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ザイマックス Research Memo(1):不動産マネジメント大手のザイマックスグループのREIT

注目トピックス 日本株
■要約

1. 不動産マネジメント大手のザイマックスグループのサポートが大きな強み
ザイマックス・リート投資法人<3488>は、(株)ザイマックス(非上場)を中心とするザイマックスグループに属し、東京23区や周辺県を中心に、オフィス、商業施設、ホテルなどに投資をしている総合型REITである。同投資法人は、スポンサーであるザイマックスグループが有する不動産の知見・ノウハウを活用した適切なポートフォリオ運営により、不動産が持つ価値を最大限に引き出し、投資主価値の最大化を図ることを目指している。実際の資産運用はすべて(株)ザイマックス不動産投資顧問に委託しており、グループから様々なサポートを得られるのが大きな強みである。

2. 2021年2月期の業績は、減収減益ながら利益は直近予想を上回る
2021年2月期は、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)による経済環境悪化のなか、営業収益1,293百万円(前期比5.2%減)、営業利益716百万円(同7.2%減)の減収減益決算であった。ただ、営業利益は直近予想を2.6%上回った。営業収益ではコロナ禍の影響でオフィス賃料の一時減免対応やホテル賃料の計画比減があったが、営業費用でのリーシングコストの不発生(2021年2月期へのずれ込み)や原状回復費用の計画比減が大きかったためである。ホテルの減収を除いて、コロナ禍の影響は限定的であり、ポートフォリオ全体の稼働率は98.9%と、高水準を維持した。以上から、分配金も2,911円/口(同331円減)と、直近予想を89円上回った。財政状態は、総資産LTVが34.0%と低く、50%までの借入れ余力は約120億円あり、将来の機動的な物件取得が可能である。

3. 2021年8月期、2022年2月期は、保守的な前提で予想
2021年8月期は、営業収益1,291百万円(前期比0.1%減)、営業利益676百万円(同5.5%減)を予想する。営業収益ではオフィスの賃料減少を見込む一方、営業費用では2021年2月期からずれ込んだリーシングコストの増加を見込むためである。一方、2022年2月期は、営業収益1,321百万円(同2.3%増)、営業利益706百万円(同4.3%増)を見込む。営業収益ではホテルの固定賃料の復活に伴う賃料収入の増加が、また営業費用ではリーシングコストの平常化が増収増益の主因である。以上により、2021年8月期の分配金は2,788円/口(前期比123円減)、2022年2月期も2,867円/口(同79円増)を予想する。ただ、業績予想は、コロナ禍という厳しい経営環境に基づいた保守的な前提に立っており、経営環境が改善すれば予想を上回って着地する可能性が大きい。

4. オフィス、商業施設などの外部成長により、投資主価値の向上を目指す
今後の外部成長戦略としては、スポンサー・サポート契約に基づき、ザイマックスグループの顧客基盤から得られる不動産売却ニーズを捕捉し、同投資法人の物件取得機会につなげることを目指す。オフィスの成長戦略では、都心8区、名古屋中心部、大阪中心部、福岡中心部に所在し、最寄駅からおおむね徒歩5分圏内の駅近で、1坪当たり賃料単価1〜2万円台の、借手にとって魅力のある物件を中心に取得する方針だ。商業施設では、テナント賃料の安定性または物件価格の安さに着目して取得する計画である。ホテルでは、交通結節点へのアクセスが良好なエリアにあり、訪日外国人の増加が見込まれるエリアに所在する物件を取得する計画だが、当面は収益回復が最優先課題と言えるだろう。また、同投資法人では、環境認証を取得し、保有物件の環境・省エネ対策やエネルギー利用の効率化を推進するなど、ESGにも熱心に取り組んでいることが特筆される。

5. 外部成長の強化に伴い、投資家の評価は高まると予想
同投資法人の投資口価格は、2020年3月にはコロナ禍に伴う世界的な景気後退懸念から急落した後、回復基調にあるものの、東証REIT指数の上昇に比べて、戻りは緩やかにとどまる。時価総額が小さく、流動性も低いことなどが影響していると考えられる。その結果、直近の同投資法人のNAV倍率は0.78倍と、総合型REIT平均の1.04倍を大きく下回っており、割安感が強い。同投資法人では、今後は外部成長戦略を強化する方針であり、投資家の理解が深まるに伴い、魅力的な水準の分配金利回りを提供する同投資法人が注目されると弊社では考えている。

■Key Points
・東京23区や周辺県を中心に、オフィス、商業施設、ホテルなどに投資をする総合型REITで、ザイマックスグループのサポートが大きな強み
・2021年2月期は減収減益決算ながら、営業利益は直近予想を上回る。ホテルの減収を除いて、コロナ禍の影響は限定的。分配金も2,911円/口で、直近予想を超過。総資産LTVが低く、将来の機動的な物件取得が可能
・2021年8月期は減収減益、2022年2月期は増収増益を計画。分配金は2021年8月期2,788円/口、2022年2月期2,867円/口を見込む。計画は保守的な前提に立っており、コロナ禍が収束し経営環境が改善すれば、予想を上回る可能性大
・外部成長戦略としては、オフィスでは、大都市圏にあり、駅近で賃料単価が手ごろな、借手に魅力の物件を取得。商業施設では、テナント賃料の安定性や物件価格の安さに着目して取得。ホテルでは、アクセスが良好で、訪日外国人の増加が見込まれる物件を取得する計画だが、当面は収益回復が最優先。ESGにも熱心に取り組む
・投資口価格の戻りは市場平均に比べ緩やか。外部成長戦略を強化する方針が投資家に理解されるに伴い、魅力的な分配金利回りを提供する同投資法人が注目されると見る

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



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