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テクマトリックス Research Memo(7):2014年3月期は構造改革の進展に伴い一時的に利益が減少

注目トピックス 日本株

■2014年3月期決算

テクマトリックス<3762>は5月9日、2014年3月期の連結決算を発表した。この決算でも、事業構造改革が進んでいる状況が見て取れる。

(1)概要

2014年3月期の連結決算は、売上高が前期比3.7%増の17,353百万円、営業利益が同6.4%減の1,118百万円、経常利益が同0.7%減の1,164百万円、当期純利益が同26.1%増の793百万円となった。売上高は情報基盤事業の主力製品である負荷分散装置や、CRM分野の受注案件の増加および大型案件の拡大、景気回復などに伴う金融分野の受注回復、企業向けのセキュリティ商材およびサービス、製造業の景気回復に伴う組込ソフトウェアのテスト商品の販売増加などにより過去最高を更新した。ただ、医療分野におけるクラウドサービス「NOBORI」の受注拡大で、売上が契約期間に按分計上(経過処理)されることから、一時的な利益減少となり、営業利益は減益となった。また、営業外収益として、保険返戻金など52百万円を計上したため、経常利益の減益率は営業利益よりも縮小した。さらに、事務所移転費用など特別損失23百万円を計上したが、繰り延べ税金資産の計上により、当期純利益では2ケタの増益となった。

売上高は微増に止まり、売上高営業利益率は前期比0.7ポイント減の6.4%で、一見すると収益力の低下が起こっているが、実体はそうでない。構造改革が着実に進展することに伴って一次的に売上高営業利益率が低下するというのが、今回の決算の特徴である。

売上高と営業利益に影響を与えたのは、医療分野における「NOBORI」の受注拡大である。「NOBORI」は、計画以上の受注に成功した。ただ、クラウドサービスの売上高と利益は、サービスを提供する期間に応じて按分して計上する。したがって、クラウドサービスでは、従来のようにシステム構築費用を一括計上した場合に比べ、1件当たりの売上高も利益も短期的には減少することになる。しかし、契約施設数を増やすことで、将来的に安定的な収益を確保することが期待できる。

売上高に関してはCRM分野、セキュリティなどの受注増加が医療分野の一時的減収をカバーした。しかし、利益面では円安に伴い、情報基盤事業における輸入価格の上昇や、沖縄クロス・ヘッドの利益率低下などもあり、カバーできなかった。

決算上の事業構造改革の進展は、各セグメントにおけるストックビジネスと非ストックビジネスとの割合にも現れている。

アプリケーション・サービス事業のストックビジネスの割合は、前期比5.5ポイント上昇の38.8%となり着実にストックビジネスの拡大が進んでいる。情報基盤事業のストックビジネスの割合は同0.7ポイント増の43.7%となった。情報基盤事業のストックビジネスの拡大幅が小さいのは、同事業のストックビジネスが、機器販売後の保守や運用といったサービスになるためである。機器が売れてはじめてストックビジネスも受注できるというモデルになっていることから、現状では、40%強という割合は事業としてバランスのとれたものとなっている。

ちなみに、各セグメントの業績は、以下のとおりになっている。

・情報基盤事業
売上高は前期比6.0%増の11,195百万円、営業利益は同13.9%減の876百万円となった。

・アプリケーション・サービス事業
売上高は前期比0.2%減の6,157百万円、営業利益は同37.1%増の242百万円となった。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤邦光)



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