ブイキューブ Research Memo(7):「Web会議」導入企業はごく一部、国内潜在市場は大きい
[14/10/10]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期戦略
ブイキューブ<3681>は「アジアナンバーワンのビジュアルコミュニケーションプラットフォーム」というミッションを掲げ、主に以下の3つを中心に中長期的な事業戦略を進めている。
(1)国内シェアの拡大と潜在市場の開拓
同社では、国内の潜在市場はまだまだ未開拓であり、市場開拓を進めると同時にシェアアップを図ることでさらに国内売上高を伸ばすことは可能と見ている。
総務省の統計では、国内には約421.3万社(大企業1.2万社、中堅企業53.6万社、小規模企業366.5万社)があるが、同社事業のターゲットとなるのは、上位の約55万社だ。現在、この55万社のうち「Web会議」を導入しているのはわずか1万社程度とされており、さらにこれら1万社の中でも全社的に導入している企業は少ない。したがって、「Web会議」の市場は、全社導入を加速させること、導入社数を増加させることでまだまだ拡大の余地はあるようだ。
また、現在でも画像を使ったコミュニケーションツールとして「TV会議」(ハイエンド)やPCを利用した「ビデオチャット、Skype等」(ローエンド)などの利用は多いが、それぞれ以下のような欠点を持っている。
(TV会議)
・コストが非常に高い(特に拠点数が増加した場合)
・決まった場所でしか利用できない
・資料共有など、映像以外の機能が貧弱
・ハードウェアの故障や陳腐化が激しい
(無料のビデオチャット等)
・セキュリティが不安
・通信の安定性に欠ける
・ビジネス利用のための機能がない
・サポートを受けられない
同社の提供するWeb会議サービスは、これらの欠点を十分に補うことが可能であるため、その弱みを補完するサービスとして、これらの市場の侵食も十分可能と考えられる。同社では、以下のような具体的な戦略によって国内市場の拡大、シェアアップを図っていく方針だ。
●業界再編型M&AやOEM
競合他社との資本提携、OEMなどの実現による業界再編型の国内シェア拡大を目指す。特にOEMについては、上記のように競合企業のなかには大手電機メーカー系列の企業も多く、これらの企業はブランド力を持っているものの、十分な製品ラインアップを持っていない場合も多いので、同社がOEM製品(サービス)を提供することで双方にメリットが生じる可能性は高い。
●パートナー戦略強化
同社は今までは直販を中心に売上高を伸ばしてきたが、今後はパートナー企業との連携を強めることで、一段と国内販売増、シェアアップを目指す。特に通信キャリアとの提携、他のSaaSサービス会社との連携に加えて代理店網の活性化に力を入れていく方針だ。同社のビジネスモデルは月額課金型なので、その一部をパートナー企業や販売代理店にインセンティブとして還元することで多くの企業が販売協力に参画すると予想される。
現在、大手・中小を含めて200社以上のSI関連企業が同社の販売パートナーとなっている。しかし、これら多くのパートナー企業での社内営業評価はどちらかと言えば単月売上高方式(1ヶ月間の売上高に対して評価する方式)になっている場合が多く、同社のようなクラウド型製品(毎月の売上高は少額だが長期間継続する)の販売にはあまり力が入らない傾向があるようだ。そのため今後は、同社製品の販売に対するインセンティブを強化すると同時に、クラウド型製品を販売した場合のメリットを販売パートナーに積極的に啓蒙していく計画だ。
●ソリューション提供型サービス
一般的なWeb会議だけでなく「業界特化型ソリューション」を拡大することで同業他社に対する差別化を図る。これにより「単なるWeb会議」からの脱却を加速させる。具体的な例として以下のような案件が進捗中である。
▲金融機関向け
銀行・証券・保険・リースなどの金融機関向けの利用モデル(拠点間会議、研修、顧客向けセミナー、顧客への遠隔訪問、BCP等)を専門チームが営業展開している。
▲医療向け
エムスリー(株)<2413>との戦略子会社エムキューブ(株)(同社出資比率49%)を2014年3月に設立したが、この子会社で、まず現在エムスリーが行っているWeb講演会を実施していく計画である。さらにこれらの展開を皮切りに、エムスリー社以外の受託も行っていく予定で、エムキューブを中心にメディカルヘルスケア分野でのデファクトスタンダードを目指していく方針。
▲文教市場向け
もうひとつ同社にとって大きな市場となりそうなのが「文教市場」、つまり各種の学校向け市場だ。既に国の方針として「教育のIT化に向けた環境整備4ヶ年計画(平成26〜29年度)」が掲げられ、総額6,712億円の予算が計上されている。その環境整備の1つとして「電子黒板不足分40万台の整備及び既存分1万台の更新に係る費用」が盛り込まれているが、記述のように買収したPVC社は電子黒板の大手であり、国内学校現場にも2万台の導入実績があるトップメーカーである。そのためこのような国の方針は、PVC社にとって追い風であるのは間違いなく、同社の連結決算にも大きく寄与すると期待できそうだ。
●「V-Cube Gate」の投入
同社では、2014年9月に「V-Cube Gate」をリリースした。これは法人専用の無料テキストチャットサービスで、各種の設定を行うことで、企業内で誰でも無料で利用することができる。
このサービスを導入する目的は、まず多くの人にこのサービスを利用してもらうことによって、同社の他のサービスも知ってもらうためである。「V-Cube Gate」は同社の他のサービス(Web会議、オンラインセミナー、営業支援等)と連携しているので、ワンクリックで他のサービスに入って利用することもできる。つまり、同社の主力サービスへの入口(Gate)となることから「V-Cube Gate」と名付けられた。
無料サービスであるため当初は収益を生まないが、将来的には各種の管理機能を一部有料化することで収益寄与が可能である。いずれにしろこのサービスの利用者数が増えることがまず重要だが、当面は100万ユーザーを目標としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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