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システム ディ Research Memo(4):公教育ソリューション事業、ソフトエンジニアリング事業が大幅増収(1)

注目トピックス 日本株
■業績動向

2. 事業部門別の売上動向
(1) 学園ソリューション事業
学園ソリューション事業では、学園運営をトータルに支援する学園情報管理システム「キャンパスプラン」を提供している。学校運営を支える情報システムは、学務系(対学生・生徒業務)と法人系(学校法人の内部管理業務)の大きく2系統に分けられるが、「キャンパスプラン」はこれらの業務をトータルで支援するソフトウェアとなっていることが特徴であり、強みとなっている。対象は国公立大学(短期大学含む)と私立学校法人(大学・高校・専門学校等)向けだが、これまでは1校当たりの規模が大きい大学を中心に事業を展開してきた。その結果、システム ディ<3804>の製品は全国の国公私立大学(短大含む)1,100校のうち約350校に導入され、業界トップシェアの地位を確立している。それ以外にも私立の専門学校や高校で導入が進んでおり、2020年10月期末時点の累計導入学園数は前期末比15校増の994校に達している(アクティブユーザー数は500校強)。新規導入先としては、千葉大学等が挙げられる。

2020年10月期の売上高は前期比4.5%増の1,444百万円となった。主力製品である「キャンパスプラン.NET Framework」及びクラウド版となる「キャンパスプラン for Azure」ともにユーザーからの高い評価を受け、新規顧客の開拓が進んだことでイニシャル収入並びにストック収入ともに増加した。また、コスト面ではパッケージソフトの成熟化により追加機能などのカスタマイズ要望が少なくなったことで製造原価が減少し、営業利益は2ケタ増益となった。

2019年11月に販売を開始した次世代学園総合情報システム「CampusPlan Smart」は、機能性・利便性・操作性が大きく向上し、また高度なセキュリティ機能にも対応していることが特徴で、導入顧客からも高い評価を受けている。現在は、総務・人事給与システムの提供にとどまっているが、学務系システムやその他業務システムについても順次開発を進めている。2023年には既存製品の機能をすべてカバーし、既存顧客でのリプレイスを進めると同時に新規顧客の更なる獲得によってシェアを拡大していく戦略となっている。

(2) ウェルネスソリューション事業
ウェルネスソリューション事業の製品はフィットネスクラブやスポーツ施設、アミューズメント施設などで利用される会員管理を中心とした施設運営支援システムとなる。2001年に提供を開始したフィットネスクラブ・スポーツ施設の会員管理システム「Hello EX」は業界トップシェアとなっており、2017年後半には文化・観光施設向け運営管理システム「Hello Fun」もリリースし、顧客の拡大に取り組んでいる。同事業については、入退場ゲート等のハードウェア製品なども含めて販売するケースもある。2020年10月期末の累計顧客数は前期末比36施設増の1,178施設となっており、純増数で見れば2019年10月期の78施設から約半減したことになる。新規導入先としては、DMMかりゆし水族館、川崎市民プラザ等が挙げられる。

2020年10月期の売上高は前期比9.1%減の788百万円と3期連続の減収となった。コロナ禍の影響で主力ユーザーとなるフィットネスクラブやスポーツ施設の経営環境が悪化し、新規出店を延期または縮小する動きが相次いだこと、また文化観光施設向けについてもテーマパークや遊園地の休園等で新規顧客に対する営業活動が停滞し、この結果、新規顧客獲得件数の減少によりイニシャル収入が落ち込んだ。ただ、既存顧客向けのストック収入については大きな影響を受けることなく2019年10月期並みの売上水準を維持している。

(3) 公教育ソリューション事業
公教育ソリューション事業は公立の小中高校向けに統合型校務支援システム「School Engine」※をクラウドサービスで提供している。同じ学校向けソフトウェア事業でも、私立学校法人や独立行政法人である国公立大学を対象とする学園ソリューション事業とは事業環境が大きく異なる。違いの1つは自治体予算制度だ。公立学校は各自治体の教育委員会の管理下にあり、エリア内での共通予算はあっても1校当たりの予算の制約が厳しい。こうした状況に適合するため、同社は「School Engine」を初期投資負担の少ないクラウドサービスで提供している。競合のなかにはパッケージソフトで提供しているところが多く、小中高校のすべてでクラウドサービスを提供しているのは同社だけとなっている。

※統合型校務支援システムとは、教務系(成績処理、出欠管理、時数等)・保健系(健康診断票、保健室管理等)、指導要録等の学籍関係、学校事務系などを統合した機能を有するシステムのこと。同社の「School Engine」はこれらの機能に生徒や保護者とのメール連絡網、グループウェア機能などが付いている。


営業先も学園ソリューション事業とは異なり、高校は各都道府県、小中学校は各市町村の教育委員会が窓口となる。案件を落札できれば当該教育委員会の管轄下にある学校すべてに導入されるため効率が良い。入札公示時期は地域によって異なるが、7〜8月公示の場合は9〜10月に落札事業者が決まり、翌年4月までに導入して運用開始となる。また、12〜1月公示で2〜3月に落札、2学期が始まる9月から運用開始となるケースもある。

2020年10月期の売上高は前期比39.8%増の821百万円と大幅増となった。2020年10月期末の累計導入校数が前期末比675校増加の2,994校と大きく増加したことが主因だ。文部科学省で教育現場のデジタル化を推進する「GIGAスクール構想」に取り組んでおり、同社にとって追い風になっているほか、都道府県単位で小中高校を一貫する統合型校務支援システムについて、新たに山梨県で採用が決まったことも大幅増の要因となった。2年前に高知県、奈良県で県域一斉導入を行っており、今回で3例目となる。公立高校では19県で同社製品が導入されトップシェアとなっている。小中学校では4つの政令指定都市のほか、複数の中核都市で同社製品が導入されている。

文部科学省の「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(令和元年度)」によれば、2019年度における公立学校は全国で約3.3万校となっており、このうち統合型校務支援システムを導入済みの学校は64.8%(約2.1万校)と年々上昇傾向にある。文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」では2022年度までに導入率100%を目標としているため、残り約1万校が潜在需要となり、同社にとっては引き続き成長期待の大きい市場と言える。現在と同じシェアを維持したとすれば、売上規模は1.5倍程度に拡大することになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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