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リソー教育 Research Memo(9):生徒数の好調な拡大を受け、中期業績目標についても上方修正する公算大(2)

注目トピックス 日本株
■リソー教育<4714>の今後の見通し

b) 学習塾事業
学習塾事業は個別進学指導塾「TOMAS」のほか、英会話スクールの「インターTOMAS」、医学部受験専門の個別指導塾となる「メディックTOMAS」に加えて、2020年2月より最難関中学受験個別指導塾の「Spec. TOMAS」をスタートしている。2022年2月期以降は校舎数・生徒数の拡大によって年率10%強程度の売上成長を目指している。

「TOMAS」の教室展開については、2018年2月期から取り組んでいる「首都圏サテライト校戦略」を継続していく方針だ。「首都圏サテライト校戦略」とは、従来ターミナル駅において150〜200坪の広さで200〜400名規模で教室を展開していたのに対して、周辺の中堅駅において50〜60坪の広さに100〜150名の規模で教室を展開する戦略を言う。2021年8月末時点で首都圏に88校を展開しているが、2022年2月期以降は年間5〜10校のペースでサテライト校の新規開校を展開し150〜180校体制を当面の目標としている。また既存校についても生徒数の増加により手狭となった教室については、順次増床または移転リニューアルを進めていく予定となっている。

「インターTOMAS」や「メディックTOMAS」については「TOMAS」が進出しているエリアで、需要が見込めると判断すれば出校を進めていく。また新規ブランドとして立ち上げた「Spec. TOMAS」については、当初2021年2月期に2校目を開校する予定であったが、コロナ禍の影響により先送りすることとなり、まずは既存校(自由が丘校)での収益化に取り組んでいく方針とした。「Spec. TOMAS」の特徴は、駿河台学園と同社がそれぞれ蓄積してきたノウハウを融合して、最難関校を志望する生徒に対してオリジナルのカリキュラムを使用し、プロの社会人講師による完全個別指導によって志望校合格へ導くことにある。駿河台学園との提携により駿河台学園が持つ講師人材を活用できることや、オリジナル教材の制作・出版面で質の向上が期待できるなどシナジーは大きい。進学塾では合格実績が生徒獲得のバロメーターとなるため、合格実績を積み重ねていくことで最難関校受験専門の個別指導塾としてのブランドを確立していくことにしている。

c) 家庭教師派遣教育事業
家庭教師派遣教育事業のうち家庭教師派遣の「名門会」については、首都圏のほか大阪、名古屋などの大都市並びに地方の主要都市にも展開を進めてきたことで2021年8月末時点の校舎数は35校となっている。今後は増床や移転リニューアルによって生徒数の増加に対応し、新規出校については慎重に進めていく方針となっている。ただ、既述のとおり2021年に入って鹿児島県と熊本県でそれぞれ「TOMEIKAI」の入居ビル内に新たに開校しており、今後も環境が整うようであれば新規開校する可能性もある。

一方、「TOMEIKAI」については首都圏以外の主要都市において年間数校ペースでの展開を進め、年率10%強の売上成長を目指している。「TOMEIKAI」の校舎については、2021年8月末時点で九州エリアに5校、東海エリアに3校、甲信越エリアに2校、近畿エリアに1校の合計11校を展開しており、今後は京阪神エリアや名古屋、福岡など主要都市部を中心に新規開校を進めていく方針となっている。「TOMEIKAI」のポテンシャルについては、1県1校と考えても40校以上の出校が可能と考えられ、成長余地は大きい。今後の課題としては、「TOMEIKAI」のブランド力向上が挙げられるが、同社では「TOMAS」と同様に高品質の教育サービスで高い合格実績を積み重ねることでブランド力の向上を図っていくことにしている。

d) 学校内個別指導事業
「スクールTOMAS」について、同社は将来的に「TOMAS」や「伸芽会」のように主力事業の1つに成長する可能性がある事業として注力している。少子化が進行するなかで、私立学校の生徒獲得が経営課題となっていると同時に、教師の長時間労働も問題となっており、これらの課題を解決するソリューションとして「スクールTOMAS」の導入が進むと見ている。同社のメリットは不動産経費や生徒募集のための広告宣伝費がかからない点にある。このため、「スクールTOMAS」の営業利益率は理論上15〜20%程度と幼児教育事業並みの高い水準が期待できると同社では見ている。

2021年8月末時点の導入契約校数は82校と年々拡大している。2019年に駿河台学園と資本業務提携を締結して以降、駿台予備学校の卒業生をアルバイト講師として採用し、これら契約校へ派遣できる体制を整備したことで契約校数の拡大も以前よりはスムーズに進むようになっており、導入校も北海道から九州まで広範にわたっている。同社では当面の目標として2023年2月期までに契約校数で100校を目標としているが、潜在需要としては私立学校を中心に300校程度まで拡大余地があると見ている。KDDIまとめてオフィスとの提携効果もあって、2023年2月期以降は導入ペースが加速する可能性もあり、今後の動向が注目される。

e) 講師の採用育成戦略
グループ各社で校舎数を拡大していくためには、質の高い講師の採用・育成が重要なカギを握る。前述のように、地方での校舎展開では講師の採用が課題となることが多い。このため、同社ではグループ会社の講師の採用・育成及び紹介を行う子会社として2020年8月に(株)ココカラTチャーズを設立した。同子会社で講師の採用及び研修を一括して行い、適正に応じて各グループ会社に配置している。「TOMAS」については現状独自でも講師採用を行っており、当面は同時並行で採用を進めていく予定にしている。グループ全体の採用・育成を一括して行うことで採用費や育成費の効率化が図られるだけでなく、適材適所に講師を振り分けることや「TOMEIKAI」での地方展開も進みやすくなる可能性があり、グループ全体の成長加速につながる取り組みとして注目される。なお、アルバイト講師の採用については業界のなかでも好条件で募集を行っているため、苦労することなく順調に採用できているようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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