イグニス Research Memo(1)2019年9月期上期は増収ながら営業損失を計上
[19/06/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
イグニス<3689> は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・開発・運営・販売等を主力としている。「コミュニティ」「ゲーム」「その他(新規事業等)」の3つのジャンルを事業の柱とし、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジショニングを確立してきた。また、新規事業としてVR やAI、IoT などにも取り組んでいる。ロングセラーゲームとして安定運営を継続している「ぼくとドラゴン」(ゲーム)に加えて、オンライン恋愛・婚活サービス「with」(コミュニティ)が順調に伸びており、2 本目の柱に育った。さらには、VR事業(エンターテインメント分野と医療分野)などの新規事業も動き出しており、新たな成長ステージを迎えている。
2019年9月期上期の業績は、売上高が前年同期比9.9%増の2,715百万円、営業損失が514百万円(前年同期は666百万円の営業損失)と増収ながらVR事業(エンターテインメント)への先行費用等により営業損失を計上。ただ、想定内の進捗である。「with」の大幅な拡大が増収に寄与。また、リリースより4年が経過し、ライフサイクルの成熟期を迎えている「ぼくとドラゴン」は前年同期比で減収となったが、利益面での貢献は依然として大きい。一方、2018年12月に配信を開始した新規タイトル「でみめん」については、想定どおり緩やかなペースで立ち上がってきたものの、現時点での業績貢献はまだ小さい。損益面では、「ぼくとドラゴン」や「with」が利益貢献した一方、VR事業(エンターテインメント)への先行費用のほか、「でみめん」提供開始時のプロモーション費用により営業損失を計上。また、財務面では、2018 年12 月にVR 事業(エンターテインメント)への投資を目的として、(第三者割当)新株式及び新株予約権の発行により約12 億円の資金調達を実施している。
2019 年9 月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比23.1% 増の6,000 百万円、営業利益を30 百万円(前期は2,532 百万円の損失)と増収により黒字転換を見込んでいる。売上高は、「ぼくとドラゴン」が逓減傾向で推移するものの、好調な「with」の成長加速が増収に大きく寄与する。一方、新規タイトル「でみめん」や2019年4月に配信を開始した新規タイトル「猫とドラゴン」については、一定の売上貢献を見込んではいるものの、慎重な見方をしているようだ。また、VR事業(エンターテインメント) についても、各種IP 展開による販売収入(ライブ、音楽配信、CD 販売、ファンクラブなど)とVirtual Live Platform「INSPIX」の展開による手数料収入の両面からマネタイズの形が見えてくるものの、本格的な収益化は見込んでいない。損益面では、積み上げ型収益モデルである「with」の伸長により収益性は大きく改善に向かう一方、VR 事業(エンターテインメント)への積極投資を継続することから、利益水準は依然として低位にとどまる。
同社は、2020 年9 月期を最終年度とする中期経営計画を推進しており、売上高150 億円、営業利益60 億円(営業利益率40%)を目指している。特に、市場拡大が見込める「with」とVR事業(エンターテインメント)を大きく伸ばす計画となっているようだ。弊社では、「with」の更なる成長が期待できることやVR事業(エンターテインメント)についても独自の収益モデル(コンテンツとシステム双方を保有する垂直統合型の運営)の形が見えてきたことから、これらの収益ドライバーの動きがカギを握るものとみている。また、中期経営計画の達成に向けては、AI関連・検査自動化、VR事業(医療)のほか、オンライン診療対応の医療機関向けSaaS など、これまで取り組んできた新規事業の収益事業化に向けた具体的な道筋にも注目したい。
■Key Points
・2019年9月期上期の業績は増収ながらVR事業(エンターテインメント)への先行費用により営業損失を計上(但し、計画どおりの進捗)
・VR事業(エンターテインメント)への投資を目的として(第三者割当)新株式及び新株予約権の発行を実施し、財務基盤の強化にも取り組む
・2019 年9 月期の通期業績は、VR事業への積極投資を継続するものの、積み上げ型収益モデルである「with」の伸びにより黒字転換を図る見通し
・今後も複数の事業の立ち上げ及び、積み上げ型の強固な事業基盤と爆発力のある事業の推進により、安定感のある事業ポートフォリオを目指す戦略
