船井総研 Research Memo(3):業種・テーマ別経営研究会を基盤に、成功するソリューションを共創・指導する
[19/04/11]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
1. 経営コンサルティング事業
(1) 業績推移
船井総研ホールディングス<9757>にとって経営コンサルティング事業は、過去一貫して大黒柱であり、成長及び収益の源泉である。過去4年間の平均成長率は、売上高で年12.0%増、営業利益で年7.4%増と安定している。2018年12月期も、売上高17,099百万円(前期比11.9%増)、営業利益4,559百万円(前期比8.5%増)と順調な成長ペースを維持した。
(2) 経営コンサルティング事業のビジネスモデル
(a) 業種・テーマ別経営研究会
同社のビジネスモデルの中核となるアプローチが「業種・テーマ別経営研究会」である。2018年12月末で170を超える研究会に7,000名以上の会員(有料)が参加し、勉強会やモデル企業視察などの活動を行っている。一般的に経営者の集まりは、異業種交流会的なものが多いが、この経営研究会は業種やテーマが絞り込まれており、より実践的なものだ。住宅業界での研究会を例示すると、「分譲住宅ビジネス研究会」「賃貸管理ビジネス・資産管理研究会」「中古+リフォームビジネス研究会」「塗装ビジネス研究会」など、具体的かつ細分化している。既存クライアントも参加しているため、経営コンサルティングの実態や効果も口コミで伝わりやすい。
(b) ズバリソリューション
各経営研究会で討議されるのがズバリソリューションである。ズバリソリューションとは同社オリジナルの言葉であり、「いま、実践すれば、飛躍的な業績向上を狙える、その業界における旬のビジネスモデル」を意味する。一般的な経営コンサルティングでは、経営診断を行った後にカスタマイズされた解決策の提案を行うのが常道だが、同社は逆の発想である。事前に成功するビジネスモデルを準備しておき、そのモデルに賛同するクライアントを集客していく。数あるソリューションの中から例示すれば、住宅業界では「2年目で年80棟を売るコンパクト建売分譲モデル」、介護業界では「脳梗塞リハビリ新規参入」、弁護士業においては「交通事故後遺障害認定を含めたワンストップサービス」など非常に具体的である。若いコンサルタントでも、同じソリューションを何件も担当することで短期に累積経験を積むことができ、早く独り立ちできる。
(c) 業種別組織・早期人材育成体制
同社は業種別組織を基本としている。新卒採用を中心とした若いコンサルタントが多いなかで、特定の経営研究会、経営セミナー、月次支援を担当し、業種やテーマに特化することで早期にノウハウを吸収し自立することができる。コンサルタントが新卒入社からチームリーダーに昇格するまでの期間は以前7年1ヶ月(2013年)であったが、現在では4年2ヶ月(2018年)であり、早期に“一人前”のコンサルタントを育成する体制に磨きがかかっている。
(d) 現場に密着する「月次支援」が中心
業務別に見ると、「月次支援(コンサルティング)」が約7割を占め、売上の中心である。「月次支援」は現場に出向き経営者に寄り添いながら、実践的な支援を行う。1年間の契約が多く、継続率も高い。「プロジェクト(コンサルティング)」は、調査、診断やこれらに基づく提案を一定期間でレポートする業務であり、カスタマイズ性が高い。M&A案件などもここに分類される。コンサルティング以外では「経営研究会会費」が大きく、Webでの集客を支援する「リスティング」、「公開型セミナー」が続く。いずれの業務も2018年12月期に成長している。
(3) 業種別の動向
経営コンサルティング事業を業種別に見ると、主力2業種である「住宅・不動産」「医療・介護・福祉」で前期比20%前後増と順調に業績を伸ばしている。好調の業種にはコンサルタントの担当希望も多くなり、より活性化するという好循環が発生する。結果として同社は「住宅・不動産」「医療・介護・福祉」「士業」など多くの国内コンサルティング市場でシェアNo.1クラスの地位にある。規模は小さいが成長性が高い業種としては、「人材サービス(前期比29.6%増)」「教育・保育・スクール(前期比25.9%増)」などがある。逆風が吹く業種としては「アミューズメント(前期比19.4%減)」が挙げられる。近年、規制強化の影響で業界自体が再編期を迎えており、同社の業績も苦戦する。
