大阪オフィス市場は着実に回復 今後5年間で15%の賃料上昇を予測
[16/08/30]
提供元:PRTIMES
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2016年8月30日 東京‐総合不動産サービス大手のJLL(本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 河西利信)は、大阪Aグレードオフィス市場の動向および今後の見通しをまとめたレポート「大阪Aグレードオフィス市場- Brexitの影響と可能性 -」を発表しました。
レポートのハイライトは以下の通りです。
■賃貸市場
?大阪のAグレードオフィス※1賃料は、現在に至るまで東京の賃料の半分以下で推移している。賃料のボトムからピークの上昇率をみると、東京が1.8倍まで上昇したのに対し、大阪は1.4倍と40%の乖離が生じている。また、東京は前回の賃料ボトムである28,826円を下回る事なく回復を迎えたのに対し、大阪は前回のボトムである17,079円を割り込み、さらに回復を迎えた現在(2016年6月末時点)でも16,857円と、未だに前回のボトムを下回っている。(図1)
大阪の賃料水準が過度に下振れした要因の1つとして、世界金融危機による世界的な経済減速と、2013 年のグランフロント大阪を含む170,000m2 の大量供給が挙げられる。当時の総ストック12%に相当する過剰な供給により、一気に空室率が上昇した一方、2012-2014年の賃料水準はほぼ変化しておらず、2013年の大量供給を前に大阪のAグレードオフィスの賃料は既に下限に達していた事が分かる。(図1)
図1:東京と大阪の賃料比較 2016 年上半期
[画像1: http://prtimes.jp/i/6263/159/resize/d6263-159-380323-1.jpg ]
空室率が改善するにつれて賃料の下落ペースは弱まり、2014年第3四半期に賃料は上昇に転じた。「プロパティ クロック※2(不動産時計)」をみると、大阪は賃料の上昇率が加速しているフェーズにある。今後大型ビルの供給計画は限定的であることから需給バランスは大きく改善し、今後5年間で15%程度の賃料上昇を予測している。(図2、3)
図2:大阪Aグレードオフィス市場の需給バランス
[画像2: http://prtimes.jp/i/6263/159/resize/d6263-159-858175-2.jpg ]
図3:プロパティ クロック(不動産時計) 2016年6月末時点
[画像3: http://prtimes.jp/i/6263/159/resize/d6263-159-908219-3.jpg ]
■売買市場
大阪市場の投資額は2013年以降増加傾向にある。2014-2015年もほぼ同水準を維持した後、2016年に入っても上半期の取引額は前年同期を上回っている。大阪Aグレードオフィスは、大量供給の一巡を受け、2014年には市場の落ち着きと共に利回りが低下しているが、東京A、Bグレードオフィスよりも高い利回りを保っており、まだまだ投資家の参入余地は残されている。(図4、5)
図4:大阪市場の不動産投資額 2016 年上半期
[画像4: http://prtimes.jp/i/6263/159/resize/d6263-159-479202-4.jpg ]
図5:東京A、Bグレードオフィス、大阪Aグレードオフィスの利回り
[画像5: http://prtimes.jp/i/6263/159/resize/d6263-159-173323-5.jpg ]
?一方で、大阪はシンガポールや香港と同等の経済規模を有しているにも関わらず、不動産市場の規模は劣っており、東京に代わる投資先として、これらアジアの主要都市が代替投資先となる可能性の方が高い。(図6)
図6:GDPに対する不動産投資市場の規模 2016年6月末時点
[画像6: http://prtimes.jp/i/6263/159/resize/d6263-159-732042-6.jpg ]
海外からの投資資金の流入や、海外企業の大阪進出の妨げとなっているのが、不動産市場における透明度の低さである。JLLが2年に1度実施している「グローバル不動産透明度調査※3」では、日本は19位であり、オーストラリア(2位)、ニュージーランド(6位)、シンガポール(11位)、香港(15位)よりも透明度が低い。特に、不動産に関するデータ整備や開示状況をみると、東京は58位、大阪は84位であった。今後、日本全体の不動産市場とともに、大阪の不動産市場の透明度の改善、データ整備などが進み、海外資金が流入しやすい環境が整えば、大阪市場はさらに発展すると考えられる。(図表7)
図7:2016年JLLグローバル不動産透明度インデックス
[画像7: http://prtimes.jp/i/6263/159/resize/d6263-159-793952-7.jpg ]
JLLリサーチ事業部アソシエイトダイレクターの大東雄人は次のように述べています。
「Brexit(英国のEU離脱)による各国不動産市場への影響が分析されていますが、大阪の不動産市場も無関係ではありません。賃貸市場は間接的に円高による影響が懸念されますが、世界でも最大規模の英国の不動産市場、特に過半を海外投資家が占める同市場から一部でも海外資金を呼び込む事ができれば大阪の不動産市場はさらなる活性化が期待できます。そのために取り組むべき課題は明確で、透明度の改善、特に市場のデータ整備は必須です。JLLでは今後も大阪市場の発展に貢献したいと考えています」
【補足】
※1 :
大阪グレードAオフィス:中央区、北区に所在する、延床15,000m2 以上、基準階600m2 を満たすビル
東京グレードAオフィス:千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区に所在する、延床30,000m2 以上、基準階1,000m2 、竣工1990年以降、20階建て以上を満たすビルを指す。
※2 :
世界の主要都市の賃料動向を時計に見立てて“見える化”したJLL独自の市場分析ツールで、四半期ごとに発表しています。賃料が概ね1.賃料下落の加速、2.賃料下落の減速(→底入れ)、3.賃料上昇の加速、4.賃料上昇の減速(→頭打ち)、というサイクルで変動することを前提とし、現在の賃料がそのサイクルのどこに位置するかを表示することで、世界主要都市の賃料サイクルを示しています。
※3 :
JLLとラサール インベストメント マネジメントが、世界の不動産市場の透明度について、定量的データとアンケート調査を対象項目ごとに検証、数値化し、分析した調査レポート。2年に一度実施。2016年版は、世界109の不動産市場を対象としている。日本は19位。不動産透明度が最も高い国は英国。2位はオーストラリア、3位はカナダ。
「大阪Aグレードオフィス市場」の詳細はwww.joneslanglasalle.co.jpをご覧ください。
JLLについて
JLL(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産オーナー、テナント、投資家に対し、包括的な不動産サービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。世界80ヵ国、従業員約60,000名、280超拠点で展開し、年間の手数料収入は約52億米ドル、総売上高は60億米ドルに上ります。2015度は、プロパティマネジメント及び企業向けファシリティマネジメントにおいて、約3億7,200万m2 (約1億1,200万坪)の不動産ポートフォリオを管理し、1,380億米ドルの取引を完了しました。JLLグループで不動産投資・運用を担当するラサール インベストメント マネジメントは、総額591億米ドルの資産を運用しています。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。
JLLのアジア太平洋地域での活動は50年以上にわたり、現在16ヵ国、92事業所で34,000名超のスタッフを擁しています。JLLは、2016年インターナショナル・プロパティ・アワード・アジア・パシフィックにて、合計15の賞を受賞しました。2015年ユーロマネー・リアル・エステート・アワードでは、最優秀リアル・エステート・アバイザーに選出されました。詳細な情報はホームページをご覧下さい。www.joneslanglasalle.co.jp