アキュセラ Research Memo(2):眼科領域に特化した医薬品の開発を行うことを目的に創業
[15/12/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
(1)会社沿革
アキュセラ・インク<4589>は眼科領域に特化した医薬品の開発を行うことを目的に、眼科専門医であった窪田良(くぼたりょう)博士が2002年に米国シアトルにて創業した会社で、2014年2月に東証マザーズに上場を果たしている。創業来「眼疾患に革新的な治療をもたらし、社会に貢献する」という経営理念を掲げ、事業活動を行っている。
2006年に視覚サイクルモジュレーション技術を用いた治療薬「エミクススタト」の開発を開始、2008年には大塚製薬(株)とドライ型加齢黄斑変性を治療対象とした「エミクススタト」の大型共同開発及び販売契約を締結(250百万米ドルを超えるアップフロント支払いとマイルストーン支払いに加えて北米での開発費用の負担)し、臨床試験に向けた資金面でのサポート体制を整えた。現在は、地図状萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性の臨床第2b/3相試験の最終段階にあり、2016年夏に同試験結果のトップラインデータを発表する予定となっている。
(2)経営陣
同社の経営体制はこの1年近くの間で大幅に刷新され、眼科領域のグローバル企業で活躍してきた人材が結集した体制となっている。ここ数年、眼科領域の専業医薬品メーカーがメガファーマに買収されるなど、M&Aが活発化していることが背景にあると思われる。
例えば、2015年8月に研究開発担当上級副社長として任命されたルーカス・シャイブラー氏は眼科領域の医薬品大手ノバルティス(NYSE)の医薬品開発の責任者で、アルコン(NYSE)(2011年にノバルティスが買収)でも引き続き眼科部門を指揮してきた経歴を持ち、業界では著名な人物である。ルーカス氏は「エミクススタト」の臨床第2a相試験結果の有望なデータ(2013年6月に論文が専門誌に掲載)を見て、同社へ入社することを決断したという。
また、5月に最高事業責任者として任命されたテッド・ダンス氏は眼科医薬品大手のアラガン(NYSE)(2015年11月にファイザー(NYSE )が1,600億ドルで買収を発表)のアジアパシフィック法人(東京在住7年)に在籍するなど眼科領域で30年以上の実務経験を持つほか、8月に法務担当上級副社長として任命されたジョージ・ラセズキー氏も同様にアラガンで法務担当責任者として長く在籍していた人物だ。7月に最高事業戦略責任者として任命されたロジャー・ジラルド氏なども含めて、現在6名の経験豊富な経営陣によって、事業が進められている。
(3)眼疾患治療薬の成長性について
世界の眼科医薬品の市場規模は2011年の約1兆8,000億円から2023年には3兆5,000億円と年率6%の成長が予測されている※。世界人口の増加のほか、高齢化が進むことによって加齢黄斑変性やその他網膜疾患などの患者数が増加の一途をたどっていることが背景にある。同期間の医薬品全体の成長率は3%程度と予測されており、眼科医薬品は業界の中でも成長性の高い領域と位置付けられている。
※visiongain, Ophthalmic Drugs: World Market Prospects 2013-2023, p45
こうしたこともあり、ここ数年はメガファーマの眼科専門企業に対するM&Aも目立ってきている。2010年にノバルティス(スイス)がアルコン(米国)を買収したほか、2013年にはバリアント(カナダ)がボシュロムを買収、直近では2015年11月にはファイザー(米国)がアラガン(アイルランド)を1,600億ドルで買収すると発表している。同社にとっては、今後のパートナー契約交渉においてより良い条件で交渉が進む市場環境になってきたと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(1)会社沿革
アキュセラ・インク<4589>は眼科領域に特化した医薬品の開発を行うことを目的に、眼科専門医であった窪田良(くぼたりょう)博士が2002年に米国シアトルにて創業した会社で、2014年2月に東証マザーズに上場を果たしている。創業来「眼疾患に革新的な治療をもたらし、社会に貢献する」という経営理念を掲げ、事業活動を行っている。
2006年に視覚サイクルモジュレーション技術を用いた治療薬「エミクススタト」の開発を開始、2008年には大塚製薬(株)とドライ型加齢黄斑変性を治療対象とした「エミクススタト」の大型共同開発及び販売契約を締結(250百万米ドルを超えるアップフロント支払いとマイルストーン支払いに加えて北米での開発費用の負担)し、臨床試験に向けた資金面でのサポート体制を整えた。現在は、地図状萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性の臨床第2b/3相試験の最終段階にあり、2016年夏に同試験結果のトップラインデータを発表する予定となっている。
(2)経営陣
同社の経営体制はこの1年近くの間で大幅に刷新され、眼科領域のグローバル企業で活躍してきた人材が結集した体制となっている。ここ数年、眼科領域の専業医薬品メーカーがメガファーマに買収されるなど、M&Aが活発化していることが背景にあると思われる。
例えば、2015年8月に研究開発担当上級副社長として任命されたルーカス・シャイブラー氏は眼科領域の医薬品大手ノバルティス(NYSE
また、5月に最高事業責任者として任命されたテッド・ダンス氏は眼科医薬品大手のアラガン(NYSE
(3)眼疾患治療薬の成長性について
世界の眼科医薬品の市場規模は2011年の約1兆8,000億円から2023年には3兆5,000億円と年率6%の成長が予測されている※。世界人口の増加のほか、高齢化が進むことによって加齢黄斑変性やその他網膜疾患などの患者数が増加の一途をたどっていることが背景にある。同期間の医薬品全体の成長率は3%程度と予測されており、眼科医薬品は業界の中でも成長性の高い領域と位置付けられている。
※visiongain, Ophthalmic Drugs: World Market Prospects 2013-2023, p45
こうしたこともあり、ここ数年はメガファーマの眼科専門企業に対するM&Aも目立ってきている。2010年にノバルティス(スイス)がアルコン(米国)を買収したほか、2013年にはバリアント(カナダ)がボシュロムを買収、直近では2015年11月にはファイザー(米国)がアラガン(アイルランド)を1,600億ドルで買収すると発表している。同社にとっては、今後のパートナー契約交渉においてより良い条件で交渉が進む市場環境になってきたと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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