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ウイングアーク Research Memo(8):キャッシュが積み上がり、財務レバレッジは大幅に低下

注目トピックス 日本株
*15:58JST ウイングアーク Research Memo(8):キャッシュが積み上がり、財務レバレッジは大幅に低下
■業績動向

2. ウイングアーク1st<4432>の財務状況
(1) 連結財政状態計算書
2024年2月期末における資産は、65,950百万円(前期末比3,399百万円増)となった。流動資産は15,273百万円(同2,035百万円増)、非流動資産は50,676百万円(同1,364百万円増)となった。流動資産の増加の主な要因は、現金及び現金同等物1,810百万円の増加によるものである。非流動資産の増加の主な要因はその他の金融資産1,677百万円の増加があったことによるものである。

2024年2月期末における負債は、26,853百万円(前期末比1,122百万円減)となった。流動負債は13,348百万円(同596百万円増)、非流動負債は13,504百万円(同1,718百万円減)となった。流動負債の増加の主な要因は、契約負債等で428万円の増加があったことによるものである。非流動負債の減少の主な要因は、借入金返済に伴う長期借入金1,699百万円の減少によるものである。

2024年2月期末における資本は、39,096百万円(前期末比4,522百万円増)となった。資本の増加の主な要因は、利益剰余金の増加3,510百万円によるものである。

財務の健全性については、同社の財務レバレッジ(純有利子負債÷EBITDA)がマイナス0.4倍(前期は0.1倍)と大幅に改善しており、健全性は向上した。キャッシュは順調に積み上がっており、将来はM&Aなどを視野に入れているようだ。

なお、同社が2016年4月に旧 ウイングアーク1stの全株式を取得した際に発生したのれん及びその他の無形資産は、その後の企業買収により発生したものを含め2024年2月期末時点でそれぞれ27,348百万円及び15,674百万円となり、合わせて同社グループの資産の65.2%を占めている。IFRSでは、のれん及び一部の耐用年数を確定できない無形資産(商標権)の償却を行わない。毎期または減損の兆候が存在する場合には、その都度減損テストを実施する。同社グループの事業の収益性が低下したと認められる場合には、減損損失を計上する必要があるため、同社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性がある。

ただ、同社グループではのれんの減損に係るリスクを低減するため事業の収益力強化に努めており、主に以下の取り組みを実施している。
・リカーリングビジネスの拡大
ソフトウェアライセンスの保守、サブスクリプションやクラウドサービスの利用料等のリカーリングレベニューは、契約が継続される限りは毎年継続的に売上が計上され、契約社数が増加すればその分売上も増加する。同社グループは、事業の安定と収益力の強化のため、このリカーリングビジネスの拡大を図っている。

・業務・業務に特化したソリューションの推進
同社グループは、単なるソフトウェアやクラウドサービスの提供ではなく、業種ごとのノウハウを組み合わせた顧客の業務に即したソリューションを提供している。特にデータエンパワーメントソリューションは、製造業向けのIoT可視化ソリューションや金融業向けの営業生産性向上ソリューション等の提供により成長してきた。新ソリューションによるさらなる売上拡大のため、継続的な技術開発と業種ノウハウの蓄積に努めている。

(2) 連結キャッシュ・フロー計算書
2024年2月期における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりである。

(a) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は、7,840百万円(前期は6,870百万円の獲得)となった。これは主に、法人所得税の支払額1,791百万円の計上があったものの、税引前利益7,304百万円の計上、減価償却費及び償却費1,612百万円の計上があったことによるものである。

(b) 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、1,600百万円(前期は1,020百万円の使用)となった。これは主に、基幹システム刷新や顧客管理システム改修に伴う無形資産の取得による支出585百万円、投資有価証券の取得による支出527百万円、新規技術設備工事などに伴う有形固定資産の取得による支出488百万円を計上したことによるものでる。

(c) 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、4,462百万円(前期は3,730百万円の使用)となった。これは主に、長期借入れによる収入10,000百万円があったものの、長期借入金の返済による支出12,250百万円、配当金の支払額1,900百万円を計上したことによるものである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 井上 康)



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