シャノン Research Memo(7):MAツールの機能拡充とパートナー戦略の推進により、高成長を目指す
[18/01/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
2. 成長戦略
シャノン<3976>では今後の成長戦略として、以下の6つの戦略を推進していく方針を示している。
(1) マーケティングオートメーション市場への積極投資
同社は国内におけるMAツール開発の先駆者として、今後も技術開発力を強みとして、競合他社との差別化を図っていく方針だ。同社は毎年、大きなバージョンアップを3回程度実施しているが、前下期もデータクレンジング機能を2017年8月にリリースしたほか、同年10月にはシナリオ機能の大幅アップデートを実施し、製品力を向上させている。
データクレンジング機能とは、顧客情報の名寄せを自動で行う機能となる。オンライン/オフラインで収集した顧客情報のうち、同一人物であっても会社名の表記の仕方(漢字、ローマ字等)によって、別の顧客データとして認識されるため、顧客情報がデータベース内に重複して存在してしまうことになる。漢字や英字表記、略称など様々に使い分ける日本ならではのもので、外資系の競合製品が弱い部分でもある。データクレンジング専用のツールは従来からもあったがサービス料金が高く、同機能をMAツールの一機能として追加したことで製品の競争力が一段と向上したことになる。
現在マーケティングにおいては、デジタル+アナログの融合の重要性が言われ始めており、MAサービスだけでなく、EMサービスも手掛ける同社としては一層強みを発揮しそうな状況もある。
また、既存機能のバージョンアップとして、シナリオ機能のバージョンアップを実施した。外資系企業と比較して唯一、同社製品の弱点とされていた機能だが、今回のバージョンアップにより競合品を上回る機能に進化させている。従来のシナリオ機能は「顧客とのデジタル接点の自動化」「フラグ変更等の定型業務の自動化」が基本であったが、同社は今回のバージョンアップにより新たに「アナログ接点のシナリオ活用」「グラフィカルで操作しやすいエディタ」「シナリオの成果貢献の見える化」といった機能を追加した。特に、グラフィカルユーザーインターフェースの強化により操作性が格段に向上したこと、シナリオの成果貢献を可視化できる機能は、新規顧客獲得において競合品との差別化要因に成り得る機能として注目される。
これら機能の拡充によってサービス料金は若干上昇するものの、使い勝手が良くなることで既存顧客の平均売上単価の上昇も同時に期待される。なお、同社の開発費は年間で1.5〜2億円程度で推移しており、今後も横ばい水準を予定している。このため、2018年10月期以降の売上高に占める開発費率は低下し、営業利益率の上昇要因となる。
(2) パートナー戦略の推進
同社ではMAサービスの成長に向けた販売戦略として、2017年6月に新パートナープログラムを発表した。販売提携の内容別に、「リセールパートナー、リファラルパートナー」「導入コンサルティングパートナー」「コネクトパートナー」と3つのパートナーに区分し、また、「シャノンマーケティングプラットフォーム」の機能、仕様情報、操作方法、活用ナレッジを備えた認定スペシャリストプログラム制度を発足させた。
MAサービスについては従来、大半を直販で賄っていたが、高成長を実現するためには販売チャネルを拡大していくことが必須で、パートナー戦略を強化していく方針となっている。2018年10月期の間接販売比率はまだ1割以下の水準だが、中期的に3割程度まで引き上げていく方針だ。「リセールパートナー、リファラルパートナー」としては、キヤノンマーケティングジャパンを始め10社程度とパートナー契約を締結している。パートナー数についてはこだわらず、良いパートナー先があればパートナー契約を結んでいくことにしている。
「導入コンサルティングパートナー」とは、システムの導入支援やコンサルティングを同社に代わって行うパートナー企業のことを指す。従来は自社で導入支援など全て行ってきたが、繁忙期には人的リソースの問題で受注機会ロスにつながるといった課題があった。「導入コンサルティングパートナー」を整備することで、こうした課題が解消できるほか、人員を平準化させることが可能となり、契約件数の拡大と同時に収益率の安定化が見込めることになる。現在、6社とパートナー契約を結んでいる。
