MSOL Research Memo(4):大企業を主体に優良顧客を数多く抱え安定・効率的な事業運営を実現(2)
[24/01/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*15:34JST MSOL Research Memo(4):大企業を主体に優良顧客を数多く抱え安定・効率的な事業運営を実現(2)
■会社概要
(2) 収益モデル
PMO支援サービスの典型的なケースは、PMO業務のアウトソーシングである。企業がプロジェクトを発足させPMOを設置しようとしても、社内にそれを遂行できる人材がいないことが多い(特に、IT分野において)。社員はそれぞれ日常業務を抱えているためなおさらだ。マネジメントソリューションズ<7033>は、PMOが本質的には間接業務であり、そのような間接コストはアウトソースされる方向性にあることをいち早く見抜き、従来のコンサルティングモデルとは異なる独自のビジネスモデルを構築し、業容を拡大してきた。具体的には、PMO支援のサービスモデルを体型化し、サービスレベルに応じた報酬を明確化した。報酬額は1人当たり1ヶ月間の単価で表される。同社の場合、役割に応じて4段階の職種※に分別しており、それぞれで単価は異なるが全社平均水準は現状で約160万円/1人/月となっている。同社はコンサルタントの単価を明確にした“明朗会計”を大きな特長の1つとしている。
※PMC(PMの参謀として将来を見越した計画、経営層向けレポート、組織間調整、PM人材育成などを行う)、PMA(PM、チームリーダーの相談役、プロジェクト計画の推進、プロジェクトの可視化、分析、レポート作成、リスク管理を行う)、PJC(PM管理プロセス策定、導入定着改善、課題解決推進、各種会議のファシリテーションなどを行う)、PJA(体制図、マスタースケジュール、会議準備、各種ドキュメント管理、PCなどの環境整備を行う)
通常、1人のコンサルタントは自身が担当する1件のプロジェクトに専念する(例外的に、上級管理職レベルの社員は複数のプロジェクトを同時に担当するケースもある)。したがって、同社の売上高は「コンサルタント数×平均単価×稼働率」で成り立っており、成長戦略上はコンサルタントの社員数が大きな意味を持つことになる(詳細は後述)。プロジェクトメンバー数が100人規模の場合は、PMOに対して3人程度のコンサルタントを送り込むことが一般的だ。プロジェクトの期間は案件によって様々だが、1年程度が中心帯とみられる。通常、大企業では複数のプロジェクトが同時進行しているほか、1つのプロジェクトが終了すると、すぐに次のプロジェクトがスタートすることも多い。そうした現状にあって、1人のコンサルタントが同一顧客内で、別のプロジェクトに契約を巻き替えて移行するケースも多い。この割合をリピート率と称しており、その水準は90%以上と安定して推移している。これは後述する営業体制・営業効率とも密接な関わりがある。
(3) 営業体制
営業については新規顧客の開拓と既存顧客の維持・関係強化の2つの観点から見る必要があるが、新規顧客と既存顧客の双方に対して共通した強みを同社は有している。それは、PMO支援専門会社としての同社のポジショニングだ。現状、PMO支援業務のプレイヤーはコンサルティング企業が中心で、これら企業では前工程のコンサルティング(事業戦略などの企画立案と提案)に付随したサービスとして後工程のPMO支援を行っているのが現状だ。これに対して同社は、PMO専門会社として顧客企業側に100%寄り添ってPMO支援サービスを提供している。同社のPMO支援サービスに対する顧客満足度はサービス内容、料金面ともに高く評価されており、これがリピート率の高さにもつながっている。
このため、新規顧客の獲得についても既存の大手顧客からの紹介が多いようで、2023年10月期には超大手企業のグループ会社との新規取引が増加した。また、自社Webサイトからの問い合わせ件数も増加傾向にある。従来はプル型の営業スタイルで新規顧客の獲得を進めてきたが、今後の更なる成長に向けて2021年に新規顧客開拓のための営業部門も新設し、プッシュ型の営業を開始している。