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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イグニス<3689> は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・開発・運営・販売等を主力としている。「コミュニティ」「ゲーム」「その他(新規事業等)」の3つのジャンルを事業の柱とし、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジショニングを確立してきた。また、新規事業としてVR やAI、IoT などにも取り組んでいる。ロングセラーゲームとして安定運営を継続している「ぼくとドラゴン」(ゲーム)に加えて、オンライン恋愛・婚活サービス「with」(コミュニティ)が順調に伸びており、2 本目の柱に育った。さらには、VR事業(エンターテインメント分野と医療分野)などの新規事業も動き出しており、新たな成長ステージを迎えている。
2019年9月期上期の業績は、売上高が前年同期比9.9%増の2,715百万円、営業損失が514百万円(前年同期は666百万円の営業損失)と増収ながらVR事業(エンターテインメント)への先行費用等により営業損失を計上。ただ、想定内の進捗である。「with」の大幅な拡大が増収に寄与。また、リリースより4年が経過し、ライフサイクルの成熟期を迎えている「ぼくとドラゴン」は前年同期比で減収となったが、利益面での貢献は依然として大きい。一方、2018年12月に配信を開始した新規タイトル「でみめん」については、想定どおり緩やかなペースで立ち上がってきたものの、現時点での業績貢献はまだ小さい。損益面では、「ぼくとドラゴン」や「with」が利益貢献した一方、VR事業(エンターテインメント)への先行費用のほか、「でみめん」提供開始時のプロモーション費用により営業損失を計上。また、財務面では、2018 年12 月にVR 事業(エンターテインメント)への投資を目的として、(第三者割当)新株式及び新株予約権の発行により約12 億円の資金調達を実施している。
2019 年9 月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比23.1% 増の6,000 百万円、営業利益を30 百万円(前期は2,532 百万円の損失)と増収により黒字転換を見込んでいる。売上高は、「ぼくとドラゴン」が逓減傾向で推移するものの、好調な「with」の成長加速が増収に大きく寄与する。一方、新規タイトル「でみめん」や2019年4月に配信を開始した新規タイトル「猫とドラゴン」については、一定の売上貢献を見込んではいるものの、慎重な見方をしているようだ。また、VR事業(エンターテインメント) についても、各種IP 展開による販売収入(ライブ、音楽配信、CD 販売、ファンクラブなど)とVirtual Live Platform「INSPIX」の展開による手数料収入の両面からマネタイズの形が見えてくるものの、本格的な収益化は見込んでいない。損益面では、積み上げ型収益モデルである「with」の伸長により収益性は大きく改善に向かう一方、VR 事業(エンターテインメント)への積極投資を継続することから、利益水準は依然として低位にとどまる。
同社は、2020 年9 月期を最終年度とする中期経営計画を推進しており、売上高150 億円、営業利益60 億円(営業利益率40%)を目指している。特に、市場拡大が見込める「with」とVR事業(エンターテインメント)を大きく伸ばす計画となっているようだ。弊社では、「with」の更なる成長が期待できることやVR事業(エンターテインメント)についても独自の収益モデル(コンテンツとシステム双方を保有する垂直統合型の運営)の形が見えてきたことから、これらの収益ドライバーの動きがカギを握るものとみている。また、中期経営計画の達成に向けては、AI関連・検査自動化、VR事業(医療)のほか、オンライン診療対応の医療機関向けSaaS など、これまで取り組んできた新規事業の収益事業化に向けた具体的な道筋にも注目したい。
■Key Points
・2019年9月期上期の業績は増収ながらVR事業(エンターテインメント)への先行費用により営業損失を計上(但し、計画どおりの進捗)
・VR事業(エンターテインメント)への投資を目的として(第三者割当)新株式及び新株予約権の発行を実施し、財務基盤の強化にも取り組む
・2019 年9 月期の通期業績は、VR事業への積極投資を継続するものの、積み上げ型収益モデルである「with」の伸びにより黒字転換を図る見通し
・今後も複数の事業の立ち上げ及び、積み上げ型の強固な事業基盤と爆発力のある事業の推進により、安定感のある事業ポートフォリオを目指す戦略
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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