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アキュセラ Research Memo(8):エミクススタトの成長性を十分に織り込んでいない可能性も

注目トピックス 日本株
■同業他社比較

「エミクススタト」の成長性については前述したように、眼疾患領域において最大規模の医薬品に育つ可能性があると弊社では見ている。アキュセラ・インク<4589>の株価は2015年末以降上昇に転じ、直近では4,000円を超え、時価総額は約1,500億円に達している。それでも現在の株価は「エミクススタト」の価値を十分織り込んでいないように思われる。それは、加齢黄斑変性治療薬の開発企業との比較で見れば明らかとなる。

ここでは、米オフトテックと米リジェネロンを取り上げる。オフトテックは現在、ウェット型に対し新生血管の生成を抑制する抗VEGF薬と組み合わせて使う抗PDGF抗体「Fovista®」を開発中で、3本中2本の臨床第3相試験のトップラインデータが、2016年中に公表される見込み。また、地図状萎縮を伴うドライ型に対しては、「Zimura®」(眼球注射)を開発中で、臨床第2a相試験を終了し、今年、臨床第2/3相試験を開始した。時価総額は1,700億円超(113円/ドル換算)と、同社の約1.7倍の規模となっている。開発段階のバイオベンチャーを評価するのは難しいとはいえ、将来的に成功した時の収益から現在の価値を評価する必要がある。

また、リジェネロンはウェット型に対する新生血管の生成を抑制する抗VEGF薬「アイリーア(EYLEA®)」(眼球注射)を開発。2011年11月に米国で上市し、のちに米国以外の地域に展開している企業で、「アイリーア」の売上規模は2014年で27.8億ドルに達し、上市後3年間で急成長を遂げた会社である。現在の時価総額は2015年のピーク(7兆円)からやや下がったとはいえ4兆円に達している。日本の製薬企業トップとなる武田薬品工業<4502>と同規模水準となる。リジェネロンの業績推移を見ると、「アイリーア」が上市するまでは赤字が続いていたが、上市後の2012年以降は黒字に転換し、現在は成長ステージに入っていることがわかる。「アイリーア」の上市直後の株価は50ドル台であったが、2015年初は542ドルと、その後4年間で10倍超に跳ね上がったことになる。バイオベンチャーを適切に評価するポイントとして重要なのは、キャッシュが十分である限りは開発ステージにおける収益で評価すべきではないということだ。

このように、バイオベンチャーの株価は、1つの新薬候補が上市するかどうかで大きく変貌するのが特徴である。同社の時価総額はここ最近で上昇してきたとはいえ、まだ「エミクススタト」の成長を十分織り込んでいないと思われるが、2016年6月頃に予定されている臨床第2b/3相臨床試験のトップラインデータの結果次第でその評価も大きく変わってくるものと弊社では見ている。また、新たなパイプラインとして加わった白内障治療薬候補となるラノステロール、網膜色素変性症に対するオプトジェネティクスに基づく遺伝子療法については、まだ非臨床試験段階であるため株価に織り込むには時期尚早と思われる。ただ、潜在的な市場規模は対象患者数や市場ニーズから見て、今後開発が順調に進みヒトでのPOCが確認された際には、同社の成長ポテンシャルも一段と高まることが予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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