新規顧客と契約した後は、その関係をいかに継続させていくかが重要なポイントとなる。大企業では常時複数のプロジェクトが進行しており、PMO支援へのニーズは常に存在している。これらのニーズを着実に取り込み継続的な関係を構築することは、営業効率を高めるうえでも極めて重要であり経営の安定化にも大きく寄与する。その状況を端的に表す指標の1つがリピート率であるが、同社は90%以上の高いリピート率を実現している。これは顧客満足度の高いサービスを提供していることに加えて、個々のプロジェクトの終了・縮小などの情報をいち早く得られる立ち位置にあり、こうした情報を得た場合に早期に次の営業に向けて動き始めていることも一因となっている。また、既存取引先との取引深耕に向けた施策として、顧客と商談を行う専門組織となるアカウントマネージャー(以下、AM)本部を2022年に設置した。従来は、コンサルタントが兼任で商談を行っていたが、専任のAMを配置することでクロスセルやアップセルなどの交渉もスムーズに行いやすくなり、2023年10月期にPMO平均単価が上昇した一因ともなっている。
また、受注に際しては顧客企業との直接契約を基本としており、下請けの仕事は取っていない。同社の事業ドメインであるPMO実行支援の前段階として、事業戦略やIT戦略などについてのコンサルティングが存在することもある。そうした前工程の部分を担うマネジメントコンサルティング会社やITコンサルティング会社と同社が業務提携を行い、後工程のPMO支援業務を同社が担うということは(将来的に)考えられる。しかし、そうした場合でもコンサルティング企業の下請けではなく顧客企業と直接契約を行うようにしている。
対象顧客は上場企業もしくはそれに準ずる大企業が多い。大企業では常時複数のプロジェクトが走っており、PMO支援に対するニーズが数多く存在していることが第1の理由だ。また、一般論としてコンサルティング会社を活用するには相応の料金がかかるため、それを負担できるだけの経営体力が必要という現実的な問題も背景にある。2023年10月時点のPMO支援サービスの顧客数は150社超(うち53%は売上規模1,000億円以上の大企業)で月間プロジェクト数は300件以上と、2022年4月時点(約130社、約250プロジェクト)から順調に拡大している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■会社概要
(2) 収益モデル
PMO支援サービスの典型的なケースは、PMO業務のアウトソーシングである。企業がプロジェクトを発足させPMOを設置しようとしても、社内にそれを遂行できる人材がいないことが多い(特に、IT分野において)。社員はそれぞれ日常業務を抱えているためなおさらだ。マネジメントソリューションズ<7033>は、PMOが本質的には間接業務であり、そのような間接コストはアウトソースされる方向性にあることをいち早く見抜き、従来のコンサルティングモデルとは異なる独自のビジネスモデルを構築し、業容を拡大してきた。具体的には、PMO支援のサービスモデルを体型化し、サービスレベルに応じた報酬を明確化した。報酬額は1人当たり1ヶ月間の単価で表される。同社の場合、役割に応じて4段階の職種※に分別しており、それぞれで単価は異なるが全社平均水準は現状で約160万円/1人/月となっている。同社はコンサルタントの単価を明確にした“明朗会計”を大きな特長の1つとしている。
※PMC(PMの参謀として将来を見越した計画、経営層向けレポート、組織間調整、PM人材育成などを行う)、PMA(PM、チームリーダーの相談役、プロジェクト計画の推進、プロジェクトの可視化、分析、レポート作成、リスク管理を行う)、PJC(PM管理プロセス策定、導入定着改善、課題解決推進、各種会議のファシリテーションなどを行う)、PJA(体制図、マスタースケジュール、会議準備、各種ドキュメント管理、PCなどの環境整備を行う)
