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第33回(2017)京都賞 受賞者、決まる。オセアニアから初、音楽分野で研究者が初の受賞

20170616

公益財団法人稲盛財団

第33回(2017)京都賞 受賞者、決まる。
オセアニアから初、音楽分野で研究者が初の受賞

公益財団法人稲盛財団(京都市下京区、理事長 稲盛和夫)は、2017年の「京都賞」受賞者を決定いたしましたので、お知らせします。授賞対象分野はエレクトロニクス、生物科学、音楽。京都賞は、科学や文明の発展、また人類の精神的深化・高揚に著しく貢献した人々を讃える国際賞です。
 授賞式は11月10日、国立京都国際会館(京都市左京区)で開催し、受賞者にはディプロマ(妙心寺 管長猊下の揮毫による賞状)、京都賞メダル(20K)および賞金5,000万円が贈られます。

■受賞者
◇先端技術部門 三村 高志 博士 半導体工学者/日本 
◇基礎科学部門 グレアム・ファーカー博士 植物生理学者/オーストラリア
◇思想・芸術部門 リチャード・タラスキン博士 音楽学者/アメリカ

■受賞者と社会へのインパクト・プロフィール
◇ 三村 高志 博士
<社会へのインパクト>
新構造のトランジスタ「HEMT」を発明。情報・通信技術のイノベーションにより、ICT社会を豊かに
<プロフィール>
株式会社富士通研究所  名誉フェロー
情報通信研究機構 未来ICT研究所 統括特別研究員
1944年、大阪市生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科修士課程を修了後、富士通株式会社へ入社。75年より(株)富士通研究所。大阪大学工学博士。主な受賞に、IEEEモーリス・N・リーブマン記念賞、恩賜発明賞、紫綬褒章など。

◇ グレアム・ファーカー博士
<社会へのインパクト>
世界基準の光合成モデルを開発。
地球規模の気候変動の解析や乾燥地域での農業生産向上にも貢献
<プロフィール>
オーストラリア国立大学 特別教授
1947年、豪タスマニア州ホバート生まれ。オーストラリア国立大学(ANU)で博士号を取得し、米国へ留学。帰国後はANUで研究に従事。2003年より現職。オーストラリア代表として京都議定書会議、COP3にも参加。主な受賞に、フンボルト賞、オーストラリア勲章、オーストラリア首相科学賞など。

◇リチャード・タラスキン博士
<社会へのインパクト>
斬新な音楽史研究と批評によって音楽における言論の創造的価値を提示
<プロフィール>
カリフォルニア大学バークレー校 名誉教授
1945年、米ニューヨーク市生まれ。コロンビア大学で博士号を取得後、同大学准教授を経て、カリフォルニア大学バークレー校教授を務めた。主な受賞に、デント・メダル、ロイヤル・フィルハーモニック協会音楽賞。主著にThe Oxford History of Western Music (2005)、Stravinsky and the Russian Traditions (1996)など。

■受賞者の業績ダイジェスト
◇先端技術部門 三村 高志 博士  授賞対象分野:エレクトロニクス
(稲盛財団公式発表ダイジェスト)
高電子移動度トランジスタの発明とその開発による情報通信技術の発展への貢献
2種類の半導体を積層化した新構造の「高電子移動度トランジスタ(HEMT)」を発明し、伝導層内の電子移動度が高くなる ため優れた高周波特性を持つことを示した。この発明により、情報通信技術の発展に大きく貢献するとともに、極薄伝導層内 の電子の物性研究の進展にも寄与した。
優れた低雑音性と高周波特性を持つ新構造のトランジスタ「HEMT」を発明。衛星放送の爆発的普及に貢献するとともに、自 動車の衝突防止用レーダー、携帯電話基地局やカーナビの受信機などに使われることでICT社会を広く支えている。さらに、電波望遠鏡などの受信機にも利用されたり低次元電子の物理学の発展にも寄与したりするなど、基礎科学への貢献も大きい。

