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nms Research Memo(2):上場時と比べ事業内容が大きく変貌

注目トピックス 日本株
■会社概要

(1)会社沿革と事業概要

1985年に人材サービスで創業した日本マニュファクチャリングサービス<2162>は、2007年のJASDAQ上場時の業態メージが強い。その後、EMS事業を行う2社を買収、子会社化した。それらは、2010年7月の(株)志摩電子工業と2011年7月の(株)テーケィアール(以下、TKRと略称する)である。さらに、2013年10月に(株)日立メディアエレクトロニクスの一部事業、2014年10月にパナソニックから一般電源事業を譲受した。この結果、売上高は上場年度の2008年3月期の16,963百万円から2016年3月期は62,179百万円と大きく成長した。直近期の売上高構成比は、EMS事業が50.5%、電源装置・部品のPS事業が28.2%、そして祖業の製造派遣や請負などのHS事業が21.3%となった。

グローバルな生産分業が進んでいるなか、日本国内外で製造、検査、修理といった製造にかかわる業務とロジスティクスをパッケージで提供するため、2014年に日本通運<9062>と業務提携契約を締結した。2015年に、兼松<8020>が資本業務提携を通して、自己株式の第三者割当を引き受け、株式の10%を所有する第3位の株主になった。

○事業セグメント別営業利益−貢献度はPS事業が最大
2016年3月期の事業セグメント別営業利益は、HS事業が142百万円、EMS事業が315百万円、PS事業が1,471百万円、調整額が10百万円であった。パナソニックの一部事業を承継するために設立された連結子会社のパワーサプライテクノロジー(株)(以下、PSTと略称する)が、前期は3ヶ月間の実績であったが、当期から通年にわたり寄与した。

○主要顧客の推移
売上高依存度が10%を超える主要顧客は、M&Aにより新たな客先が登場する一方、総売上高が大きくなることから以前に掲載されていた顧客名がリストから外れるという変化が見られる。2015年3月期は、Panasonic Appliances Air-Conditioning Malaysia Sdn. Bhd.(売上依存度:14.8%)とKYOCERA Document Technology Company (H.K.) Limited(同10.2%)の2社が名を連ねた。2016年3月期はPS事業が通期で寄与したことから、総売上高が前期比26.3%増えたため、主要顧客としてはPanasonic Appliances Air-Conditioning Malaysia Sdn. Bhd.(同13.5%)の1社のみが掲載された。

○事業セグメントごとのグループ会社の役割
HS事業は、受託派遣、請負(顧客構内請負)、修理・製造の受託サービス、省力化機器の販売を行う。製造プロセスでは、基板実装、製品組立、物流、修理などが含まれる。地域的には、本体の同社が日本をカバーし、海外では中国、ベトナム、タイに海外子会社がある。このうち、中国の子会社2社のみが連結対象となり、ベトナムとタイは連結対象外である。中国に、2010年に北京中基衆合国際技術服務有限公司を設立し、派遣事業を開始した。2013年には、中国政府系人材サービス会社を子会社化した。中国政府との関係構築ができたことから、2014年に中国労働学会労務派遣専門委員会の製造請負研究に関するプロジェクトに参画することとなった。

○EMS事業とPS事業
売上高ではEMS事業、営業利益ではPS事業のウエイトが高いため、これらの事業に関わる連結子会社、すなわち志摩電子工業、TKR及びPSTの事業内容などを説明する。

志摩電子工業は、1971年に設立され、三重県志摩に工場を持つ。海外では、1995年10月に志摩電子工業(香港)有限公司と深セン(中国)工場を立ち上げた。2012年に志摩電子(深セン)有限公司を設立し、2014年に独資として営業を開始した。マレーシアには、2000年に進出した。

基板実装を得意とし、国内の多くの実装行程が海外へ移管するEMSの事業環境においても、国内に量産ラインを残し、大手電機メーカーの開発拠点に近い三重県に位置することにより、試作基板実装の受注を増やしている。このことから、小ロット・短納期を得意とし、中国とマレーシアにおける海外生産は20年以上の実績を持つ。日本で試作を行い、海外で日本と同等品質のものを量産・供給できる体制を整えている。PBfree(鉛フリー)・RoHS(電子・電気機器における特定有害物質の使用制限)に対応するなど環境関連技術を有する。

