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三機工 Research Memo(3):前年同期を上回る営業利益を計上、繰越工事高は高水準

注目トピックス 日本株
■三機工業<1961>の業績動向

1. 2018年3月期第2四半期の業績概要
(1) 損益状況
2018年3月期第2四半期(2017年4月−2017年9月)の業績は、受注高95,775百万円(前年同期比5.3%増)、売上高72,506百万円(同3.1%増)、売上総利益9,319百万円(同14.4%増)、営業利益489百万円(同753.5%増)、経常利益952百万円(同158.2%増)となり、前年同期に続き上半期で営業利益(黒字)を計上した。ただし、大和地区再開発計画に伴う特別損失(固定資産除却損等)の計上で親会社株主に帰属する四半期純損失は95百万円(前年同期は229百万円の利益)となった。

受注高については、産業空調・電気は堅調に推移したが、ビル空調衛生は大型物件受注が一巡したことなどから減少し、建築設備全体の受注高は前年同期比で4.2%減少した。一方で、今期大型物件を受注したプラント設備(機械システムおよび環境システム)は大幅増となり、全体受注額も前年同期を5.3%上回った。

同社では売上総利益率が改善した要因として以下のような点を挙げている。

a) 原価管理の徹底:以前から進めていた社内での原価管理を徹底、これに加え下記取組みにより作業効率が大きく改善したことにより、利益率が向上した。

b) 利益率マイナス要因の減少:業界環境の好転により受注環境が改善し、コストと品質のバランスがとれた受注実態となっている。さらに工程管理を徹底したことから進捗遅れが減少し、特に大型案件での採算性(利益率)が改善した。

c) 現場サポート体制の整備:現場の技術者をサポートするため、2015年4月から調達本部による購買業務支援、同じくサイト業務支援センターによる現場業務支援、2016年4月から設計支援センターによる設計業務支援、技術エキスパートによる品質監理などを行ってきたが、これらの効果が出始めた(作業効率の向上)。

その一方で販管費は実額で742百万円増加し、対売上高比率も前年同期の11.5%から12.2%へ上昇したが、売上総利益の増加によってこれを吸収し、営業利益は増益となった。

(2) セグメント別損益状況

建築設備事業の売上高は61,173百万円(同2.4%増)となった。サブセグメント別では、ビル空調衛生が前年同期比15.8%増の27,802百万円、産業空調が同5.4%減の20,898百万円、電気が同3.1%減の8,785百万円、ファシリティシステムが同19.6%減の3,687百万円となった。ビル空調衛生以外のサブセグメントは前年同期比マイナスとなったが、大型物件の期首繰越高が豊富であったビル空調衛生が大幅に増加したことから、建築設備全体は増収となった。

機械システム事業の売上高は4,522百万円(同3.2%増)、環境システム事業の売上高は6,139百万円(同6.2%増)となり、プラント設備合計売上高も前年同期比4.9%増となった。おおむね計画どおり好調な結果であった。

またセグメント別の経常損益は、建築設備事業が597百万円の利益(前年同期は15百万円の損失)、機械システムが6百万円の利益(同119百万円の利益)、環境システムが789百万円の損失(同755百万円の損失)となった。この結果、設備工事全体の経常損益は184百万円の損失(同651百万円の損失)となり、前年同期からは大きく改善した。また不動産事業及びその他事業の経常利益は、各々238百万円(同130.6%増)、42百万円(同101.0%増)となった。

(3) セグメント別受注状況

建築設備事業全体の受注高は71,803百万円(前年同期比4.2%減)であった。サブセグメント別では、ビル空調衛生は昨年上半期に比べて事務所関連の大型物件受注が一巡化(減少)したことなどから28,860百万円(同15.1%減)と前年同期比で減少した。産業空調も27,060百万円(同1.2%減)と前年同期比で微減となったが、前期の水準が高かったことを考慮すれば引き続き高水準を維持していると言える。電気は10,394百万円(同24.7%増)、ファシリティシステムは5,487百万円(同4.0%増)と堅調に推移した。

プラント設備事業では、機械システムの受注高は今期大型案件を獲得したことなどから6,506百万円(同97.9%増)と大幅増となった。環境システムの受注高も、今期大型のDBO※案件を受注したこともあり16,634百万円(同33.6%増)と大幅増となった。この結果、プラント設備事業全体の受注高は23,141百万円(同47.0%増)と前年同期比で大幅増となった。

※DBO(Design Build Operate)とは、設計・建設と運営・維持管理を民間の事業者(同社など)に一括発注する方式で、公設民営の1つの方式。


大型案件(10億円以上)の受注は、計8件、19,052百万円(前年同期は7件、17,852百万円、前々年同期は11件、19,091百万円)であった。前年同期に比べて受注件数、金額ともに増加したが、大型案件の1件当りの平均受注額はここ数年増加傾向にある。

このような状況から、2018年3月期第2四半期の全受注高は95,775百万円(同5.3%増)と堅調に推移し、売上高の伸び率(同3.1%増)を上回ったことから、期末の次期繰越高は147,026百万円(同15.8%増)と大幅に増加した。

2. 財務状況
2018年3月期第2四半期末の財務状況は、流動資産は100,231百万円(前年度末比14,675百万円減)となったが、主に現預金の減少5,827百万円、受取手形・完成工事未収入金の減少10,672百万円などによる。固定資産は55,378百万円(同3,672百万円増)となったが、主に投資その他資産の増加3,461百万円などによる。この結果、期末の総資産は155,609百万円(同11,002百万円減)となった。

流動負債は58,349百万円(同10,426百万円減)となったが、主に支払手形・工事未払金等の減少7,271百万円などによる。固定負債は12,790百万円(同915百万円増)となったが、主に繰延税金負債の増加650百万円、退職給付に係る負債の増加250百万円などによる。この結果、期末の負債合計は71,139百万円(同9,511百万円減)となった。また、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上があった一方で、300万株の自己株消却を行ったことから利益剰余金が3,546百万円減少し、純資産合計は84,469百万円(同1,491百万円減)となった。

3. キャッシュフローの状況
2018年3月期第2四半期の営業活動によるキャッシュフローは1,556百万円の増加となったが、これは主に売上債権の減少13,242百万円によるものである。投資活動によるキャッシュフローは2,599百万円の減少となった。財務活動によるキャッシュフローは3,813百万円の減少となったが、これは主に自己株式の取得2,290百万円、配当金の支払い1,271百万円によるものである。

この結果、2018年3月期第2四半期末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末から4,827百万円減少し、期末残高は34,359百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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