◇基礎科学部門 グレアム・ファーカー博士  授賞対象分野:生物科学(進化・行動・生態・環境)
(稲盛財団公式発表ダイジェスト)
光合成の機能モデルの開拓と地球環境変化の科学への貢献
光合成の炭素同化反応の機能モデルを開発することで、植生と大気の間での二酸化炭素交換の環境応答が予測できるようにし、加えて光合成や蒸散における炭素と酸素の安定同位体が分別される反応の数理モデルを開発して、環境科学と気候変動科 学の発展に寄与してきた。
1980年に発表した光合成の機能モデルをはじめ、博士らが開発してきた植物の生理現象の数理モデルは、水分量や二酸化炭素 濃度などの環境変化に対する植物の応答を解析・予測するためにさまざまな分野に応用されている。とくに環境科学や気候変 動科学の発展に大きく貢献してきた。また、水分欠乏に強い小麦やピーナッツの選別にも成功し、乾燥地域での農業生産の向 上などにも寄与している。

◇思想・芸術部門 リチャード・タラスキン博士  授賞対象分野:音楽
(稲盛財団公式発表ダイジェスト)
音楽史研究と批評を通じて基本概念や作曲家像を決定的に更新し、音楽観の変革を促してきた知の巨人
従来の歴史記述の方法を乗り越えた斬新な音楽史研究と、該博な知識に裏打ちされた先鋭的な批評によって、西洋の音楽文化に新たな次元を切り拓いてきた。他の追随を許さないその仕事は、音楽において言論が創造的価値を持つことを示し、音楽の世界に大きな足跡を残した。
文化や社会についての幅広い知識と深い考察に基づく斬新な音楽史研究を行ってきた。21世紀の音楽学における金字塔『オックスフォード西洋音楽史』は、一人の著者による音楽通史として最大のものである。こうした研究と同時に活発な批評活動を 行うことによって、音楽をめぐる言論が創造的価値を持つことを示し、世界の音楽文化に貢献した。

■京都賞とは
 1984年、稲盛和夫(京セラ(株)名誉会長)が私財約200億円相当を投じて稲盛財団を設立。同年、「科学や文明の発展」また「人類の精神的深化・高揚」に大きく貢献された方々を讃えるための国際賞として「京都賞」を創設いたしました。毎年、「先端技術」「基礎科学」「思想・芸術」の3部門の受賞者に、ディプロマ(妙心寺 管長猊下の揮毫による賞状)、京都賞メダル、賞金5,000万円をそれぞれに贈呈。
 受賞者は11月に京都賞ウイーク、翌年3月に米国での京都賞シンポジウム(2002年開始)、5月に英国オックスフォード大学でのKyoto Prize at Oxford(2017年開始)において、記念講演やワークショップなどを行い、世界でおよそ9,000名もの皆様が京都賞行事に参加しています。

◇授賞対象分野:3部門 4分野
  2017年   先端技術部門/エレクトロニクス
       基礎科学部門/生物科学(進化・行動・生態・環境) 
       思想・芸術部門/音楽
  2018年   先端技術部門/バイオテクノロジー及びメディカルテクノロジー
       基礎科学部門/数理科学(純粋数学を含む)
       思想・芸術部門/美術(絵画・彫刻・工芸・建築・写真・デザイン等)
  2019年    先端技術部門/材料科学
       基礎科学部門/地球科学・宇宙科学
       思想・芸術部門/映画・演劇
  2020年    先端技術部門/ 情報科学
       基礎科学部門/生命科学(分子生物学・細胞生物学・神経生物学)
       思想・芸術部門/思想・倫理

◇歴代の受賞者一例
イサム・ノグチ氏 彫刻家/アメリカ(1986)
アンジェイ・ワイダ氏 映画監督/ポーランド(1987)
ジェーン・グドール博士 霊長類学者/イギリス(1990)
黒澤 明 氏 映画監督/日本(1994)
ロイ・リキテンスタイン氏 造形芸術家/アメリカ(1995)
マリオ・レナト・カペッキ博士 分子遺伝学者/アメリカ(1996)
安藤 忠雄 氏 建築家/日本(2002)
アラン・カーティス・ケイ博士 コンピュータ科学者/アメリカ(2004)
ピナ・バウシュ氏 振付家・演出家/ドイツ(2007)
ピエール・ブーレーズ氏 作曲家・指揮者/フランス(2009)
山中 伸弥 博士 医学者/日本(2010)
五代目 坂東 玉三郎 丈 歌舞伎俳優/日本(2011)
大隅 良典 博士 分子細胞生物学者/日本(2012)
ミシェル・マイヨール博士 宇宙物理学者/スイス(2015)
本庶 佑 博士 医学者/日本(2016)

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