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アルプス技研 Research Memo(7):企業ブランディング始動、知名度向上で採用拡大

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

2. 2017年12月期の具体的施策
アルプス技研<4641>では、本体個別の施策とグループ施策を以下のように示している。なお、本体個別の施策の場合、「挑戦の〜」と掲げているのは、来年迎える50周年のその先を見据えて、同社として挑戦的な施策を積極的に実行することによって事業拡大を行っていくという強い意思表示と考えられる。

(1) 挑戦の施策(個別)
採用・教育・営業という人材活用面での積極的な活動を推進する、としている。これらの施策を本体個別の施策として掲げているのは、グループとしての人材活用施策を本体で統括し、人材という強みの維持・向上とグループとしての一体感の醸成・ガバナンスなどを図るものと考えられる。

a) 挑戦の採用
採用面では、1)全社協力採用体制の定着、2)顧客ニーズに合わせたキャリア採用、3)グローバルエンジニア採用拡大、という施策を掲げている。近年、労働力市場で人手不足の傾向が出てきている中で、優秀な人材の獲得競争が激しくなっており、後述のブランディング活動と合わせ、同社が注力する施策の一つである。採用の達成目標としては、新卒250名採用(2018年入社)、キャリア120名採用(2017年入社)としており、状況によってキャリア採用はさらに増員の可能性もあるとみられる。

b) 挑戦の教育
人材教育についても、採用と同様に「人ありき」の理念にもとづき、更なる向上を目指している。施策としては、1)事業部と連携し資格受験率の向上、2)技術者同志が切磋琢磨する環境、3)キャリアパスに関する研修機会の充実、を掲げている。エンジニアサポートシステムなどと絡めて、長期的な技術者の育成を更に充実させるものである。具体的な数値目標は公表していないが、達成目標としては、「資格受験率の向上、社内認定講師の増加、長期キャリア形成の促進」を掲げている。

c) 挑戦の営業
業績向上・事業拡大のために、積極的な営業政策として、1)新卒稼働決定の前倒し、2)新卒営業の年間サイクル確立、3)キャリアターゲットローテーションの促進、を行うとしている。達成目標としては、「稼働決定の早期化(4月新卒者全員6月まで)、早期稼働サイクル(春季・秋季の各新卒採用)、実単価4千円視野」を掲げている。また、秋季新卒採用というのは、海外で採用するグローバルエンジニアを見据えたものである。

(2) 通期のグループ施策
国内事業と海外事業のセグメント別・グループ会社別の施策は以下のとおりである。

a) 国内事業
アルプスビジネスサービスでは、グループ協働強化と事業拡大・社員育成を推進する。パナR&Dでは、シナジーを追求し採用・営業連携を推進する。これらの施策で、国内事業としては、アルプス技研グループとしてのブランドを確立し、企業規模の拡大を追求する。また、知名度向上のために、企業ブランディング活動として、学生・社員向けにポスターを作成し、合同説明会などで広告宣伝を行う予定である。同社グループはBtoB企業であり、従来はあまり一般向けの広告宣伝を行っていなかった。しかし、近年の人材採用の競争激化などの状況から、企業グループとしてのブランド確立・知名度向上を行い、採用面での優位性確保・グループ内での意識向上などを図るものである。また、宣伝用ポスターの中で、「ひと、技術、顧客−いつの時代にも いくつもの『一流』に会える。」というキャッチフレーズを掲載している。これは、同社を通じ多くの一流顧客、一流の技術、優秀な先輩と出会うことで成長し、いつの時代でもその時流に合った技術を習得・活用することで、エンジニアとしてキャリアを長く積み重ねられる、という意味が込められている。就職活動中の学生に対する将来への不安感を除去するとともに、在籍社員へのメッセージにもなっており、企業イメージの向上に貢献するだろう。

b) グローバル事業
台湾、上海の海外拠点において、事業規模の拡大の本格スタートを行う。前述の通り、グローバル事業としての事業規模はまだ大きくはないが、台湾・上海などを中心に、液晶・半導体などの日系企業の生産設備・機器などの据付・調整等の工事・メンテナンスなどを行う。工事期間などにより多少の変動はあるかもしれないが、顧客数の拡大などによって事業拡大が期待できるだろう。

c) ヤンゴン支店(介護人材育成)
ミャンマーでは2003年から松井会長が私財を投じて現地に介護及びITスクールを開設し、現地人材の育成を行ってきた。2015年にアルプス技研ヤンゴン支店を開設し、日本の介護関係法制の動きとともに、日本とミャンマー間で連携しながら進める模様である。企業としての社会貢献の意味合いもある。

3. 派遣事業の動向と同社の位置づけ
全国の派遣労働者数は、2008年リーマンショック時の202万人をピークに、それ以降は減少傾向にあり、2014年時点で126万人となっている。また、労働者派遣法の改正(2015年9月30日施行)や同一労働同一賃金のガイドラインなどによって、派遣事業をめぐる環境は大きな転回点を迎えていると思われる。それは、派遣社員の有する技術力や専門性などと派遣先企業が何を派遣社員に期待するかによって、今後大きく変貌していくものと考えられる。端的に言えば、より新規で高度な技術力・専門性を持った人材へのニーズは堅調に推移するが、下流工程の作業については、景気動向などで大きく変動するだろう。

同社は、技術者の立場が無期雇用(正社員)で安定しており、高度な技術力と専門性を持つべく教育研修を受けているため、顧客企業からも信頼を得ている。無期雇用型技術者派遣に特化した同社の業績は、堅調に拡大していくものと期待される。もちろん、電気・機械、自動車、航空・宇宙など、技術力と専門性が活かせる業種の顧客ニーズをくみ取り、上流工程を任せられるためには、不断の努力が必要であろう。長期的な技術者人間教育に支えられ、顧客の信頼を得ることによって継続的に事業が拡大できるものと考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田 秀樹)



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