「コネクトパートナー」とは、「シャノンマーケティングプラットフォーム」と連携可能な製品・サービスを持つ企業とのパートナー制度となる。既に12件の製品サービスと連携しているが、今後も積極的にコネクトパートナーを増やして行く方針となっている。現在、連携している主な製品・サービスとしてはBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールのグローバルリーダーであるTableauのデータ分析ソリューション「Tableau」(2015年11月連携)や、営業支援ツール大手のソフトブレーンの「eセールスマネージャー」(2016年9月連携)、グループウェアソフトの大手であるサイボウズの業務アプリ作成ツール「kintone」(同年12月連携)などが挙げられる。このうち、「eセールスマネージャー」の顧客数は累計で4,000社を超え、「kintone」も6,000社を超えるなど、同社よりも顧客数が格段に多く顧客獲得機会の増大につながる取り組みとして注目される。
(3) マーケティング・マネージド事業の確立
デジタルマーケティング市場の拡大に伴うマーケティング人材の不足に対応して、マーケティングの運用管理サービスを提供していく。
(4) AI技術を活用した新サービスの展開
AI技術を活用したマーケティング課題解決型サービスの研究開発に取り組んでいる。具体的には、マーケティング課題についてのデータを「見える化」して、どのような施策を行えばマーケティングの効果が向上するのか、従来はコンサルタントが改善提案していた業務をAI技術によってモニターに自動的に表示し、課題解決に導くサービスを想定している。まだ、開発段階にあり製品のリリース時期は2019年以降になるものと予想される。
(5) ソリューション新領域の拡大(広告、EC)
広告、EC業界でのソリューション展開を進めていく計画となっている。これらの業界はMAサービスとの親和性が高いものの、本格的にMAツールを活用している企業は一部にとどまっており、潜在的な成長ポテンシャルが大きい領域と同社では見ている。広告分野では、インターネット広告の効果測定技術と同社製品を融合することで、マーケティング施策の費用対効果をさらに向上する新サービスを開発中となっている。また、EC分野では年商で100億円以下の規模となるEC事業者をターゲットに、EC分野に最適化したサービスの開発を進めている。
(6) グローバル市場へのチャレンジ
東南アジア市場を中心にEMサービスを切り口としてサービス展開していくことを目指している。過去にも東南アジアに進出している日系企業のEMサービスを手掛けた実績がある。まずは、国内での事業基盤を固めることが優先されそうでだが、中期的には、海外に進出していく意向のようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 成長戦略
シャノン<3976>では今後の成長戦略として、以下の6つの戦略を推進していく方針を示している。
(1) マーケティングオートメーション市場への積極投資
同社は国内におけるMAツール開発の先駆者として、今後も技術開発力を強みとして、競合他社との差別化を図っていく方針だ。同社は毎年、大きなバージョンアップを3回程度実施しているが、前下期もデータクレンジング機能を2017年8月にリリースしたほか、同年10月にはシナリオ機能の大幅アップデートを実施し、製品力を向上させている。
データクレンジング機能とは、顧客情報の名寄せを自動で行う機能となる。オンライン/オフラインで収集した顧客情報のうち、同一人物であっても会社名の表記の仕方(漢字、ローマ字等)によって、別の顧客データとして認識されるため、顧客情報がデータベース内に重複して存在してしまうことになる。漢字や英字表記、略称など様々に使い分ける日本ならではのもので、外資系の競合製品が弱い部分でもある。データクレンジング専用のツールは従来からもあったがサービス料金が高く、同機能をMAツールの一機能として追加したことで製品の競争力が一段と向上したことになる。
現在マーケティングにおいては、デジタル+アナログの融合の重要性が言われ始めており、MAサービスだけでなく、EMサービスも手掛ける同社としては一層強みを発揮しそうな状況もある。
また、既存機能のバージョンアップとして、シナリオ機能のバージョンアップを実施した。外資系企業と比較して唯一、同社製品の弱点とされていた機能だが、今回のバージョンアップにより競合品を上回る機能に進化させている。従来のシナリオ機能は「顧客とのデジタル接点の自動化」「フラグ変更等の定型業務の自動化」が基本であったが、同社は今回のバージョンアップにより新たに「アナログ接点のシナリオ活用」「グラフィカルで操作しやすいエディタ」「シナリオの成果貢献の見える化」といった機能を追加した。特に、グラフィカルユーザーインターフェースの強化により操作性が格段に向上したこと、シナリオの成果貢献を可視化できる機能は、新規顧客獲得において競合品との差別化要因に成り得る機能として注目される。