支援内容別に見ると、従来からの「成長実行支援(業績向上)」が大きな割合を占める傾向は変わらないものの、「人材開発支援(人材採用・育成・評価・組織活性化)」と「価値向上支援(事業承継・M&A・財務支援等)」がその比率を伸ばしている。
2. ロジスティクス事業
ロジスティクス事業では、顧客企業の物流コスト削減等を目的としたコンサルティングサービスである「物流コンサルティング業務」、顧客企業の物流業務の運用等を実行するサービスである「物流オペレーション業務」、顧客企業の購買コスト削減等を共同購買で具現化するサービスである「物流トレーディング業務」の3業務を行っている。売上高の構成としては、約55%を占めるのが「物流オペレーション業務」であり、続く「物流コンサルティング業務」は利益率が高い点に特徴がある。過去4年間の平均成長率は、売上高で年14.7%増、営業利益で年66.2%増であり、安定した成長とともに、大幅に収益性を改善してきた。2018年12月期も、物流コンサルティング業務で大型プロジェクトを受注したことや、物流オペレーション業務での輸配送業務の拡大などで、順調に増収増益を維持した。
3. その他事業
その他事業は、同社が「総合経営コンサルティンググループ」を目指すための周辺事業群が含まれる。具体的には、(株)船井総研ITソリューションズ(ITコンサルティング事業)、(株)プロシード(コンタクトセンターコンサルティング事業)、(株)HR Force(ダイレクトリクルーティング事業)、新和コンピュータサービス(株)(システム開発事業)の4事業である。セグメント売上高は右肩上がりで成長し、2018年12月期も前期比77.2%増となった。この要因としては、第1四半期のHR Forceの新規設立及びその著しい成長、第3四半期からの新和コンピュータサービスの連結子会社化が寄与している。なお、このセグメントの事業は成長を優先する方針のため、利益分は成長投資に回される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<SF>
1. 経営コンサルティング事業
(1) 業績推移
船井総研ホールディングス<9757>にとって経営コンサルティング事業は、過去一貫して大黒柱であり、成長及び収益の源泉である。過去4年間の平均成長率は、売上高で年12.0%増、営業利益で年7.4%増と安定している。2018年12月期も、売上高17,099百万円(前期比11.9%増)、営業利益4,559百万円(前期比8.5%増)と順調な成長ペースを維持した。
(2) 経営コンサルティング事業のビジネスモデル
(a) 業種・テーマ別経営研究会
同社のビジネスモデルの中核となるアプローチが「業種・テーマ別経営研究会」である。2018年12月末で170を超える研究会に7,000名以上の会員(有料)が参加し、勉強会やモデル企業視察などの活動を行っている。一般的に経営者の集まりは、異業種交流会的なものが多いが、この経営研究会は業種やテーマが絞り込まれており、より実践的なものだ。住宅業界での研究会を例示すると、「分譲住宅ビジネス研究会」「賃貸管理ビジネス・資産管理研究会」「中古+リフォームビジネス研究会」「塗装ビジネス研究会」など、具体的かつ細分化している。既存クライアントも参加しているため、経営コンサルティングの実態や効果も口コミで伝わりやすい。
(b) ズバリソリューション
各経営研究会で討議されるのがズバリソリューションである。ズバリソリューションとは同社オリジナルの言葉であり、「いま、実践すれば、飛躍的な業績向上を狙える、その業界における旬のビジネスモデル」を意味する。一般的な経営コンサルティングでは、経営診断を行った後にカスタマイズされた解決策の提案を行うのが常道だが、同社は逆の発想である。事前に成功するビジネスモデルを準備しておき、そのモデルに賛同するクライアントを集客していく。数あるソリューションの中から例示すれば、住宅業界では「2年目で年80棟を売るコンパクト建売分譲モデル」、介護業界では「脳梗塞リハビリ新規参入」、弁護士業においては「交通事故後遺障害認定を含めたワンストップサービス」など非常に具体的である。若いコンサルタントでも、同じソリューションを何件も担当することで短期に累積経験を積むことができ、早く独り立ちできる。
