの可能性にも注意が必要である。

同社の成長戦略の柱は、オークション事業の拡大と新規事業の育成による収益基盤の強化、アジア戦略の3つである。特に、新規事業については、エネルギー関連事業が順調に拡大したことに加えて、新たな収益の柱と注力する医療ツーリズムも本格的に立ち上がった。また、損害保険商品にかかる新たな事業(キャプティブ設立コンサルティング)にも参入し、顧客企業等に対し、海外のキャプティブ設立の提案と海外のキャプティブ設立・運用に関する専門家の紹介を行う。弊社では、オークション事業におけるプラットフォーム構想の実現には時間を要するものと捉えているが、富裕層マーケティングにおける強みを生かした新規事業の伸びが同社の中期的な成長をけん引するものとみている。

■Check Point
・エネルギー関連事業の伸びが大幅な増収増益に貢献
・上期決算等を踏まえ、期初予想を大幅増額修正
・アジアの富裕層を日本のオークション市場に取り込む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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