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船井総研 Research Memo(1):経営コンサルティング業界屈指の成長性、収益性、安全性を誇る

注目トピックス 日本株
■要約

船井総研ホールディングス<9757>は、中小・中堅企業向け経営コンサルティング業界の草分けで大手の一角である。1988年にコンサルティング業界で初めて株式の上場を果たし、2010年に就任した4代目の高嶋栄(たかしまさかえ)代表取締役社長の体制下では、経営者の会員組織化などが奏功し順調に業績を伸ばし、経営コンサルティング事業の強化、周辺領域への事業領域の拡大、グループ経営体制の強化が行われている。傘下にロジスティクスやIT、コンタクトセンターコンサルティングなどの連結子会社8社を有する。中小・中堅企業向け経営コンサルティング業界において、市場シェア及びコンサルティング実績で圧倒的な存在である。

1. 事業概要
同社のコンサルティングサービスは、顧客が集い、相互の切磋琢磨の中で信頼関係が深まり、契約が積み上がっていく、経営コンサルティング業界では独自性の高いストック型ビジネスモデルである。その特長は、業種・テーマ別経営研究会(特化したテーマで実践力を高める170以上の研究会)、ズバリソリューション(いま実践すれば、飛躍的な業績向上を狙える、その業界における旬のビジネスモデル)、業種別組織・早期人材育成体制(業種やテーマに特化して場数を踏むことにより5年でチームリーダーを育成)である。

2. 業績動向
2018年12月期通期の連結業績は、売上高が前期比16.1%増の21,697百万円、営業利益が同6.8%増の4,946百万円、経常利益が同7.0%増の5,008百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同10.7%増の3,549百万円と7年連続の増収増益となった。売上高、各利益ともに2年目を迎える中期経営計画の計画値も順調に達成した。売上高に関しては、経営コンサルティング事業を始め、すべての事業が増収となり好調である。主力の経営コンサルティング事業では「月次支援」や「プロジェクト」などのコンサルティング業務が堅調だったのに加え、顧客企業のWEBでの集客を支援する「リスティング」業務が高い伸びを示した。業種別では、強い基盤を持つ「住宅・不動産」、「医療・介護・福祉」で前期比20%前後の高い伸び率となった。その他事業は、新設された(株)HR Force(ダイレクトリクルーティング事業)及び新和コンピュータサービス(株)(システム開発事業)の売上高が加わり、前期比80%近い成長となり、全社の増収に貢献した。営業利益に関しては、各事業とも計画どおりである。経営コンサルティング事業が圧倒的な収益力で全社の利益の大半を稼ぐ構造は今期も変わらない。上期は苦戦したが、セミナーを積極化させた下期は大きく利益を伸ばした。

2019年12月期通期の連結業績は、売上高が前期比8.3%増の23,500百万円、営業利益が同9.2%増の5,400百万円、経常利益が同7.8%増の5,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同4.2%増の3,700百万円と増収増益を予想する。中期経営計画の3年目の計画であり、同社の実力値からすればやや保守的な計画ではあるが、早期に達成の目途をつけて上方修正したい考えだ。

3. 成長戦略
中期経営計画の重点項目は(1)成長実行支援、(2)価値向上支援、(3)人材開発支援、(4)デジタル化支援の4点である。(1)成長実行支援は、同社の従来からの得意分野であり、強みに磨きをかける取り組みであり、その達成に懸念はない。(2)価値向上支援は、その成果が現れつつある段階である。2018年12月期のM&A仲介件数は15件と実績が出てきており、今後の飛躍に期待がかかる。(3)人材開発支援においては、2018年2月にHR Forceを設立し、ダイレクトリクルーティング事業が好調に滑り出した。中小企業の人材不足は深刻であり、今後も大きな市場ポテンシャルが期待できる。(4)デジタル化支援は2018年12月期より掲げたテーマであり、同社のビジネスモデルがデジタル化するとともに、顧客への支援内容もデジタル化しており、両面で事業の進化が加速している。

4. ベンチマーク
同社は、経営コンサルティング業界の中でもその業績が際立っている。売上高の成長性(過去3年間の年平均成長率)は、業界8社中1位の13.8%である。2020年に50周年を迎える業界の老舗企業だが、その成長は加速している。またROE(直近年度)では8社中3位の16.4%と高い位置につける。資本を効率的に活用し、株主の期待に応えていることが現れている。この他にも安全性では自己資本比率81.9%と突出しており、成長性、収益性、安全性のどの指標でもトップクラスであると言えるだろう。

5. 株主還元策
同社は、株主への適切な利益還元を経営の最重要テーマとしており、業績を考慮しながら、「配当による還元」と「自己株式取得による還元」の双方を軸に実施していくとしている。配当総額も持続的に上げつつ、総還元性向(配当+自己株式取得)で50%以上を目安とする。2018年12月期の1株当たり配当金は上期15円、下期は20円(特別配当2円を含む)、年間で35円、配当性向50.0%だった。進行期である2019年12月期の1株当たり配当金は上期17円、下期は23円(創業50周年記念配当3円を含む)、年間で40円、配当性向54.5%を予想する。2018年12月期は、株主還元の一環として自己株式の取得(999百万円)を行った。これを加えた総還元性向は78.1%に達し、同社がいかに株主還元を重視しているかがわかる。今後も株価を勘案しながら、自己株式の取得を行う方針である。

■Key Points
・ビジネスモデル:業種・テーマ別研究会を基盤に、成功するソリューションを共創・指導する独自のコンサルテーションが強み
・直近業績:2018年12月期は7年連続増収増益を達成。主力の経営コンサルティング事業がけん引。ダイレクトリクルーティングに関する新会社設立やシステム開発会社のM&Aが増収に貢献
・中期経営計画進捗:中期経営計画重点項目である価値向上支援(M&A等)、人材開発支援、デジタル化支援が着々と進捗
・ベンチマーク:経営コンサルティング業界でも屈指の成長性、収益性、安全性を誇る
・株主還元:2018年12月期は増配及び配当性向50%。自己株式取得を勘案した総還元性向では78%に達する

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)



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