TC-Leas Research Memo(3):スペシャルティ・国内オート・国際の3事業分野の伸びが著しい
[16/09/15]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
(3)東京センチュリーリース<8439>の事業内容
1)会計セグメント
「賃貸・割賦事業」、「ファイナンス事業」、「その他事業」の3つに区分され、主力の「賃貸(リース)事業」が売上高の86.0%、年間契約実行高の51.7%、営業資産残高の67.8%を占めている。
2)事業分野別セグメント
同社の事業構成の実態や戦略的な動きを理解するためには、経営管理上の事業分野別で見るのが適している。事業分野別では、「国内リース事業分野」、「スペシャルティ事業分野」、「国内オート事業分野」、「国際事業分野」の4つに区分される。従来からの基幹事業である「国内リース事業」が営業資産残高の49.9%を占めているが、採算性の高いそれ以外の事業分野の伸びが著しいことから、年々構成比が低下傾向にある。
各事業分野の概要は以下のとおりである。
a)国内リース事業分野
営業資産残高は1兆4,920億円。従来からの基幹事業であり、グループの総合力(ネットワーク)と強固な顧客基盤を活かし、情報通信機器や工場内の設備などあらゆる設備・機器のリースに対応している。
顧客基盤は約25,000社に上る他、特にリースとの親和性の高い情報通信機器の取扱いに強みを持ち、2016年3月期の国内リース市場シェアは約13%と業界トップクラスの実績である。連結子会社である富士通リース(株)や(株)IHIファイナンスサポートによる貢献も大きいが、厳しい競争環境下、採算性を重視しながら営業資産残高をおおむね横ばいで推移させている。
なお、リースとは、顧客が選定した機械や設備などを顧客に代わってリース会社が取得し、比較的長期にわたって一定のリース料で賃貸する取引である。設備導入に使途を絞った資金調達手段(金融取引) と言える。顧客にとっては設備を自社購入(所有)するよりも「資金の効率的運用」「事務負担の軽減」「陳腐化リスクの回避」のほか、「コストコントロール機能」などでメリットがある。リース会社にとっても、通常の融資取引に比べてリース物件の所有権を自らが持つことになるため回収リスクが小さい。
b)スペシャルティ事業分野
営業資産残高は8,367億円。高い専門性が要求される一方で収益性も高いことから、同社は、成長期待分野と位置付け飛躍的にスペシャルティ事業を拡大させてきた。プロダクツは「船舶・航空機」、「環境・エネルギー」、「不動産」、「その他」の4つに分類される。
「船舶・航空機」の営業資産残高は4,237億円。そのうち、世界的に市場が拡大している航空機分野は2014年に航空機リース世界第4位のCIT Group Inc.(以下、CIT社)との合弁事業を開始してから、特に残高を拡大させてきた。CIT社との合弁事業の営業資産残高は約1,300億円(保有機体数27機)まで増加している。
その他、2012年に格安航空会社のジェットスター・ジャパン(株)に16.7%出資して航空会社の運営ノウハウ等を習得すると、米国の大手航空機部品会社GA Telesis, LLC(以下、GAテレシス社)にも出資(持分法適用関連会社化)し、中古機、エンジン、パーツに至るまで、航空機に関わるライフサイクルマネジメントを確立した。
「環境・エネルギー」の営業資産残高は373億円。京セラ<6971>との合弁事業を始め、国内で多数の太陽光発電事業を展開しており、国内トップクラスの規模を確保している。京セラとの合弁事業営業資産残高は238億円で40カ所(出力規模80.7MW)が稼働済みであるが、総額1,200億円(出力規模375MW)まで拡大見込みである。
「不動産」の営業資産残高は2,922億円。有力企業とのパートナーシップのもと商業施設や物流施設向けを中心に土地・建物のリース・ファイナンスを行っている。
また、同社は日土地アセットマネジメントへの出資を通じて、私募REITの組成等のアセットマネジメント・ビジネスの展開も視野に入れており、案件出口(投資回収)における安定収益基盤の構築を目指している。
c)国内オート事業分野
営業資産残高は4,097億円。法人・個人向けオートリースおよびレンタカー事業をバランスよく展開している。日本カーソリューションズ(株)(法人向けでは業界3位)と(株)オリコオートリース(個人向け専業として業界トップ)、ニッポンレンタカーサービス(株)(レンタカー業界3位)の連結子会社3社による車両管理台数(総数)は、約57万台に上る業界トップクラスの体制を構築している。
「所有から使用へ」と自動車に対するニーズが変化をみせるなか、オートリースの市場規模は拡大している。米国と比べてオートリースの利用比率は小さく、特に個人向けオートリースの拡大余地は大きいと考えている。
レンタカー市場もインバウンドやビジネス需要の増加を背景に平均7%の成長率で推移しているなど、業績拡大余地は大きいと見ている。
d)国際事業分野
営業資産残高は2,527億円。合併以降、東アジアおよびアセアンを中心にネットワークを拡大するなど大きな成果を上げている。
2011年:インドネシアに現地法人を設立
2012年:タタキャピタルとの業務提携、インドに進出
2013年:中国にファクタリング会社を設立
2014年:フィリピン大手銀行(BPI)系リース会社を持分法適用関連会社化
2015年:日立建機<6305>グループとタイやインドネシアにおいて建設機械のベンダーファイナンスを開始
2016年6月には米国の大手独立系リース会社であるCSIリーシング社を連結化、海外ネットワークは世界37カ国(アジア8、北米2、中南米12、欧州15)に拡大している。日系企業向けに限らず、地場優良企業とのアライアンスやグローバルおよび日系ベンダーとのパートナーシップを積極活用することで、現地企業との取引拡大に注力している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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(3)東京センチュリーリース<8439>の事業内容
