ADワークス Research Memo(7):不動産小口化投資商品を販売する流通プラットフォームを構築
[16/11/21]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■不動産テック事業に参入
エー・ディー・ワークス<3250>は11月1日付で、新規事業として不動産テック事業に参入すると発表した。インターネットを活用して、不動産特定共同事業法(以下、不特法)による不動産小口化投資商品を個人投資家に販売するための流通プラットフォーム「みんなの投資 online」を構築し、子会社で運営していく。既に、10月21日付で同事業を展開する完全子会社 SMIを設立した。
11月より、まず同サイトにて個人投資家の集客を開始し、2017年春をめどに同サイトにて小口化投資商品の掲載と併せて流通プラットフォーム機能を実装し販売を開始する。同サイトでは同社商品だけでなく、不特法を使って販売を行う同業他社の商品も掲載し、小口化投資商品全体の流通プラットフォームとして育成していく考えだ。また、将来的には不動産以外の小口化投資商品も同サイトで取り扱っていく予定だ。
(1)不動産テック事業に参入する背景
同社が今回、不動産テック事業に参入する背景には、不特法を用いた不動産小口化投資商品の市場規模が2015年度の1,400億円から2020年度には倍増の2,800億円まで拡大することが見込まれ、成長ポテンシャルが大きいこと、また、成長を実現していくに当たってはインターネットの活用が最も有効であると考えていることが挙げられる。不動産業界は他業界と比較してデジタル化が遅れていると言われている。情報の非対称性がその一因として挙げられているが、逆にデジタル化を実現することで成長機会を得られるチャンスになるとも言える。
現状、不特法を用いた不動産小口化投資商品を販売するためには当局の許認可が必要で、2016年9月現在で88社が認可されている。ただ、実際に商品を販売しているのはそのうち13社にとどまっている。これは、投資商品を組成しても販売ノウハウやルートがないことが要因と見られる。同社ではこうした現状を受け、新たにインターネット上で流通プラットフォームを構築することでこれら企業の参加を促し、不動産小口化投資商品市場を活性化していくためのリード役になることを目指している。
(2)不動産テック事業のビジネスモデル
事業を運営するSMIでは、2段階のステップを踏んで事業を展開していく計画となっている。第1段階として、個人投資家を「みんなの投資 online」に集客するために、11月より投資情報に関するコンテンツを公式展開するほか、連携先となる(株)ZUUの金融経済専門サイト「ZUU online」にもコンテンツ配信を行い、ZUUが持つ300万人の個人投資家層を同社サイトに呼び込んでいく。既に10月より「みんなの投資 online」は仮オープンしており、月間2万PV(ページビュー)、1.5万UU(ユニークユーザー)を獲得するなど順調な滑り出しを見せている。
第2段階として、2017年春より同社及び他社が提供する不動産小口化投資商品を「みんなの投資 online」に掲載し、集客した個人投資家層が商品を購入できるプラットフォーム機能を搭載し、本格稼働を開始する予定となっている。なお、SMIの収益源としては、不動産小口化投資商品情報の広告掲載料を主に想定している。
(3)事業計画
不動産テック事業の当面の目標として、5年後に「みんなの投資 online」の月間PV数を250万、UU数65万を獲得し、流通総額では350〜500億円(うち同社商品で300億円)を掲げている。不特法による不動産小口化投資商品の市場規模予想2,800億円のうち約1割の流通シェアを同社商品で獲得したい考えだ。
なお、自社物件について1棟売りにするか小口化投資商品として販売するかの切り分けについて明確な基準はまだなく、状況に合わせて都度判断していくものと見られる。小口化投資商品として販売する場合は、顧客層が富裕層だけでなく準富裕層まで拡大すること、また、全国の投資家層が購入することから、そうした特徴を最大限に活かせる物件を商品化していくことになる。収益性の違いを見た場合は、1棟売りの場合に3%かかる販売仲介手数料が不動産小口化投資商品の場合は必要なくなるため、理論的には従来よりも収益性の高い事業になることが予想される。
同社では自社のビジネスモデルをブルーオーシャン型と呼んでいるが、今回の不動産テック事業もまたブルーオーシャン型として位置付けられる。既存事業がバリューイノベーションの実現によるブルーオーシャン型のビジネスモデルであるのに対して、不動産テック事業はマーケットイノベーションの実現によって、ブルーオーシャンとする。不動産小口化投資商品を幅広く扱うオンラインの流通プラットフォームはまだなく、先行して同市場を構築し業界のデファクトスタンダードとすることで参入障壁を高くする。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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エー・ディー・ワークス<3250>は11月1日付で、新規事業として不動産テック事業に参入すると発表した。インターネットを活用して、不動産特定共同事業法(以下、不特法)による不動産小口化投資商品を個人投資家に販売するための流通プラットフォーム「みんなの投資 online」を構築し、子会社で運営していく。既に、10月21日付で同事業を展開する完全子会社 SMIを設立した。
