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エルテス Research Memo(1):上期は需要拡大で計画を上回る増収増益。2020年2月期の利益予想を増額修正

注目トピックス 日本株
■要約

エルテス<3967>は、「リスクを解決する社会インフラの創出」をミッションに掲げ、リスク検知に特化したビッグデータ解析ソリューションを展開している。主力の「ソーシャルリスクサービス」は、SNSやブログ、検索サイトなどWeb上の様々なメディアに起因するリスクに対するソリューションを提供するものである。インターネットの普及やデジタルデバイスの進化により、利便性の向上と引き換えに様々なリスク(従業員による不適切投稿等に伴う風評被害やネット炎上等)が顕在化するなか、ソーシャルメディアの監視から緊急対応、その後の対応まで、顧客のリスクマネジメントをワンストップで支援する独自のポジショニングにより成長を実現してきた。最近では、企業内のログデータを対象として情報漏えいなどを検知する「内部脅威検知サービス」も着実に伸びている。

独自のデータ解析技術に加え、他社に先駆けて蓄積してきた教師データ(リスク事例)やコンサルティング力に強みがあり、有力ブランドを持つ大手企業を中心に400社以上(のべ1,000社以上)の取引実績を誇る。また、需要拡大が予想される「AIセキュリティ事業」のほか、新たな社会インフラとして注目されている「情報銀行」や「電子政府」の実現に向けた新サービスの開発にも取り組んでいる。

1. 2020年2月期上期決算の概要
2020年2月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比14.1%増の942百万円、営業利益が同437.7%増の140百万円と計画を上回る増収増益となった。顧客数及び契約数の拡大により「デジタルリスク事業」が好調に推移した。従業員による不適切投稿が大きな注目を集めたことや積極的な広告宣伝活動が奏功した。特に、契約継続率の高い「ソーシャルリスクモニタリング」が順調に積み上がったことに加え、期間の短い高単価契約の受注が上振れ要因となった。また、「その他事業」についても、「AIセキュリティ事業」の伸びや、新サービスの一部収益化により大きく伸長した。したがって、外部環境を追い風として全般的に好調であったことが業績の底上げにつながったものと総括することができる。損益面では、人件費や広告宣伝費等が増加したものの、増収効果や業務効率化の推進により大幅な営業増益を実現した。営業利益率も大きく改善している。

2. 2020年2月期の業績予想
2020年2月期の連結業績予想について同社は、上期実績等を踏まえ、利益予想を増額修正した(売上高予想は据え置き)。修正後の業績予想として、売上高を前期比8.7%増の1,800百万円、営業利益を同284.9%増の150百万円と増収増益を見込んでいる。売上高は、上期に引き続き「ソーシャルリスクモニタリング」が伸長するとともに、「その他事業」についても、「デジタル信用調査」の伸びに加え、新たに開始した「信託プラットフォーム」構築(実証実験)の一部収益化などが増収に寄与する。損益面でも、増収効果やAI化による業務効率化等により大幅な増益を見込んでいる。ただ、下期については、人件費や広告宣伝費、新サービス開発関連費用など、2021年2月期以降の成長加速に向けた先行費用を予定しており、利益の積み上げは限定的となる見通しである。

3. 成長戦略
今後も、IoTやブロックチェーン、仮想通貨、自動運転など、新しいテクノロジーが出るたびに、新たなデジタルリスクの発生が予想されるが、それらのデジタルリスクに対応する形で事業領域の拡張を目指す方向性である。その方向性を示す指針として、形態を選択せずあらゆるデータを収集し、独自のリスク分析アルゴリズムをベースに各ソリューションを提供する「Eltes Data Intelligence構想」を掲げている。加えて、デジタルリスクから派生する新たな社会課題(テロ対策、電子政府化、金融犯罪対策等)の解決にも貢献していく方針である。

弊社では、デジタル化の進展に伴う新たなリスク対策ニーズの拡大や東京オリンピック・パラリンピック開催等に向けた社会的リスクの高まり、電子政府(デジタルガバナンス)の進展など外部環境が一段と追い風となるなか、他社に先行して優位性を構築してきた同社にとって、中長期的にも高い成長率を持続することは可能であるとみている。

■Key Points
・2020年2月期上期は、外部環境を追い風とした需要の伸びや積極的な広告宣伝活動により計画を上回る増収増益を実現
・主力の「ソーシャルリスクサービス」が順調に積み上がったほか、「AIセキュリティ事業」の伸びや新サービスの一部収益化も増収に寄与
・2020年2月期上期実績等を踏まえ、2020年2月期の利益予想を増額修正(売上高予想は据え置き)。成長加速に向けた先行費用をこなしながら増収増益を見込む
・今後も、テクノロジーの発展に伴う様々なデジタルリスクに対応する形で事業領域の拡張を目指す方向性。ポテンシャルの大きな「情報銀行」や「電子政府関連」への事業化に向けた動きにも注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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