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SI Research Memo(5):2025年2月期は期初計画を据え置くも上振れ余地あり

注目トピックス 日本株
*11:05JST SI Research Memo(5):2025年2月期は期初計画を据え置くも上振れ余地あり
■システムインテグレータ<3826>の今後の見通し

1. 2025年2月期の業績見通し
2025年2月期の連結業績は売上高で4,508百万円、営業利益で160百万円、経常利益で178百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で109百万円と期初計画を据え置いた。既存事業ベースでの前期単体業績と比較すると、売上高で9.4%増、営業利益で2.5%増益となる見込み。第2四半期までの進捗率は売上高で49.4%、営業利益で50.0%と順調に推移しており、第2四半期までは計画を上回るペースであったが、下期にERP事業で予定していた一部の開発業務が顧客事由により2026年2月期に延期することになったため計画を据え置くことにした。ただ、足元の受注状況は順調であり、会社計画に対して若干の上振れ余地があると弊社では見ている。

なお、福岡支社及び大阪支社の移転・増床に伴う関連費用として第2四半期累計で約30百万円を販管費に計上したが、下期は約15百万円を特別損失として計上する予定となっている。今回のオフィス拡張で2拠点合わせて従来比2倍の増員が可能となる(前期末の両拠点合計の従業員数はエンジニアを中心に70名)。また、ベトナム子会社については2024年8月末時点で49名在籍しているが、期末までにあと数名程度の増員を計画している(2024年2月期末は36名)。

新規の製品・サービスにかかる研究開発費は期初計画で約120百万円(前期比67百万円増)を計画していたが、約100百万円(第2四半期累計は48百万円)となる見込みだ。現在、開発を進めている新規プロジェクトの完成時期は3年後を目標としている。

事業セグメント別では、Object Browser事業、ERP事業、AI事業で増収を見込む一方で、事業利益はObject Browser事業、ERP事業が減益となり、AI事業とその他の損失が縮小する見込みである。

(1) Object Browser事業
Object Browser事業は売上高で前期比7.2%増の793百万円、セグメント利益で同10.2%減の298百万円を見込む。第2四半期までの進捗率は売上高で49.8%、セグメント利益で56.2%と利益ベースで好進捗となっている。下期も「OBPM Neo」の顧客数増加によるストック売上の積み上げにより、売上高は順調に増加する見通しだ。慢性的なエンジニア不足が続くなか、プロジェクト管理支援ツールとなる「OBPM Neo」を導入する可能性のある企業は2,000社以上あると見ており、新機能の追加やオンラインセミナー開催による見込み顧客の獲得により、契約につなげる方針だ。新機能については、顧客ニーズに対応するためデータベース言語の1つであるSQL対応版の開発を進めており、順次提供を開始する予定である。

また、「Object Browser」については、ChatGPT機能を追加するなどエンジニアの生産性向上につながる機能を拡充しており、今後もデファクトスタンダードとして安定した需要が見込まれる。増収にもかかわらず減益を計画しているのは、2024年3月より社内組織を事業別から機能別(開発、営業)に再編成し、集約化した営業組織の費用配賦額が一時的に増加するためだが、第2四半期までは計画を上回る進捗となっており、通期でも上振れする可能性がある。

(2) ERP事業
ERP事業は売上高で前期比8.3%増の3,570百万円、セグメント利益で同5.1%減の619百万円を見込んでいる。第2四半期までの進捗率は売上高で49.9%、セグメント利益で53.2%と順調な進捗となっている。前期に貢献したインボイス制度対応に関連した特需はなくなるものの、同案件をフックにした追加開発案件を受注しているほか、新規顧客からの受注も増加しており、特需剥落の影響は軽微にとどまりそうだ。下期は第2四半期までに採用した人材の戦力化も見込まれる。一部案件の業務開始時期が2026年2月期にずれ込む影響はあるものの、期初計画から大きく乖離することはなさそうだ。現状は2026年2月期の売上につながる受注活動を行っているが、引き合いは旺盛で当面は良好な収益環境が続くものと予想される。

主力の「GRANDIT」については、新機能の開発も進めている。具体的には、製造業向けソリューションとして購買機能にEC連携機能を追加するほか、部品や図面の管理工程と生産工程の連携機能の開発を行っており、2026年2月期にリリースできる見通しだ。また、ERP事業のさらなる成長に向けて開始したSAP事業については、下期に2件目のプロジェクトがスタートする。「SAP」は大企業向けERP製品でトップシェアを持ち、現在は2027年度に予定されている既存システムの保守サービス終了を控えて、「SAP S/4HANA」への移行プロジェクトが目白押しである。大企業向けとなるため当面は二次請けで実績を積み重ね、3年後に売上高5億円を目指す。

(3) AI事業
AI事業は売上高で前期比163.5%増の98百万円、セグメント損失で17百万円(前期は42百万円の損失)を見込む。売上高については前期から期ズレしていた既存顧客向け「AISIA-AD」の製造現場における2ライン目の導入案件が下期に見込まれており、80百万円まで見えているようだ。利益面では、第2四半期までに17百万円の損失を計上しているため、通期では若干損失額が膨らむ可能性がある。

同社は、製造現場向けソリューションだけでは大きな成長が見通しにくいことから、図面の確認作業など新たな領域への展開を進め、AI事業を成長軌道に乗せていく考えだ。図面の確認作業については、製造業向けだけでなく官公庁向けでの潜在需要を掘り起こしていく。公共施設等の設計図面は大量にあり、人材不足に悩む自治体の省力化を支援するソリューションとして期待される。まずは本社のある埼玉県内の自治体向けに提案し、2026年2月期の受注を目指す。また、ロボット分野で3次元の画像認識技術を活用した新たなソリューションを開発すべく、メーカーと共同研究を開始しており、今後の動向が注目される。

(4) その他
その他の売上高は前期比6.6%減の47百万円、セグメント損失は15百万円(前期は57百万円の損失)を見込んでいる。第2四半期までの進捗率は売上高で36.7%と計画を下回っている。「TOPSIC」の低迷が要因であり、下期も当初予定していた「PG BATTLE」の開催中止を決定したことにより、数百万円程度のスポンサー料がなくなることから、売上高は計画を下回る公算が大きい。一方、セグメント損失は第2四半期累計で8百万円となっており、計画の達成は可能と見られる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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