これら機能の拡充によってサービス料金は若干上昇するものの、使い勝手が良くなることで既存顧客の平均売上単価の上昇も同時に期待される。なお、同社の開発費は年間で1.5〜2億円程度で推移しており、今後も横ばい水準を予定している。このため、2018年10月期以降の売上高に占める開発費率は低下し、営業利益率の上昇要因となる。
(2) パートナー戦略の推進
同社ではMAサービスの成長に向けた販売戦略として、2017年6月に新パートナープログラムを発表した。販売提携の内容別に、「リセールパートナー、リファラルパートナー」「導入コンサルティングパートナー」「コネクトパートナー」と3つのパートナーに区分し、また、「シャノンマーケティングプラットフォーム」の機能、仕様情報、操作方法、活用ナレッジを備えた認定スペシャリストプログラム制度を発足させた。
MAサービスについては従来、大半を直販で賄っていたが、高成長を実現するためには販売チャネルを拡大していくことが必須で、パートナー戦略を強化していく方針となっている。2018年10月期の間接販売比率はまだ1割以下の水準だが、中期的に3割程度まで引き上げていく方針だ。「リセールパートナー、リファラルパートナー」としては、キヤノンマーケティングジャパンを始め10社程度とパートナー契約を締結している。パートナー数についてはこだわらず、良いパートナー先があればパートナー契約を結んでいくことにしている。
「導入コンサルティングパートナー」とは、システムの導入支援やコンサルティングを同社に代わって行うパートナー企業のことを指す。従来は自社で導入支援など全て行ってきたが、繁忙期には人的リソースの問題で受注機会ロスにつながるといった課題があった。「導入コンサルティングパートナー」を整備することで、こうした課題が解消できるほか、人員を平準化させることが可能となり、契約件数の拡大と同時に収益率の安定化が見込めることになる。現在、6社とパートナー契約を結んでいる。
「コネクトパートナー」とは、「シャノンマーケティングプラットフォーム」と連携可能な製品・サービスを持つ企業とのパートナー制度となる。既に12件の製品サービスと連携しているが、今後も積極的にコネクトパートナーを増やして行く方針となっている。現在、連携している主な製品・サービスとしてはBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールのグローバルリーダーであるTableauのデータ分析ソリューション「Tableau」(2015年11月連携)や、営業支援ツール大手のソフトブレーンの「eセールスマネージャー」(2016年9月連携)、グループウェアソフトの大手であるサイボウズの業務アプリ作成ツール「kintone」(同年12月連携)などが挙げられる。このうち、「eセールスマネージャー」の顧客数は累計で4,000社を超え、「kintone」も6,000社を超えるなど、同社よりも顧客数が格段に多く顧客獲得機会の増大につながる取り組みとして注目される。
(3) マーケティング・マネージド事業の確立
デジタルマーケティング市場の拡大に伴うマーケティング人材の不足に対応して、マーケティングの運用管理サービスを提供していく。
(4) AI技術を活用した新サービスの展開
AI技術を活用したマーケティング課題解決型サービスの研究開発に取り組んでいる。具体的には、マーケティング課題についてのデータを「見える化」して、どのような施策を行えばマーケティングの効果が向上するのか、従来はコンサルタントが改善提案していた業務をAI技術によってモニターに自動的に表示し、課題解決に導くサービスを想定している。まだ、開発段階にあり製品のリリース時期は2019年以降になるものと予想される。
(5) ソリューション新領域の拡大(広告、EC)
広告、EC業界でのソリューション展開を進めていく計画となっている。これらの業界はMAサービスとの親和性が高いものの、本格的にMAツールを活用している企業は一部にとどまっており、潜在的な成長ポテンシャルが大きい領域と同社では見ている。広告分野では、インターネット広告の効果測定技術と同社製品を融合することで、マーケティング施策の費用対効果をさらに向上する新サービスを開発中となっている。また、EC分野では年商で100億円以下の規模となるEC事業者をターゲットに、EC分野に最適化したサービスの開発を進めている。
(6) グローバル市場へのチャレンジ
東南アジア市場を中心にEMサービスを切り口としてサービス展開していくことを目指している。過去にも東南アジアに進出している日系企業のEMサービスを手掛けた実績がある。まずは、国内での事業基盤を固めることが優先されそうでだが、中期的には、海外に進出していく意向のようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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