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タナベ経営 Research Memo(3):2019年3月期第2四半期累計業績は期初計画を上回る増収増益を達成

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2019年3月期第2四半期累計業績の概要
2019年3月期第2四半期累計業績は、売上高が前年同期比3.5%増の4,083百万円、営業利益が同4.6%増の446百万円、経常利益が同4.3%増の461百万円、四半期純利益が同5.6%増の320百万円といずれも期初会社計画を上回る増収増益となり、半期ベースで7年連続の増収増益となった。また、タナベ経営<9644>が主要KPIとするチームコンサルティングの期中平均契約社数は前年同期比40社増の597社となり、売上高も同6.8%増の2,052百万円となるなど順調に拡大した。

国内景気の緩やかな回復基調が続くなかで、経営コンサルティング事業では「営業戦略」「ブランディング戦略」「働き方・生産性改革」などをテーマとした経営コンサルティング案件が増加したほか、FCCアカデミー(企業内大学)設立コンサルティングやジュニアボード(次世代経営チーム育成)コンサルティング、FCCセミナー等の人材開発コンサルティングが想定以上に伸長し、また、SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業でもSPコンサルティングの売上が計画を上回ったことが期初計画比を上回る要因となった。売上総利益率は、コンサルタント人員の増強(前年同期末比12名増の237名)に伴う人件費増を主因として前年同期比1.0ポイント低下したものの、経費の抑制等に取り組んだことにより販管費率が同1.1ポイント低下した結果、営業利益率は同0.1ポイント上昇の10.9%となった。


経営コンサルティング事業、SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業とも会社計画を上回る増収増益に
2. 事業セグメント別動向
(1) 経営コンサルティング事業
経営コンサルティング事業の売上高は前年同期比3.9%増の2,642百万円、セグメント利益は同1.6%増の717百万円となり、期初会社計画(売上高2,580百万円、セグメント利益655百万円)をいずれも上回った。

サービス別の売上動向を見ると、主力の経営コンサルティングは前年同期比2.4%増と堅調に推移した。「営業戦略」「ブランディング戦略」「働き方・生産性改革」などをテーマとした経営コンサルティング案件の増加により、経営コンサルティングの期中平均契約数が427契約(前年同期比9契約増)となったほか、1契約当たりの平均単価も上昇したことが増収要因となった。また、経営コンサルティング契約につなげていくための導線となる戦略ドメイン&ファンクション研究会についても、研究会テーマ数や開催数が増加したことにより参加社数で785社(同24社増)と増加し、顧客基盤として拡大した。

一方、人材開発コンサルティングは前年同期比7.6%増となった。過半を占めるオーダーメイド型教育(研修)は期中平均契約数が100契約(同3契約増)となったものの、平均単価の低下により売上高は伸び悩んだ。一方で、FCCセミナーの参加社数が2,640社(同134社増)と好調に推移したほか、FCCアカデミー(企業内大学)設立コンサルティングの期中平均契約数が27契約(同13契約増)、ジュニアボード(次世代経営チーム育成)コンサルティングの期中平均契約数が19契約(同6契約増)とそれぞれ増加したことが増収要因となった。

アライアンス(提携)を含むその他については前年同期比57.2%減となった。地域金融機関の再編等の動きもあり提携契約先数が131先(前年同期比12先減)に減少したこと、また、各種会員組織の会員数減少により会費収入が減少したことが減収要因となった。ただ、いずれも事業全体に占める比率は小さく業績に与える影響は軽微となっている。

セグメント利益率は前年同期比0.6ポイント低下の27.1%となったが、これはコンサルタント人員の体制強化に伴う人件費増が主因となっている。同事業における第2四半期末のコンサルタント人員は、経営コンサルタントが146名(前年同期末比1名減)、人材開発コンサルタントが33名(同17名増)となり、人材開発コンサルタントが約2倍に増加した。人材開発コンサルティングの需要拡大に対応し採用を強化しことによる。経営コンサルタントも各業界に精通するプロフェショナル人材の採用が進んだが、他部署へ異動となるコンサルタントも複数名いたことから、結果的に1名減となっている。

(2) SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業
SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業の売上高は前年同期比2.7%増の1,440百万円、セグメント損失は68百万円(前年同期は50百万円の損失)となり、期初会社計画(売上高1,420百万円、セグメント損失70百万円)をいずれも上回った。

サービス別の売上動向を見ると、売上高の過半を占めるSPコンサルティングは、月次契約型のセールスプロモーションコンサルティングにおいて経営コンサルティング事業との連携による受注獲得が進んだほか、Webプロモーションコンサルティング案件も好調に推移したことで、契約数が順調に拡大した。また、SPデザインについても独自性の高いプロモーションツールとして付加価値の高い提案を積極的に行った結果、増収となり、全体では前年同期比9.1%増となった。

SPツールについては継続した安定受注があるものの、より付加価値の高いSPデザインに注力したことで同9.0%減となった。

ダイアリーについては2019年に発行60周年記念を迎えるブルーダイアリーのリ・ブランディング活動と早期営業の取り組みが奏効し、同18.3%増と好調に推移した。

同事業はダイアリーの売上高が第3四半期に集中するため、第2四半期までは毎期、損失が出る季節性がある。2019年3月期第2四半期累計期間におけるセグメント損失が前年同期比で若干拡大したが、これは主に業務プロセスの見直しにかかる費用を販管費に計上したことが主因となっている。売上総利益ベースでは前年同期比2.6%増の388百万円と増益となっている。

第2四半期末のSPコンサルタントは58名と前年同期末比で4名減となったものの、前期末比では横ばい水準であった。SPコンサルティング分野でも、期初よりドメイン(業種)・ファンクション(プロモーションテーマ)という観点で専門業務領域を確立し、チームコンサルティングを推進できる体制を構築するため、プロフェショナル人材の採用強化と育成に注力したことから、人件費は増加している。


無借金経営で手元キャッシュも潤沢、財務内容は良好
3. 財務状況と経営指標
2019年3月期第2四半期末の総資産は前期末比318百万円減少の12,485百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では配当金の支払いに伴い現預金及び有価証券が579百万円減少し、固定資産では長期預金及び投資有価証券が115百万円増加した。長短合わせた現預金及び有価証券は8,226百万円と前期末比で464百万円減少したが、総資産に占める比率は65.9%と引き続き高水準を維持している。

負債合計は前期末比202百万円減少の2,166百万円となった。固定負債で退職給付引当金217百万円が無くなったことが主因となっている。また、純資産は前期末比115百万円減少の10,318百万円となった。四半期純利益を320百万円計上したのに対して、配当金の支払いで354百万円、自己株式取得で97百万円の減少要因となった。

自己資本比率は82.6%と継続して80%以上を維持しており、有利子負債もないことから、財務内容は極めて良好な状態が続いていると判断される。手元キャッシュが高水準であるが、現時点では社内での成長に向けた人材投資や働き方改革、生産性改革に向けたIT投資などに資金を投下していく方針となっている。また、潤沢な資金を活用したM&A・提携も戦略オプションの1つとして考えており、同社の成長に寄与する案件があれば、前向きに検討していく方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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