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【株式会社Pale Blue】の水を推進剤とした超小型統合推進システム、JAXAの革新的衛星技術実証3号機に搭載する実証テーマに選定

株式会社Pale Blue(本社:千葉県柏市柏の葉5-4-6 東葛テクノプラザ610号室、代表取締役:浅川純、以下「Pale Blue」)が開発する、水を推進剤とした超小型統合推進システムが、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、民間企業・大学等に、機器や部品、超小型衛星やキューブサットに、軌道上実証の機会を提供する目的で実施する、革新的衛星技術実証3号機の実証テーマに選定されましたので、お知らせします。




【URL】 https://www.jaxa.jp/press/2020/05/20200529-1_j.html

選定理由は以下の通りとなります。
「安全無毒で取扱性が良い水を推進剤とした超小型な推進システムの実証で、二種の推進系を統合することで多種多様な推進機能を実現し、高い国際競争力を持つ。超低高度衛星や深宇宙探査機など広く適用でき、開発期間の短期化や低コスト化への寄与も期待できる。」

Pale Blueは、水を推進剤としたレジストジェットスラスタ(注1)及びイオンスラスタ(注2)の二種類の推進系を一つのコンポーネントに統合した超小型統合推進システムの軌道上実証を行うことで、自社製品の競争力強化を目指します。

[画像1: https://prtimes.jp/i/55668/6/resize/d55668-6-452993-0.jpg ]


小型衛星を取り巻く動向
昨今、小型衛星の実利用が拡大しており、年間の打上げ数が急増しています。小型衛星技術の成熟化と共に、その利用方法が高度化しており、コンステレーション(注3)による地球観測・通信網の構築が構想されています。一方で、小型衛星数の増加に伴いスペースデブリ(注4)の増加が懸念されており、衛星運用終了から25年以内に大気圏へ再突入させる、或いは無害な軌道へ移動させるというガイドラインが策定される等、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた動きも活発化しています。

小型衛星が抱える課題と推進系の必要性
コンステレーションの構築に向けた小型衛星の移動・位置制御や、スペースデブリ対策のための大気圏再突入等には、小型衛星を宇宙空間で能動的に動かすための推進系が必要不可欠になります。一般的に、大型衛星は推進系を搭載していますが、今現在、多くの小型衛星は推進系を搭載していません。理由として、大型衛星用の推進系では、推進剤として高圧ガスや有毒物を用いており、小型化した場合、体積・質量が大きくなってしまうこと、或いは安全確保のため取扱いコストが高くなってしまい、小型衛星への適用が難しいことが挙げられます。また、各種推進剤の製造における環境負荷が大きいという問題もあります。

水を推進剤とした超小型推進系の誕生
Pale Blueの創業メンバーらは東京大学所属時に、研究室メンバーらと共に、安全無毒で取扱い性が良く、低圧貯蔵が可能で、環境にも優しい、“水”を推進剤とした超小型推進系の研究開発を行ってきました。2014年に低軌道において、2015年に深宇宙において、世界で初めて宇宙実証に成功した、キセノン(注5)を推進剤として用いたイオンスラスタに対し、水を推進剤として適用する研究を行い、2015年に世界で初めて地上作動に成功しました。並行して、安定的な水の蒸発・供給技術を確立し、2019年には、1Uサイズ(10cm×10cm×10cm)の水レジストジェットスラスタの開発に成功し、国際宇宙ステーションから放出される小型衛星への搭載を実現しました。

統合推進システムの特徴
宇宙においては多種多様な推進能力が要求されます。大型衛星であれば、それぞれの要求に応じた複数の推進系を搭載することができます。しかし、体積・質量が限られている小型衛星には、複数の推進系を搭載する余裕はありません。そこでPale Blueは、大規模な軌道変更を得意とする水イオンスラスタと、多軸方向への推進及び短時間小規模な軌道変更を得意とする水レジストジェットスラスタを、一つのコンポーネントに統合した超小型推進システムを開発しました。これにより、限られた体積・質量において、様々な推進能力を小型衛星に提供することが可能になります。

株式会社Pale Blueについて
Pale Blueは、水を推進剤として用いた超小型推進の技術を軸に、持続可能な宇宙開発・利用を実現するため、2020年4月に設立された東京大学発ベンチャーです。同社は、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社が主催する起業支援プラグラム「東大IPC 1st Round」の第2回支援先として選定されています。

【代表者コメント(株式会社Pale Blue 代表取締役 浅川 純)】
[画像2: https://prtimes.jp/i/55668/6/resize/d55668-6-985440-1.jpg ]


「地上における車や飛行機といったモビリティを支えているのはエンジンになります。同様に、宇宙におけるモビリティ、その根幹となる推進系は今後必要不可欠な技術です。技術の確立には、真摯な研究と、産業としての発展が必要だと考えております。とりわけ、宇宙用機器に関しては、“宇宙実証”が産業発展において重要な評価指標の一つになります。本プログラムの実証テーマとしての選定に感謝すると共に、宇宙実証の成功、及び持続的な宇宙開発・利用の実現に向けて、邁進してまいります。」


【用語解説】
(注1)レジストジェットスラスタ:推進剤を電気エネルギーにより加熱した後に宇宙空間に排出し、その反力で推力を生成する推進系。

(注2)イオンスラスタ:イオンを引き出すイオン源と、電子を引き出す中和器が対となって構成され、中和器から電子を放出することで宇宙機の電位を保ちつつ、イオン源からのイオン引出しにより推力を生成する推進系。

(注3)コンステレーション:特定の方式に基づく多数個の人工衛星の一群・システムを指す。個々の衛星はシステム設計された軌道に投入され、協調した動作を行わせ、システムの目的を果たす。

(注4)スペースデブリ:宇宙ゴミ、デブリとも呼ぶ。宇宙空間にある物体が衝突した際の破片などが、宇宙空間に漂ったままになっている状態。回収が困難なため、そもそもデブリを発生させないような取り組みが世界的に求められている。

(注5)キセノン:原子番号54の元素。希ガスの1つ。従来のイオンスラスタ等の推進剤。


【会社概要】
会社名:株式会社Pale Blue
所在地:千葉県柏市柏の葉5-4-6東葛テクノプラザ610号室
代表者:浅川 純
設立:2020年4月3日
URL:https://www.pale-blue.co.jp/
事業内容:宇宙機及び推進機の研究、設計、試験、製造、及び運用

【本リリースに関する報道お問い合わせ先】
株式会社Pale Blue(担当:浅川)
e-mail:contact@pale-blue.co.jp
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