通常、1人のコンサルタントは自身が担当する1件のプロジェクトに専念する(例外的に、上級管理職レベルの社員は複数のプロジェクトを同時に担当するケースもある)。したがって、同社の売上高は「コンサルタント数×平均単価×稼働率」で成り立っており、成長戦略上はコンサルタントの社員数が大きな意味を持つことになる(詳細は後述)。プロジェクトメンバー数が100人規模の場合は、PMOに対して3人程度のコンサルタントを送り込むことが一般的だ。プロジェクトの期間は案件によって様々だが、1年程度が中心帯とみられる。通常、大企業では複数のプロジェクトが同時進行しているほか、1つのプロジェクトが終了すると、すぐに次のプロジェクトがスタートすることも多い。そうした現状にあって、1人のコンサルタントが同一顧客内で、別のプロジェクトに契約を巻き替えて移行するケースも多い。この割合をリピート率と称しており、その水準は90%以上と安定して推移している。これは後述する営業体制・営業効率とも密接な関わりがある。
(3) 営業体制
営業については新規顧客の開拓と既存顧客の維持・関係強化の2つの観点から見る必要があるが、新規顧客と既存顧客の双方に対して共通した強みを同社は有している。それは、PMO支援専門会社としての同社のポジショニングだ。現状、PMO支援業務のプレイヤーはコンサルティング企業が中心で、これら企業では前工程のコンサルティング(事業戦略などの企画立案と提案)に付随したサービスとして後工程のPMO支援を行っているのが現状だ。これに対して同社は、PMO専門会社として顧客企業側に100%寄り添ってPMO支援サービスを提供している。同社のPMO支援サービスに対する顧客満足度はサービス内容、料金面ともに高く評価されており、これがリピート率の高さにもつながっている。
このため、新規顧客の獲得についても既存の大手顧客からの紹介が多いようで、2023年10月期には超大手企業のグループ会社との新規取引が増加した。また、自社Webサイトからの問い合わせ件数も増加傾向にある。従来はプル型の営業スタイルで新規顧客の獲得を進めてきたが、今後の更なる成長に向けて2021年に新規顧客開拓のための営業部門も新設し、プッシュ型の営業を開始している。
新規顧客と契約した後は、その関係をいかに継続させていくかが重要なポイントとなる。大企業では常時複数のプロジェクトが進行しており、PMO支援へのニーズは常に存在している。これらのニーズを着実に取り込み継続的な関係を構築することは、営業効率を高めるうえでも極めて重要であり経営の安定化にも大きく寄与する。その状況を端的に表す指標の1つがリピート率であるが、同社は90%以上の高いリピート率を実現している。これは顧客満足度の高いサービスを提供していることに加えて、個々のプロジェクトの終了・縮小などの情報をいち早く得られる立ち位置にあり、こうした情報を得た場合に早期に次の営業に向けて動き始めていることも一因となっている。また、既存取引先との取引深耕に向けた施策として、顧客と商談を行う専門組織となるアカウントマネージャー(以下、AM)本部を2022年に設置した。従来は、コンサルタントが兼任で商談を行っていたが、専任のAMを配置することでクロスセルやアップセルなどの交渉もスムーズに行いやすくなり、2023年10月期にPMO平均単価が上昇した一因ともなっている。
また、受注に際しては顧客企業との直接契約を基本としており、下請けの仕事は取っていない。同社の事業ドメインであるPMO実行支援の前段階として、事業戦略やIT戦略などについてのコンサルティングが存在することもある。そうした前工程の部分を担うマネジメントコンサルティング会社やITコンサルティング会社と同社が業務提携を行い、後工程のPMO支援業務を同社が担うということは(将来的に)考えられる。しかし、そうした場合でもコンサルティング企業の下請けではなく顧客企業と直接契約を行うようにしている。
対象顧客は上場企業もしくはそれに準ずる大企業が多い。大企業では常時複数のプロジェクトが走っており、PMO支援に対するニーズが数多く存在していることが第1の理由だ。また、一般論としてコンサルティング会社を活用するには相応の料金がかかるため、それを負担できるだけの経営体力が必要という現実的な問題も背景にある。2023年10月時点のPMO支援サービスの顧客数は150社超(うち53%は売上規模1,000億円以上の大企業)で月間プロジェクト数は300件以上と、2022年4月時点(約130社、約250プロジェクト)から順調に拡大している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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