(c) 業種別組織・早期人材育成体制
同社は業種別組織を基本としている。新卒採用を中心とした若いコンサルタントが多いなかで、特定の経営研究会、経営セミナー、月次支援を担当し、業種やテーマに特化することで早期にノウハウを吸収し自立することができる。コンサルタントが新卒入社からチームリーダーに昇格するまでの期間は以前7年1ヶ月(2013年)であったが、現在では4年2ヶ月(2018年)であり、早期に“一人前”のコンサルタントを育成する体制に磨きがかかっている。
(d) 現場に密着する「月次支援」が中心
業務別に見ると、「月次支援(コンサルティング)」が約7割を占め、売上の中心である。「月次支援」は現場に出向き経営者に寄り添いながら、実践的な支援を行う。1年間の契約が多く、継続率も高い。「プロジェクト(コンサルティング)」は、調査、診断やこれらに基づく提案を一定期間でレポートする業務であり、カスタマイズ性が高い。M&A案件などもここに分類される。コンサルティング以外では「経営研究会会費」が大きく、Webでの集客を支援する「リスティング」、「公開型セミナー」が続く。いずれの業務も2018年12月期に成長している。
(3) 業種別の動向
経営コンサルティング事業を業種別に見ると、主力2業種である「住宅・不動産」「医療・介護・福祉」で前期比20%前後増と順調に業績を伸ばしている。好調の業種にはコンサルタントの担当希望も多くなり、より活性化するという好循環が発生する。結果として同社は「住宅・不動産」「医療・介護・福祉」「士業」など多くの国内コンサルティング市場でシェアNo.1クラスの地位にある。規模は小さいが成長性が高い業種としては、「人材サービス(前期比29.6%増)」「教育・保育・スクール(前期比25.9%増)」などがある。逆風が吹く業種としては「アミューズメント(前期比19.4%減)」が挙げられる。近年、規制強化の影響で業界自体が再編期を迎えており、同社の業績も苦戦する。
支援内容別に見ると、従来からの「成長実行支援(業績向上)」が大きな割合を占める傾向は変わらないものの、「人材開発支援(人材採用・育成・評価・組織活性化)」と「価値向上支援(事業承継・M&A・財務支援等)」がその比率を伸ばしている。
2. ロジスティクス事業
ロジスティクス事業では、顧客企業の物流コスト削減等を目的としたコンサルティングサービスである「物流コンサルティング業務」、顧客企業の物流業務の運用等を実行するサービスである「物流オペレーション業務」、顧客企業の購買コスト削減等を共同購買で具現化するサービスである「物流トレーディング業務」の3業務を行っている。売上高の構成としては、約55%を占めるのが「物流オペレーション業務」であり、続く「物流コンサルティング業務」は利益率が高い点に特徴がある。過去4年間の平均成長率は、売上高で年14.7%増、営業利益で年66.2%増であり、安定した成長とともに、大幅に収益性を改善してきた。2018年12月期も、物流コンサルティング業務で大型プロジェクトを受注したことや、物流オペレーション業務での輸配送業務の拡大などで、順調に増収増益を維持した。
3. その他事業
その他事業は、同社が「総合経営コンサルティンググループ」を目指すための周辺事業群が含まれる。具体的には、(株)船井総研ITソリューションズ(ITコンサルティング事業)、(株)プロシード(コンタクトセンターコンサルティング事業)、(株)HR Force(ダイレクトリクルーティング事業)、新和コンピュータサービス(株)(システム開発事業)の4事業である。セグメント売上高は右肩上がりで成長し、2018年12月期も前期比77.2%増となった。この要因としては、第1四半期のHR Forceの新規設立及びその著しい成長、第3四半期からの新和コンピュータサービスの連結子会社化が寄与している。なお、このセグメントの事業は成長を優先する方針のため、利益分は成長投資に回される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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