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サムティ Research Memo(10):バランスシートを重視しながら、持続的な利益成長を目指す

注目トピックス 日本株
■成長戦略

1. 中期経営計画
サムティ<3244>は、2019年11月期から2021年11月期までの中期経営計画(3ヶ年)を推進している。2018年11月期に2年前倒しで達成した前中期経営計画「Challenge40」の重点戦略や財務戦略を継承しつつ、さらに強化を図る方向性である。すなわち、1)SRRを中心としたビジネスモデルの展開(フィー収入ビジネスの強化)、2)地方大都市圏における戦略的投資(営業エリアの拡大)、3)ホテル開発・オフィス開発事業の展開(新たな成長エンジンの育成)に取り組む。また、将来的な調整局面に備えるため、バランスシート重視の経営をより強く打ち出しており、賃貸キャッシュ・フローを中心とした財務基盤の強化を最大のテーマに置いている。自己資本比率30.0%以上を維持しながら、同時に持続的な成長を実現する考えであるが、あえて売上高目標を設定せず、生産性や資本効率性を重視することにより、営業利益200億円水準、ROE15.0%水準、ROA7.0%水準を目指していく。

2. 重点戦略の方向性
(1) SRRを中心としたビジネスモデルの展開(フィー収入ビジネスの強化)
引き続き、積極的な物件供給を継続することにより、SRRの資産積み上げを促進する。また、開発販売用不動産のラインナップにホテル・オフィスを追加するとともに、SRRに加え、新たな運用ファンド※1等の立ち上げ、獲得フィーの増大を図る。さらには、ホテルマネジメント業務を内製化※2し、MCフィーを獲得する仕組みを作るほか、賃貸収益の拡充、海外収益の獲得等により、フィー収入ビジネスを強化する。

※1 前述のとおり、大規模ホテルの開発ファンドを大和証券グループと共同で立ち上げるとともに、2020年度を目途にホテルリートを組成(アセットマネジメント業務は同社グループで受託)する計画である。
※2 外部の運営会社に委託されているホテルマネジメント業務を内製化し、ホテルの販売後も、サムティグループがホテルマネジメント業務(MC)を受託し、フィー収入の獲得、アップサイドの享受、運営ノウハウを蓄積する仕組みを作る。


(2) 地方大都市圏における戦略的投資(営業エリアの拡大)
3年間で約3,000億円を投資する計画である。特に、同社の新たな成長エンジンとして、ホテル・オフィス開発を推進するとともに、安定的な賃貸収益の獲得のため、収益不動産の取得に1,350億円を投じ、資産の積み上げを行う。また、営業エリアの更なる拡大にも取り組み、首都圏及び全国の主要地方都市において、収益不動産の取得、レジデンス・オフィス・ホテルの開発を推進していく。

(3) ホテル開発・オフィス開発事業の展開
ホテルに加え、オフィス開発事業を新たな成長エンジンとし、3年間で約850億円(土地+建築費)を投資する計画である。ホテル開発事業は、これまで第4弾までがオープンするとともに8つの開発プロジェクトが進行中であり、これらのホテルは、部屋の広さが25〜40平方メートル。ビジネスホテルより1ランク上のクラスで、外資系の有名ホテルブランド名で展開していく方針。また、オフィスについては、オフィス需要が逼迫(ひっぱく)している地方の主要都市を中心に、エリア・立地を厳選の上、新規供給・競合が少ないB/Cクラス※の新築オフィスを供給する方針である。

※一般的には、Bクラスが延床面積2,000坪から10,000坪未満(及び基準階面積200坪以上)、Cクラスが延床面積2,000坪未満(及び基準階面積200坪未満)として区分される。


弊社でも、売買の繰り返しによるフロー型だけでなく、安定収益を積み上げていくストック型の収益構造への転換をより重視した方向性は、景気循環による影響を最小限にとどめ、持続的な成長を実現するためにも、理にかなった戦略と評価している。また、そのためには、同社ならではのビジネスモデルの推進はもちろん、案件の大型化や営業エリアの拡大など、スケールメリットの追求が重要なテーマとなることから、今回の大和証券グループとの資本業務提携は、同社がこれまでとは違うステージへと上る大きなターニングポイントとなる可能性が高いと見ている。既にホテル開発ファンドの組成準備や海外子会社の設立など、具体的な取り組みが進んでいるが、今後、この提携がどのような成果を生み出していくのか、ホテルリートや海外展開、クラウドファンディングなど新たな事業への展開を含め、その進捗に注目していきたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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