製品としては、複合プリンター制御基板、アミューズメント機器、産業機器制御基板、医療機器制御基板に実績がある。そのほかにはレーザープリンター制御基板、デジタルカメラ用電源基板、給湯器制御基板、カラオケ機器、映像機器、両替機、照明機器、警報機、リチウムイオン電池制御基板などを手掛けている。日本では、月間100台以下の多品種少量生産を行い、中国では民生機器、照明機器、OA機器など月間1,000台以上の中ロット生産を、マレーシアでは小中ロット生産を行っている。

TKRは、1954年に東京都大田区で板金プレス加工を主に創業。プレス加工、各種スイッチ、カーステレオ、基板実装、複写機用操作部品などの製造販売を手掛けてきた。

TKRの主要取引先はキヤノン化成(株)、クラリオン<6796>、ソニー<6758>、パナソニックなど上場会社及びその子会社となる。

多くのEMSが、基板実装等のいわゆる電気系の生産技術を有しているのに対して、プレス加工から端を発した構造系の設計力と生産技術を有しているユニークなEMS事業を展開している。

グループにおける同社の役割として、TKRグループだけでなく、2014年10月に買収したパワーサプライテクノロジー株式会社の販社の任も負っている。

2016年1月に、構造改革の一環として国内の生産拠点を統合管理する(株)テーケィアールマニュファクチャリングジャパン(TMJ)を設立した。TKRグループの生産拠点は、国内ではTMJ茨城工場、TMJ東北工業、TMJ水沢工場、海外ではマレーシアにTKRマレーシアとTKRプレシジョン、中国に中宝華南電子(東莞)を擁する。

PS事業は、スイッチング電源の開発設計を三重県松坂市にて、製造を中宝華南電子(佛山)有限公司で行い、販売をTKR、TKR香港にてカバーしている。PSTが扱うカスタム電源は、搭載される製品ごとに設計・開発されるスイッチング電源である。電源の設計、電源向けの専用電子部品調達に手間が掛かるので、セット品メーカーは電源専業メーカーから購入することが多い。PSTでは、『安全・安心』はもとより、独自開発の熱処理技術により、電源から発生する熱のヒートマネージメント技術を確立し小型・軽量化を実現している。また、大電力・高効率・長寿命化などを進めているうえ、防塵・防水構造など様々な外部環境でも使用可能な新製品を開発している。

○事業別地域別売上高構成
2016年3月期の国別売上高比率は、日本が36.1%、香港が41.2%、中国が1.0%、マレーシアが21.7%だった。日本の事業別内訳は、HS事業が54.4%、EMS事業が39.2%、PS事業が6.5%と同社が行うHS事業が大きい。香港・中国では、HS事業が2.4%、EMS事業が36.0%、PS事業が61.6%と中国のオペレーションも譲受したPS事業が最大になる。マレーシアは、EMS事業のみを行っている。

事業別売上高を地域別構成比で見ると、HS事業は日本が95.2%、中国が4.8%になる。EMS事業は、日本が28.1%、香港が29.7%、マレーシアが42.3%とマレーシアのウエイトが高い。PS事業は、日本が8.4%、香港が91.6%となる。全体から見ると、HS事業が21.3%、EMS事業が50.5%、PS事業が28.2%となった。

地域と事業のマトリクスで見ると、香港のPS事業の売上高比率が26.0%を占め最大となる。次に、マレーシアのEMS事業(同21.7%)、日本のHS事業(19.7%)、香港・中国のEMS事業(15.2%)、国内のEMS事業(14.2%)と続く。

事業ごとに顧客業界のトップ3を見ると、HS事業が自動車関連(構成比22%)、電子部品(同14%)、デバイス・モジュール(同8%)となる。EMS事業は、白物家電(同31%)が最大で、情報機器(22%)、産業機器(16%)が続く。PS事業は、複合プリンターやプロジェクターなどの機情報機器向けが78%と高く、住宅関連が11%、その他が11%を占めた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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