11月より、まず同サイトにて個人投資家の集客を開始し、2017年春をめどに同サイトにて小口化投資商品の掲載と併せて流通プラットフォーム機能を実装し販売を開始する。同サイトでは同社商品だけでなく、不特法を使って販売を行う同業他社の商品も掲載し、小口化投資商品全体の流通プラットフォームとして育成していく考えだ。また、将来的には不動産以外の小口化投資商品も同サイトで取り扱っていく予定だ。
(1)不動産テック事業に参入する背景
同社が今回、不動産テック事業に参入する背景には、不特法を用いた不動産小口化投資商品の市場規模が2015年度の1,400億円から2020年度には倍増の2,800億円まで拡大することが見込まれ、成長ポテンシャルが大きいこと、また、成長を実現していくに当たってはインターネットの活用が最も有効であると考えていることが挙げられる。不動産業界は他業界と比較してデジタル化が遅れていると言われている。情報の非対称性がその一因として挙げられているが、逆にデジタル化を実現することで成長機会を得られるチャンスになるとも言える。
現状、不特法を用いた不動産小口化投資商品を販売するためには当局の許認可が必要で、2016年9月現在で88社が認可されている。ただ、実際に商品を販売しているのはそのうち13社にとどまっている。これは、投資商品を組成しても販売ノウハウやルートがないことが要因と見られる。同社ではこうした現状を受け、新たにインターネット上で流通プラットフォームを構築することでこれら企業の参加を促し、不動産小口化投資商品市場を活性化していくためのリード役になることを目指している。
(2)不動産テック事業のビジネスモデル
事業を運営するSMIでは、2段階のステップを踏んで事業を展開していく計画となっている。第1段階として、個人投資家を「みんなの投資 online」に集客するために、11月より投資情報に関するコンテンツを公式展開するほか、連携先となる(株)ZUUの金融経済専門サイト「ZUU online」にもコンテンツ配信を行い、ZUUが持つ300万人の個人投資家層を同社サイトに呼び込んでいく。既に10月より「みんなの投資 online」は仮オープンしており、月間2万PV(ページビュー)、1.5万UU(ユニークユーザー)を獲得するなど順調な滑り出しを見せている。
第2段階として、2017年春より同社及び他社が提供する不動産小口化投資商品を「みんなの投資 online」に掲載し、集客した個人投資家層が商品を購入できるプラットフォーム機能を搭載し、本格稼働を開始する予定となっている。なお、SMIの収益源としては、不動産小口化投資商品情報の広告掲載料を主に想定している。
(3)事業計画
不動産テック事業の当面の目標として、5年後に「みんなの投資 online」の月間PV数を250万、UU数65万を獲得し、流通総額では350〜500億円(うち同社商品で300億円)を掲げている。不特法による不動産小口化投資商品の市場規模予想2,800億円のうち約1割の流通シェアを同社商品で獲得したい考えだ。
なお、自社物件について1棟売りにするか小口化投資商品として販売するかの切り分けについて明確な基準はまだなく、状況に合わせて都度判断していくものと見られる。小口化投資商品として販売する場合は、顧客層が富裕層だけでなく準富裕層まで拡大すること、また、全国の投資家層が購入することから、そうした特徴を最大限に活かせる物件を商品化していくことになる。収益性の違いを見た場合は、1棟売りの場合に3%かかる販売仲介手数料が不動産小口化投資商品の場合は必要なくなるため、理論的には従来よりも収益性の高い事業になることが予想される。
同社では自社のビジネスモデルをブルーオーシャン型と呼んでいるが、今回の不動産テック事業もまたブルーオーシャン型として位置付けられる。既存事業がバリューイノベーションの実現によるブルーオーシャン型のビジネスモデルであるのに対して、不動産テック事業はマーケットイノベーションの実現によって、ブルーオーシャンとする。不動産小口化投資商品を幅広く扱うオンラインの流通プラットフォームはまだなく、先行して同市場を構築し業界のデファクトスタンダードとすることで参入障壁を高くする。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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