1)会計セグメント
「賃貸・割賦事業」、「ファイナンス事業」、「その他事業」の3つに区分され、主力の「賃貸(リース)事業」が売上高の86.0%、年間契約実行高の51.7%、営業資産残高の67.8%を占めている。
2)事業分野別セグメント
同社の事業構成の実態や戦略的な動きを理解するためには、経営管理上の事業分野別で見るのが適している。事業分野別では、「国内リース事業分野」、「スペシャルティ事業分野」、「国内オート事業分野」、「国際事業分野」の4つに区分される。従来からの基幹事業である「国内リース事業」が営業資産残高の49.9%を占めているが、採算性の高いそれ以外の事業分野の伸びが著しいことから、年々構成比が低下傾向にある。
各事業分野の概要は以下のとおりである。
a)国内リース事業分野
営業資産残高は1兆4,920億円。従来からの基幹事業であり、グループの総合力(ネットワーク)と強固な顧客基盤を活かし、情報通信機器や工場内の設備などあらゆる設備・機器のリースに対応している。
顧客基盤は約25,000社に上る他、特にリースとの親和性の高い情報通信機器の取扱いに強みを持ち、2016年3月期の国内リース市場シェアは約13%と業界トップクラスの実績である。連結子会社である富士通リース(株)や(株)IHIファイナンスサポートによる貢献も大きいが、厳しい競争環境下、採算性を重視しながら営業資産残高をおおむね横ばいで推移させている。
なお、リースとは、顧客が選定した機械や設備などを顧客に代わってリース会社が取得し、比較的長期にわたって一定のリース料で賃貸する取引である。設備導入に使途を絞った資金調達手段(金融取引) と言える。顧客にとっては設備を自社購入(所有)するよりも「資金の効率的運用」「事務負担の軽減」「陳腐化リスクの回避」のほか、「コストコントロール機能」などでメリットがある。リース会社にとっても、通常の融資取引に比べてリース物件の所有権を自らが持つことになるため回収リスクが小さい。
b)スペシャルティ事業分野
営業資産残高は8,367億円。高い専門性が要求される一方で収益性も高いことから、同社は、成長期待分野と位置付け飛躍的にスペシャルティ事業を拡大させてきた。プロダクツは「船舶・航空機」、「環境・エネルギー」、「不動産」、「その他」の4つに分類される。
「船舶・航空機」の営業資産残高は4,237億円。そのうち、世界的に市場が拡大している航空機分野は2014年に航空機リース世界第4位のCIT Group Inc.(以下、CIT社)との合弁事業を開始してから、特に残高を拡大させてきた。CIT社との合弁事業の営業資産残高は約1,300億円(保有機体数27機)まで増加している。
その他、2012年に格安航空会社のジェットスター・ジャパン(株)に16.7%出資して航空会社の運営ノウハウ等を習得すると、米国の大手航空機部品会社GA Telesis, LLC(以下、GAテレシス社)にも出資(持分法適用関連会社化)し、中古機、エンジン、パーツに至るまで、航空機に関わるライフサイクルマネジメントを確立した。
「環境・エネルギー」の営業資産残高は373億円。京セラ<6971>との合弁事業を始め、国内で多数の太陽光発電事業を展開しており、国内トップクラスの規模を確保している。京セラとの合弁事業営業資産残高は238億円で40カ所(出力規模80.7MW)が稼働済みであるが、総額1,200億円(出力規模375MW)まで拡大見込みである。
「不動産」の営業資産残高は2,922億円。有力企業とのパートナーシップのもと商業施設や物流施設向けを中心に土地・建物のリース・ファイナンスを行っている。
また、同社は日土地アセットマネジメントへの出資を通じて、私募REITの組成等のアセットマネジメント・ビジネスの展開も視野に入れており、案件出口(投資回収)における安定収益基盤の構築を目指している。
c)国内オート事業分野
営業資産残高は4,097億円。法人・個人向けオートリースおよびレンタカー事業をバランスよく展開している。日本カーソリューションズ(株)(法人向けでは業界3位)と(株)オリコオートリース(個人向け専業として業界トップ)、ニッポンレンタカーサービス(株)(レンタカー業界3位)の連結子会社3社による車両管理台数(総数)は、約57万台に上る業界トップクラスの体制を構築している。
「所有から使用へ」と自動車に対するニーズが変化をみせるなか、オートリースの市場規模は拡大している。米国と比べてオートリースの利用比率は小さく、特に個人向けオートリースの拡大余地は大きいと考えている。
レンタカー市場もインバウンドやビジネス需要の増加を背景に平均7%の成長率で推移しているなど、業績拡大余地は大きいと見ている。
d)国際事業分野
営業資産残高は2,527億円。合併以降、東アジアおよびアセアンを中心にネットワークを拡大するなど大きな成果を上げている。
2011年:インドネシアに現地法人を設立
2012年:タタキャピタルとの業務提携、インドに進出
2013年:中国にファクタリング会社を設立
2014年:フィリピン大手銀行(BPI)系リース会社を持分法適用関連会社化
2015年:日立建機<6305>グループとタイやインドネシアにおいて建設機械のベンダーファイナンスを開始
2016年6月には米国の大手独立系リース会社であるCSIリーシング社を連結化、海外ネットワークは世界37カ国(アジア8、北米2、中南米12、欧州15)に拡大している。日系企業向けに限らず、地場優良企業とのアライアンスやグローバルおよび日系ベンダーとのパートナーシップを積極活用することで、現地企業との取引拡大に注力している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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